ヲススメラヂオの小説Part11 『マイ国家』
どうも、こぞるです。
ヲススメラヂオで小池琢也さんに紹介していただいた、ショートショートの神様こと星新一先生による『マイ国家』について書いていきたいなと思います。
ラジオは以下のリンクから別ページに行くとありますので、先に聞いていただけると、よりこれを書いている奴が何を言いたいのかがわかりやすくなるかと思います。30分ほどですので、家事や課題、作業のおともにいかがでしょうか。
ー作品内容ー
マイホームを“マイ国家”として独立宣言した男がいた。訪れた銀行外勤係は、不法侵入・スパイ容疑で、たちまち逮捕。犯罪か?狂気か?――世間の常識や通念を、新鮮奇抜な発想でくつがえし、一見平和な文明社会にひそむ恐怖と幻想を、冴えた皮肉とユーモアでとらえたショートショート31編。
子供の頃、近所に星先生という学校の先生が住んでいて、星新一先生と同じ人だと思っていました。
ショートショートというもの
まず、そもそもショートショートとは何ぞやという話なのですが、簡単にいうと、短編にも満たない、短いお話です。ものによっては1桁ページで終わるものもあったり、反対に50ページぐらいあったりするものもあるので、明確な基準はありませんが、だいたいそんな感じです。
そして、そのショートショートの第一人者にして、凄すぎて第二人者がなかなか追いつけなさそうな作家が、今回の星新一先生となります。
その作品数は膨大で、ラジオ内でも話題に上がりましたが、なんと1000以上のお話を世に送り出しておられます。
どのお話も短く面白いので、活字があまり得意ではなかった小学生ごろの私でも、楽しく読めました。ほんとうに、読書へのきっかけとしてもぴったりかもしれません。
余白いっぱい絵もいっぱい
星新一先生の作品は、どの作品も細かな設定があったり、お金にだらしないとか、異性に弱いなどの人間味あふれる登場人物が多く出てくるにもかかわらず、スタイリッシュでシンプルという印象をうけます。
すごく感性的な例えで申し訳ないのですが、余白のある作品を書いてくれと言われた時に、白いキャンバスの中に小さく描くのではなく、みっちりと書き込んだ後でキャンバス部分を広げているような、そんな感じです。
余計わかりづらいですかね・・・。
ラジオで話したときに、想像の余地がたくさんあるといった話をゲストの小池さんとしたのですが、その後読んでみると、思っていたよりも人物については人間臭さがあるんですよね。場所もごちゃごちゃしてたりするし。
それでいて、あの何もない空間的というか、精神と時の部屋っぽさみたいな雰囲気がある空気感というのは、やはり独自のものだなあと感動せざるをえませんでした。
大きいSF小さいSF
星新一先生は前述のとおり、ショートショートの神様としても知られていますが、小松左京先生・筒井康隆先生とともに、「SF御三家」とよばれるほどのSF名手でもあります。
今作『マイ国家』でも、その腕は見事に発揮されているわけですが、作中のすべてが、広大な宇宙や未来のお話というわけではありません。
もちろん、中には宇宙旅行の話や、ロボットの話といったわかりやすく規模の大きいSF作品も数多くあるのですが、それと同程度に、藤子不二雄先生のお言葉をお借りするなら「すこしふしぎ」なSF作品も並べられています。
表題作である『マイ国家』も、上記の作品内容にあるように、そういった日常に溶け込むおかしみや、ブラックユーモアを描いたものになっています。
また、そのように、一冊の本の中で大小様々なスケールのSFを取り入れているからこそ、短いながらもオチが読めない作品なども誕生しています。前半部分を読んでいて、日常の狂気のお話かと思っていると、実はそこにはとんでもない未来技術が関わっていたというどんでん返しが現れたりします。その話だけを読むと、そんな無茶苦茶な!と思うようなオチだったりするのですが、その話にたどり着くまでに、星新一ワールドに取り込まれているため、あっさりとそれを受け入れて楽しめます。
ショートショートでありながら、そういった構成も考えられているのだなあというのが、今回改めて読んでの気づきでした。やはり、出版している以上、一冊の本としての作品なんだなあと。
さいごに
本当に気軽に読めますし、小説を置いている本屋さんで、星新一を置いていないところはないと思うほど、手に取りやすい本です。
1話1話は数分で読めてしまいますので、最近時間がなくて本が読めてないなあという方や、ついつい暇な時間にスマホを開いて眼精疲労と戦っていらっしゃる方は、手近なところで1冊買って、枕元にでも置いてみてはいかがでしょうか。
また、人のアイデアにたくさん触れられるので、自分もなにかやってみよう、考えてみようというきっかけにもなる作品です。最近何か始めたいけど、動けていない人なんかにもオススメできるかもしれません。
そのうちの一人である私にオススメしてくださり、小池さんありがとうございました。
ぜひぜひ、皆様も読んでみてください。
それから、星新一好きな方や、読んだことないですといった方からのコメントもお待ちしております。
それでは。
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