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CTO of the Year 2024 Audience Award - 社会を豊かにする

アセンド株式会社 取締役 CTO の丹羽 @niwa_takeru です。
Startup CTO of the Year 2024 にて応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

今回、スタートアップが「社会を豊かにする」を技術力を駆使して突き進める姿を示し、志を共にする皆様に届けることを目的として登壇しました。その結果、多くの方に共感いただき、オーディエンス賞を受賞できたことを心から嬉しく思っています。
改めまして、応援いただいた皆様に感謝申し上げます。

Startup CTO of the Year で登壇させていただく中で、6分間だけでは伝えきれない思いがありました。本 note では、なぜ CTO of the Year の出場を考え、何を伝えたかったのか、ピッチ解説に加えて記します。

イベント概要
本イベントを運営・協賛いただいている News Picks 様、AWS 様にもこの場もお借りして感謝申し上げます。


社会を豊かにしようとする人へエールを伝えたい

私たちアセンドのメンバーは、物流業界を主語として、スタートアップの形で産業を良くしようと向き合ってきました。物流は、あらゆる産業、私たちの生活、社会を支える存在です。物流なくしては社会は成り立ちません。そして、この社会基盤的な役割に対して本質的に価値ある仕事をするのは胆力が必要です。

アセンドは創業からこれまでの5年間、物流産業に挑み続けてきました。スタートアップで自分の会社がどうなるのかも分からない中、ひたすら業界・社会のために向き合うことは、暗闇の中でミッションという灯火だけを頼りに自身を信じて進み続けるしかありません。かろうじて、私は信頼できる経営陣の日下と森居をはじめ、プロダクトチームや全メンバーがいたため、なんとかプロダクト・事業を立ち上げてくることができました。

社会に不可欠な産業は物流だけではありません。私は産業を、社会を豊かにしようと頑張り続けるCTOやエンジニアの皆様を知っています。まだ暗中を突き進み続ける人達に対して、私ができる精一杯のエールとして、ここにも社会を豊かにするために人がいると壇上から伝えていきます。
私は社会と共生という言葉が好きです。各人が自分の持分の仕事を果たすからこそ共に助け合われ、社会として生きていくことができます。

物流産業について

アセンドが向き合う物流は日本で最もデジタル化の遅れた産業です。
この背景にはアセットビジネスに対する自由化競争の解禁といった歴史的な産業構造の問題があり、低収益体質ゆえにデジタルへの投資余力がなかったことが大きくあります。(ex. タクシーには標準運賃があるのに対して、トラック運送業にはありません。)デジタル化が遅れた故に、2030年には3分の1の荷物が運べない危機的な状況へ日本は進んでいます。

物流のメインプレイヤーである運送会社は、デジタル化の遅れに加えて、「全産業で、2割労働時間が長く、2割賃金が安い」という状態にあります。
アセンドでは業界と共に生きているため、トラック運送会社の方が時より遊びに来ていただけます。日本全国の各地域から来られる方々は、その地域から荷物を輸出する、いわば地域経済を支える役割を担う気持ちを持っています。こういった高潔な方々が、このような労働環境にいる不合理さを解消したいと考え、私はアセンドでロジックスの開発を続けています。

ピッチ 解説

経営者・CTOが持つ3つの領域(事業・技術・組織)

CTOは技術に専門性を持った経営者です。
己の技術力をもとに、事業・技術・組織の3つの領域に対して責任を持って会社の舵取りをしていく役割と私は考えています。またスタートアップ経営では「ヒト・モノ・カネ」が観点であり、カネという面では限られつつもありがたい調達資金をどのように効果的に利用していくかも問いとしてありました。

【事業】あらゆる輸送体系を扱えるプロダクトの実現

アセンドは将来的な事業構想として、日本全国を結ぶ物流デジタルネットワークを構築すべきと考えています。あらゆる運送会社を結び、運行情報・荷物情報を収集して、最大効率で物流を回すことが、社会を持続するためには欠かせません。

このようなコアデータの定常的な生成と蓄積をすること、これが産業に向き合う企業が Vertical SaaS を開発する戦略的な目的であると私は考えています。アセンドのロジックの長期的な役割はそうであり、そのために創業初期から運送会社のデジタル化に取り組んできました。

運送会社は世の中のあらゆるモノを運ぶ役割を担っており、それゆえに輸送体系はとても多くあります。SaaSとしての標準と、業務で使うことができる対応力。これを作るためコンフィギュレーションという考えなどを用いて、技術を持ってして立ち向かってきました。

【技術】圧倒的な開発生産性の実現

実は、私はアセンドの入社を1度断ったことがあります。スタートアップというリソースの限られた中で、オールインワンなSaaSを開発するなんて無理だろうと思いました。一方で代表の日下や森居はその無謀な挑戦を1年続け志を見せ続けていました。そして、これに対して自分の技術力・アーキテクト能力を最大限に活かして、無理かもしれないが同じく挑戦しようとCTOを引き受けました。

プロダクトを作り直す中で、全メンバーが生産性高く、そして顧客に素直に向き合って開発できるアーキテクチャとは何かを1ヶ月ほどかけて練り作り上げました。これが今にも至るアセンドのシステム・組織のアーキテクチャとしてあります。それ故に開発初期から、「毎日、顧客に価値を届け。毎日、顧客から学び。毎日、プロダクトを磨く」そんな日々を送ることができました。この3年間で 3,939件、1日4.91回の改善を顧客に届けてきました。

【組織】プロダクト志向なエンジニア組織の実現

プロダクトエンジニアという職種を海外動向調査で見て、アセンドの1職種として定義できたことは、メンバーのキャリアを作る意味でも意義が大きかったと今でも振り返って思います。他の数ある施策の中でも結局のところ、名前が体を表します。

プロダクトエンジニアは「プロダクト志向への肯定」です。ディープなドメインに対して、社会に対して仕事をしてくれているメンバーは、ある意味で技術者としてのアイデンティティとの乖離により迷うことになります。プロダクト志向を続けてきたCTOとしての私は、ドメイン・顧客との向き合いの果てにより難しい技術的なトレードオフに戦うことになると知っています。そこまでの揺れ動く期間を、プロダクトエンジニアという職種を志すことによって超えられると考えています。

日本の1CTOとしての務め(TSKaigi、PdENight)

CTOという立場は人を成長させます。企業の中で1人しかいないCTOは、多くの機会をいただいて日々ありがたく成長させてもらっています。そんな恩恵を社会に対して果たすことも、日本の1CTOの務めであると考えてきました。

コロナ禍を受けて TypeScript の知見共有の場が途絶えていたことを受け、スタートアップという自身のメイン事業であるアセンドがある中で、立ち上げをやるべきかどうか半年ほど悩んでいました。そんな時に、TypeScriptのコミュニティを立ち上げるぞと現在のTSKaigi運営理事の他3名が声を上げ、これに対して私もその1人として参画しました。そして、この時に背中を押してくれた社長やメンバーにも感謝しています。(実はボランティアコミュニティの運営はとても難しいものがあるのですが、どの3名も信念を持って意思決定を共に進められるので、一緒にやっていてありがたく思っています。)

エンジニアは社会を豊かにできる仕事

エンジニアは社会を豊かにできる仕事の1つだと思っています。今回のピッチをご覧いただいて、1人でも多くの方に自身の仕事がどれだけ社会に還元できるか、志をより強くする機会となれば幸いです。

アセンドでは物流産業に対して大きな事業戦略を描き、圧倒的な開発生産性とプロダクト志向を持って事業を突き進めていきます。全方位にてメンバーを募集しておりますので、ぜひお声がけください!
また同じく社会を豊かにするために働く方々を応援したい気持ちも強くありますので、何か相談などがあればXのDMにてご連絡いただければと思います!

それでは皆様、共に志を持ち、プロダクトを社会に実装していきましょう!


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