四角い箱
狭まった私の世界はいつしか1DKの大きくも小さくもない四角い箱になっていた。
足の裏はもうすっかりフローリングの冷たさに馴れていたし、髪や皮膚を撫でる風なんてものはとうに感じなくなっていた。
眼は次第に陽光の煌々とした明るさに貫かれ、じくじくと膿むように痛み出す。痛い痛いと毎朝カーテンを開ける度に思うのだけれど、人間も植物と同じで日光を浴びないと死んでしまうらしいから仕方がない。
私はこの痛みにさえ慣れてしまっていて、その現状に少々嫌気を感じながらも結局いつものように熱気を感じる窓硝子に肢体を貼り付けてセロトニンとやらを分泌させる。
そうして今日もまた、いつも通り私はこの四角い箱の中で息をする。
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