【全3回】ストレッチの常識が変わる!プロのアスレティックトレーナーが呼びかける、これだけはやってほしいスポーツ前の準備/第3回 ウォームアップ&クールダウン
こんばんは。NITREATのnote編集部です。
「じつはストレッチの常識が変わってきているんです。」そうお話するのは、米国BOC公認アスレティックトレーナーの佐保豊(さほゆたか)さん。 アイスホッケーやフットサルの日本代表チーム、Jリーグ名古屋グランパスなどのトップアスリートのトレーニングから、学校へのスポーツ教育プログラムの提供まで、プロ・アマを問わず広く歴任。またNPO法人スポーツセーフティージャパンを立ち上げ、あらゆる世代のスポーツ安全環境を整え、法学と医学の観点から事故を未然に防ぐ活動を推進されています。 佐保さんが提唱する新しいウォームアップとは?
全3回の連載。最終回の3回目は、ストレッチ&クールダウンです。
伸ばすだけのストレッチは、もう古い。
暑さも一段落。そろそろ本格的に身体を動かそうと、気持ちが高まってきた。準備体操をしっかりして、怪我のないように入念に身体のいたるところをしっかり伸ばして… という方。少しお待ちを。最近ストレッチの常識が変わってきているようです。
「デコピンをしてみてくだい」アスレティックトレーナーの佐保豊さんから唐突のリクエスト。ストレッチの進化を、実技を交えて教えてもらえるようです。
まずはそのままやってみます。「パチン!」指がデスクをしっかり叩きます。
「ではストレッチをしてから、もう一度やってみましょう」叩く指を、もう一つの手で持って反り返します。10秒ほど伸ばした後にもう一度、同じようにデコピンで机を叩きます。「パチン」ちょっと力が入り切らないような感覚になりました。
「運動前に筋肉を緩ませると、しっかり力が入らなくなるんです」
これまでの常識であった、身体のあらゆるところを10〜20秒かけて行うストレッチではパフォーマンスを発揮できないと佐保さんは言います。
ではどんな準備をすればよいのか。最適なウォーミングアップとなるストレッチ、そして最適なクールダウンとは何か。今回も教えていただきましょう。
関節の可動域を広げるのが、今のストレッチ。
「関節の可動域を広げるのが今のストレッチです」と佐保さん。ただし、どの関節も、というわけではないようです。
「動かす関節と止める関節があります。足首、股関節、胸椎は動かす関節。膝、腰、肩甲骨は止める関節です」なるほど。身体の交互に、動かす関節と止める関節があるんですね。
もうすこし解説します。
足首は動かす関節。その上、膝は止める関節。曲げ伸ばししかできない調整役です。
次は股関節。めいっぱい可動域を広げたい関節です。その上の腰椎は、ほぼ動きません。その上の胸椎は、12個ほど関節があり以外にもかなり動きます。肩甲骨は止まっていてほしいけど、肩は動かす関節。というように人間の身体の交互に、動く関節、止める関節があるのだとか。
「腰を悪くしても原因は股関節かもしれない。股関節が動かないことによって、動いちゃいけない腰が動いて怪我をしている。痛いところに原因がないというのがわかってきたんです」パフォーマンスだけじゃなく、怪我にも可動域が影響しているんですね。
ではどんなストレッチをすればよいのでしょう。
実践しよう!基本のアクティブストレッチ。
佐保さんから、「基本の3つ」を教えてもらいます。
1つ目は股関節。2つ目は腰椎を動かさないための体幹。3つ目は胸椎。
「この3つが基本的な動きをする上で大事です。ここを十分にやる。ランニング、テニス。どんなスポーツでもみんな同じです。やってみましょう!」佐保さんは実技をしてくれました。
自分の力で動かす、アクティブストレッチ。まずは胸椎から。
寝ている状態で、腕を左右に広げます。一回3秒を5回。
座った状態で行っても十分効果があるとようです。
次に股関節。立て膝で脚を90度に。
腰を前に移動させる。骨盤の前、腿の筋肉を伸ばす。
裏の筋肉は縮むので、お尻の筋肉を使っている。5回行う。
股関節のストレッチその2。
寝そべった状態で(お尻をついて起き上がってもよい)脚を左右交互に
内側と外側に90度寝かせる。5回ずつ。
腰は、お腹のコルセットを固める。
寝た状態から背中の隙間を埋めるようにお腹を下げる。
息を吐きながら3秒間×10回。
身体を起こす腹筋より効く。横っ腹がしまり、コルセットの力が出る。
いかがでしょうか。これは運動前だけじゃなく、在宅ワークの毎日にもおすすめできると佐保さんは言ってくれました。運動は脳に血流がめぐるので、脳の活性化するとのことです。
数分でもできるので、ぜひやってみてください。
クールダウンには、栄養補給を忘れずに。
運動を終えてそのままシャワー。気持ちいいですよね。
でも、ちょっと我慢してちゃんとクールダウンをしてからにしましょう。
まずは、心拍数を整える。ウォーキングなどで徐々に整えていきましょう。
そして、筋肉を伸ばすストレッチ。いままでのような一般的なストレッチです。
さらに、水分と栄養の補給です。
筋肉を使ったら、タンパク質が不足しています。
「運動後は、栄養分を取り入れてくれる窓が開いている状態。開いている30〜1時間以内に栄養をとりましょう」と佐保さん。運動後は血液が筋肉に回っているので、胃腸は動きが悪い。固形物よりゼリーなどの消化が良いものでとると良いそうです。栄養がとれないと疲労が残り、続けて運動するときにエネルギーが出なくなるようです。
運動後は筋肉を冷やせばよいのでしょうか。こちらも佐保さんに聞いてみました。
「筋肉を冷やすのは悪くないです。体温が下げて熱中症対策にもなります。でも怪我は場合は別です。炎症は修復のプロセス。熱をもつのは修復するための身体の反応です。アイシングしつづけると回復が遅くなります」
怪我をしてしまったら、お医者さんに行くのが良さそうですね。
ニトリートのアプリには、さまざまな身体のケアに役立つコンディショニング動画を紹介しています。こちらもご参考にしてください。
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POINT
・筋肉を伸ばすストレッチは逆効果になる
・股関節と胸椎など動かす関節の可動域を広げる
・運動後は栄養補給もする
スポーツ前の準備のコラムは、今回で終了です。
NITREATのnoteは今後も、お役に立つ情報をどんどん更新していきます。
お楽しみに。