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エスノグラフィーというマーケティング

今日はエスノグラフィーに関して。
先に言っておくが、僕はエスノグラフィーに関する専門家でも研究者でも何でもない。
なので、僕が解釈している範疇内での理論の展開になるので予めご了承を。
ただ、マーケティングというものを実践を通して学んできた中で出会った学問で、それまでの考え方の概念を変えてくれたものでもあるのでその紹介をしたい。

なぜ「学問」と定義するのか

まずは概念の話から。
専門的に分けるのであれば、エスノグラフィーは人類学や民族学に分類されるらしい。
その理由としては、もともとあまりまだ知られていなかった民族に長期的に密着をして、どういう行動をとるのか、なぜその行動に至ったか、”行動”を観察して記録をして分析するというものからきているらしい。
ただ、今やそれが心理学や教育学、医療の分野やビジネスの分野でも使われるようになったので、単に人類学とは呼べず、どこに分類されるのかが明確に判断できないからということが事実のよう。(これはエスノグラフィーを専門にしている教授から直接伺ったことがあるので事実とする)

どういう学問なのか

「課題抽出」を実際の行動分析から導くもの。
難しい・・。
ただシンプルに考えればそう難しくはない。
例えば、スーパーの陳列棚にある商品を1週目はA列の陳列順とし、次の2週目はB列の陳列順とする。
そしてその様子を観察して、実際にどちらの陳列順の方の商品が売れたか、ABテストを実施してその検証結果から最適な陳列順にしていくというもの。
分かり易い・・。

何が僕にとって新鮮だったのか

上に書いた通り、言われてみれば誰もがやっていることだろうし、多くの企業でも実践されていることだと思う。
でも何が僕にとって新鮮で、今やあらゆる分野においてこの学問が注目されているかというと、

それは、「仮説の質の高さ」であると思う。

分かり易くPDCAを例にとって考えてみる。
皆さんももちろん僕もずっと実践しており、今でも日常で使う考え方だが、
僕はこのPDCAのPこそ最も重要であるし、その仮説の質の高さでその後のDCAの質も高いものになるし、高い質のまま次のPへと入っていけるというスパイラルだと思っていた。
(最近はDCAPの順だという理論もあるみたいだが一旦無視する)

このPが最も重要であるということは今でも変わらないが、
当時の僕のPに関する考え方というと、あくまで仮説の域であるということ。
もちろんあらゆるところから根拠に近いものを引っ張り出してきて仮説だてをし、それを実行検証という流れをとっていた。
上の商品棚の例でいうと、A列だけをみてそこに関する情報を集め、こういう陳列順にすれば売れるのではないか。を繰り返し行うということ。
極端に聞こえるかもしれないが、要は仮説の域を超えたPなんて存在しないと思っていた。
そこで出会ったのがこのエスノグラフィーというもの。
実際にお客さんの行動を事実として仮説だてをして実行して検証するという考え。

この発想は一切なかった。
アホなんじゃない?とは思わないでいただきたい。
なぜならスピードが圧倒的に遅い課題抽出方法だったから。
目の前の高い目標を達成するためにはいちいち仮説のための検証なんてしている時間はなかった。
それよりはどれだけ短いスパンでPの質を上げて、いかにPDCAの数を回すかというのに命をかけていた。

エスノグラフィーの弱点・・?

言い訳の続きとして読んでいただきたいが、
当然これには時間がかかる。
幸いなことに、実際にエスノグラフィーを実践して、それをPとして課題抽出して、ある問題を解決するというプロジェクトをリーダーとして遂行できる機会があった。
結論、仮説の質は上がったが、問題解決には時間を要した。
やはり正確性では勝ったがスピードでは勝ることができなかった。
やはりこれは統計学としては最先端ではないという判断だった。

・・統計学?
待てよ?となった。
統計学こそ学問の頂点たるものみたいな事を聞いたことがある。
また商品棚を例に出してしまうが、結果的に成果を出したのはどっちか。
スピード感というところを除けばどちらが正確だったか。
答えは言わずもがなだ。

なぜ後になって衝撃的だったかというと、スピードと正確性を切り離して考えていたから。というかそんなキャパシティーはなかった。
ただ今だから思う。別にスピードと正確性は縦の関係ではない。あくまでも並列である。こんな至極当然な事を後になって気づいた。
まぁそれだけ成長したということにしておこう。

そんな、正確で限りなく真実に近い且つスピード感を持って仮説立てができるのであれば、何もいうことはない・・。

根拠としての活用

なぜ今更エスノグラフィーなのか。
なぜわざわざ遠回りをしてまでこの考えに至るのか。

その背景には、「テクノロジーの進化」がある。

もともと地道でかなりのリソースを必要としていたエスノグラフィーだが、
今やそれを解決してくれるものがある。
AIやIoTといったテクノロジーの進化である。
膨大なデータ(エスノグラフィーの実践によって得た事実)を簡単に蓄積して、それがAIによって多種多様な分野に最適化をしていく時代。
簡単にビッグデータの活用と言い換えられはしているが、ビッグデータも元を辿ればエスノグラフィーに行き着くと思っている。

もとい、そんなことはどうでもいい。
それが圧倒的に早くて正確なものであるならば使わない手はない。
では人間の価値はどうなるの?という議論になり得なくもないが、それは今までの記事を参考にしていただきたい。

人も常に進化している。

人類学というまさに人類にとっての起源たる考えを、
テクノロジーの進化とともに有効活用していこうではないか。

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