【読書メモ】教育DXで「未来の教室」をつくろう―GIGAスクール構想で「学校」は生まれ変われるか (浅野大介 著)

不登校などの課題や教育格差を放置したまま、ICTを進めて学校は果たして良くなるのか? 疑っていたけれど、取り組む熱い人たちを知るごとに、これは正しい方向だと思えてきた。私の誤解を解いてゆく熱い一冊。不登校への眼差しや教育そのものへの思いに感銘を受けた。

【読書メモ】
教育DXで「未来の教室」をつくろう―GIGAスクール構想で「学校」は生まれ変われるか
浅野大介 著(2021/11/1発行)
https://www.amazon.co.jp/dp/4313654038

●グッときた一文
そもそも不登校状態の子たちは、「いまの学校」という学習環境に違和感を明確に表明し「自分の居場所はここじゃない」と意思表示した子たちです。この子たちを個別最適に伸ばせるオルタナティブ・スクールは、巡り巡って「いまの学校」に大きな影響を与える存在だと捉えて、ここでの教育イノベーションを後押しすべきです。
(p.183)

●「未来の教室」とEdtech研究会第1次提言
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180628001.html
(p.22)

●OECD Future of Education and Skills2030
要約すれば「子どもたちが強い”当事者意識”を持ち、”対立やジレンマ”を克服して”いまより良い状態”を”責任持って仕上げる”力を身につけられる教育に使用」ということ
(p.48)

●2017年改訂学習指導要領
学校教育を「主体的・対話的で深い学びに転換しよう」
裏を返せば「受動的・一方的で浅い学びはもうヤメにしよう」
(p.48)

●ICT利用のメリット
みんなの前で、「わかりません」を言わされる恥を書かずに「こっそり」疑問を解消できる
(p.50)

●「未来の教室」の基本構造の②、③
②学校の最上位目標は「自律と共生のスキルの獲得」(教育基本法第5条第2項に定める義務教育の目的の実現)だということに、先生・生徒・保護者・外部協力者がコミットできている
③そのために、学習指導要領が求める資質・能力を「各自それなりに」手に入れるようにしようという目標にも、先生・生徒・保護者・外部協力者がコミットできている。
(p.84)
→上記②の内容には同意。現状の課題は、コミットはおろか、最上位目標の合意ができていないことだと考える。偏差値の向上が目的の中に地位を占めている。
→上記③の内容には少し疑問を持っている。「各自それなりに」能力向上すればよい、について。一律強制を止めることに一定の理解はできるが、「誰もが必須で」身につけるべき資質・能力を学習指導要領として定義するべきだと考える。
しかし、本書終盤で下記記述がある。私の理解が未だ未だなのだと思う。

すべての子どもたちに対する「学習権の実質的な保障」については
「教育機会確保法」の立法を最後に、大きな動きは見られません。「誰一人とり残さない」ために教育政策がやるべきことは、山のように積み残されています。
(p.222)

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