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店を開けるか? 閉めるか? の今
先日の東京の雪、すごかったですよね。
今日はその時に思ったことをつらつらと書いてみます。
経営者はこんな視点で物事を考えているんです、という感じの話になるかもしれません。
一昔前 (3年くらい前まででしょうか)、雪が降っても台風が来ても、店を開けて営業し続けることが日本の美徳だったような感があります。
早々に閉める店は、なんだかサボってるように後ろめたい空気があったのです。
これは青山店で実際にあった話ですが、昔ビルの水道事故があって、真昼の営業中に水が止まったことがありました。事故なので、「臨時休業」という判断も十分に対外的な説明がつくのですが、そこで安易にすぐ諦める判断をせずに、ギリギリまでなんとか営業できる方法はないか?
という野生的な視点で知恵を出します。
「うちの店では、仕込みさえ終わっていれば製造に水を使うことはない。裏の駐車場からバケツ汲んでくれば洗い物はできるから営業は継続できる」
なんていう案を僕が出したものだから、現場はドン引きしていました。
けっこう体育会系だったと思います (実際にこれはやりませんでしたが 笑)。
当時世の中の居酒屋とかラーメン屋さんとかは、もっと強めのノリだったことでしょう。
近年、コロナ禍やサステイナブルな風潮も相まって、「従業員のために早々に閉める判断をする店」が逆に理解され共感され賞賛されるようになっている感覚はあります。
在宅勤務なんて少し前は理解がなかったけど、今はもう世の中的にも会社側の仕組み的にも従業員側も慣れてるから、すぐに切り替え可能で早々に判断ができます。
(昔、僕が事業準備をしていたときは、しばらくオフィスもなく自宅に籠って作業をしていたので、ご近所さんからは白い目で見られ、親戚からは心配されていました 笑)
結果的に、今回の東京の雪に関して、F&Pではそれほど躊躇せずに閉店判断や在宅切り替えをしたわけですが・・・一方で、生活インフラを担ってる店や機関は、それでもなかなか休めません。
電車・病院・コンビニ・スーパー。
彼らが店を閉めないモチベーションはなんでしょうか。
書き入れどきだから? やってないとクレームになるから? 社会責任だから?
2020年4月、最初の緊急事態宣言。
F&Pの事業は生活インフラを支えるものではないとはいえ、それでも安易に閉めずに営業を通してきました。
とにかく、活動を止めることがまずい。それは血流が止まるようなものです。「F&Pの事業は不要不急だ、だから今は店を閉めるべきだ」という意見もありました。
生活インフラにならないと社会責任は生まれないのか?
そんなことはないと思います。
チャップリンの喜劇は戦下の人々に勇気を与えた。
ツービートは80年代不景気下の日本で漫才ブームが起こした。
人々には笑いが必要です。エンターテイメントは不要不急ではないと思います。
自分たちがやっていることに大志があって強い意義を感じられれば、営業は続けられるはず。
このときに周囲の雑音を跳ね返し、活動を守る行動原理になっていたのが、
「食べることは人にとって止めることができない」
「疫病と闘うために鍵となる防御策は、健康的な食べもの、健康的なライフスタイルからなる強い身体である」
というものです。
小さな飲食店にとって、感染拡大防止の協力金は真面目に営業した場合の営業利益よりも大きくなる。
その時に「おっしゃラッキー」と言って安易に店を閉める選択をした人たちは今、
協力金なしでは生きていけない体質になってしまって、「お店にお客さんが戻ってこない」という代償を払っています。
「サボったツケ」というやつです。
一昔前と違って、良くも悪くも選択肢が増えた今、有事の際の「営業する・しない」の裁量も経営者に任されているわけですが、、、
そんな時こそ「何のためにお店をやっているのか」を強く持っておくことで
ブレずに社会に対する姿勢を保てるよね、と思った話でした。
(この記事は、2022年1月に社内向けに発信された内容をもとに編集を加えています)