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仕事をサッカーに例えた話を語らせてくれ
実は40歳でサッカーを始めて、何を目指しているのかわからないくらいやたらと練習に励んでいる西野です。
サッカーと会社の仕事って、本当によく似てる点が多いんですよね。
たとえば・・・
サッカーをあまりよく知らない人から見たときに、
FW(フォワード) の仕事っていうのは比較的わかりやすいと思うんです。
一番前にいて点を獲る人なので、ゴールを決めたら「よく働いた」と称賛されるし、
点を獲れなかったら「活躍できなかった」と言われてしまう。
何より、ゴールシーンは華やかなので目立ちます。
GK (ゴールキーパー) も同じくで、
最後の門番が相手の得点を許さなければその日のヒーロー、
逆にミスしたら即失点なので同じく目立ちます。
DF (ディフェンダー) は、最終ラインで仕事するポジションです。
これも、名前の通り守備が主に期待される役割なのでやはりわかりやすい。
じゃ、中盤 (MF/ミッドフィールダー) の選手がゲーム中に何やってるのって、
意外に詳しくないと観ていてもいまいちよくわかんなかったりするんじゃないでしょうか。
スペインの名門・FCバルセロナ黄金時代を支えた中盤、「シャビ」「ブスケツ」といったレジェンド選手が試合中に何をやっているか、説明できる人は少数じゃないでしょうか?
僕は、ビジネスで「中盤」にあたるのが「マーケティング」や「企画」の役割だと思っています。
「セールス」や「店舗現場」は最前線で点を獲るのがミッションですし、
「財務」は会社が潰れないようにキャッシュの動きを監視し続けなくてはいけない門番。
でも、「マーケティング(MK)」とか「企画」って、外から見ると何やってるのかよくわからなくないですか?
結論から言います。
会社などのビジネスチームにおいて、
企画/MKの仕事は、「決まっていないことを決める仕事」だと思います。
MKは、攻撃的ミッドフィールダー (トップ下とかインサイドハーフ)
企画は、守備的ミッドフィールダー (ボランチとかアンカー)
とも例えられますが
(例えたことによって一層わかりづらくなりましたが)、
中盤を制する者がゲームを制すともいう通り、
中盤がいい仕事をするとチームは活性化して、相手に対して有利にゲームを進めることができるようになります。
いわゆる「司令塔」と呼ばれるのもこのポジションです。
僕自身、人から「お店には出てないんですか?」と言われることがあります。
最近はそうでもないですが、
昔は「社長が現場にいないで何をしてるんだい?」と半分揶揄も込めてのことだったと思います。
おどろいたのは「見えている仕事が仕事の全てだ」と思っている人が意外と多かったということです。
「僕が前に出たら、後ろが空くじゃないですか。
で、社長に代わってそのスペース埋められる人って、いないじゃないですか」
というリスクが想像できていないんだ、と。
決まっていることをやる仕事は、わかりやすいんですが、
決まっていないことをやる仕事は、イメージもしにくいし外からもわかりにくいんですよね。
実は僕がこの話をするのは、
かねてより日本のビジネスの現場には、いい中盤の選手が少ないなと感じているからです。
(と、その昔ワールドワイドで仕事をしていた西野が言います)
ビジネスチームの中盤をこなすには総合的なスキルが求められますし、
ある程度の経験や知見も必要です。
たとえば行ったことのない国に行って、
現地の人たちとその日から英語で一緒に仕事をしなくちゃいけないとしましょう。
その時、自分のスキルのうち、何が拠り所になるでしょうか。
ホワイトボードの前に立って黒ペン1本だけを片手に、その場を指揮ることができるか?
仕事で優秀な中盤の選手とは、世界中どこであってもペン1本あれば中心人物になってしまうような人材です。
その能力を、これからを担う若い世代の人たちに伝え送りしていきたいなあと思っていて、
F&Pジャパンを設立してからも、社内ゼミをやったりとかいろいろ試してきました。
企画やMKをやるには、
決まっていないこと、誰も拾わないボールに目を向けて、回収して、
チームの誰かが拾えるボールに変えなきゃいけない。
地味で目立たないけども、それができる者はまさにリーダーです。
もしかしたら今まさに自分のところにあるボールは、
自分以外の誰かが一生懸命に「奪って」「組み立てて」「通して」「繋いだ」ボールかもしれませんよね。
大きな企業だと気づかないことも多いですが、今自分が仕事ができているのは同じチームの誰かのお陰と感謝を忘れちゃいけません。
で、言いたいのは「企画」「MK」と言っても (F&Pジャパンのような小さなスタートアップであればなおさら)、
それは「役割」であって「職種」ではありません。
現場営業であっても、ふだん店舗にいたとしても、バックオフィスだからと言っても、自分には関係ない話ではなく、
ふだんのちょっとした仕事の中でみんなに平等にそういう機会はあるものだと思っています。
サッカーと同じで、場面によって役割はいつも流動的に変わるのです。
ちなみに僕は社長なので、本来「監督」であるはずですが、
自分でも全部のポジションが一通りできるからこそ監督をやる資格があるんだと思ってますし、
日々、選手としてもバリバリこなす気概でやっちゃっているんですが、、、
そろそろ欧州サッカーチームも自分と同世代の監督が活躍していますし、
自分自身をどこに置くのがチームにとって最も最善かを考えると、
やはり自分はピッチの外にいた方がいいのかも・・・
と実は最近考えているところです⚽️
(この記事は、2023年3月にF&Pジャパン社内向けに発信された内容をもとに編集を加えて公開しています)