精神科って怖いところ?

「精神科病院」と聞いて、どのようなものをイメージしますか?

奇声を上げる人、すぐ暴れる人、目つきがおかしい人など、何となく怖い人がいっぱいいるイメージを持つ人も、まだまだいらっしゃると思います。

確かに昔は「キチ◯イ病院」なんて呼ばれ方もされていましたし、僕自身もだいぶ差別的なイメージを持っていました。


けど、僕が初めて精神科病院に行ったときにまず浮かんだ感想は「意外とフツーだな」でした。


最初に通った病院と、入院から完全寛解まで通った病院の計2箇所でトータル5年半通院したのですが、その「意外とフツーだな」という感想が変わることは最後までありませんでした。

待合室は、おじいちゃんおばあちゃん、制服を着た学生さん、土方の作業服姿の人、スーツ姿の会社帰り風な人も、上下スウェットの若いカップルもいて、それはまさにどこの病院でもフツーに見かけるフツーの景色でした。

もちろん、受付で怒鳴り散らす人。待ち時間が長くて怒り出す人。女性スタッフにだけやたら強気な人。待合室でマナーを守らない人など、問題を起こす人もいましたが、それはどこの病院でもあることです。

残念ながら、事件が起きてニュースになった病院もありますし、実際に怖いイメージそのものの病院もあります。名前は出せませんが、僕もいくつかは知っています。問題のある病院も評判の悪い病院も、当然あります。

でもそれも、眼科でも耳鼻科でも、どの科でもあることであり、『精神科=怖い』ということにはなりません。


僕は体やメンタルに異変が起きたとき、すぐに病院に行ったわけではありません。


「うつ病かもしれないから精神科に行かないと」みたいな考えが最初は浮かばなかったというのもありますが、実は初めてメンタル系の病院に行く1ヶ月か2ヶ月くらい前には、「これはうつ病じゃないか…?」と少し疑ってはいました。

ただ、うつ病をバカにしていたのもありますし、僕の中でイメージの悪い精神科という場所に行くということ自体に、強い屈辱を感じていたのもあり、病院に行こうとしませんでした。

そしてついに限界が来て病院に行ったとき、僕の最初の主治医から

「おそらく1年前にはもう限界だったんだと思う。あと1年早く病院に来ていればここまでの状態にはならなかった。」

と言われました。


そのセリフは今もハッキリ覚えていますし、これからも忘れることはないでしょう。


すぐにでも病院に行くべき状態なのに、何となく悪いイメージを持っていたがために、受診が遅れてしまう。

そのために治療期間が長くなったら、「早く病院に行けばよかった」あるいは「早く病院に行かせればよかった」と、ずっとずっと後悔することになります。

まして、そのせいで最悪な結末になってしまったら…?

その後悔は計り知れないでしょう。


精神科なんて探せばあちこちにある、ただの病院です。

街中を歩けば病院なんていくらでもありますよね。でも、例えば「近所に皮膚科は何軒ありますか?どこにありますか?」と聞かれたら、自分が行ったことがある病院以外は正確に答えられないと思います。

病院ってそれくらいフツーの存在なんですよね。そのへんのお店とかと同じで、どこにでも当たり前にあり、自分が通わなければ記憶にすら残らない、ただの風景の一部なんです。


精神科はただの病院の1つです。怖いところではありません。

何かあったら行く。困ったら行く。ただそれだけのところです。

いいなと思ったら応援しよう!

錦山まる
いただいたサポートはプロテインではなく活動費に当てさせていただきます。