ビバ、 ミリキタニ・パワー✌️‼️
何故か妙にタイトルに惹かれて、導かれるように六本木まで足を運んだ映画がある。今を遡る事2006年の秋、東京国際映画祭での事で、その映画は『ミリキタニの猫(The Cats of Mirikitani)』。NYのソーホーで路上生活をしていた、とある日系人画家の生活と秘められた過去や思いにせまる作品。 ジミー・ツトム・ミリキタニ(三力谷 勤)、米国サクラメント生まれ、広島育ちの日系2世。2001年の初頭、たまたま近くを通りすがったリンダ・ハッテンドーフ監督が、熱心に猫の絵を描く彼に話しかけたのが事の発端。そしてあの911の直後、淀んだ空気の中でも咳き込みながら路上で絵を描き続けていた爺ちゃんを思わず家へ招き入れた事により、リンダさんはジミー爺ちゃんの摩訶不思議な人生に否応もなく巻き込まれる事となる。幼児の頃両親と広島に渡り日本の教育を受けたものの、海兵隊学校へ行きたくないが為にアメリカへ舞い戻り、そこで第2次世界大戦勃発、日系人強制収容所生活を余儀なくされる。戦後、漸く自由の身になった後に画家を志してNYへ向かう。長年料理人をしながら絵を描き続けたものの、最後の雇い主が亡くなった為に路上生活者となる。
日本と米国、2つの国の歴史の闇と法の狭間に落ちてしまった、ジミー爺ちゃんの半生が次第に解き明かされてゆく。荒れ狂う激しいタッチで原爆ドームを描くかと思えば、優しいほのぼのタッチの猫や柿を描き、道行く人を時に惹きつけていた晩年の日々。リンダさんや福祉事務所の尽力により、市民権回復が確認されてケア付アパートに住めるようになり、ツール・レイク強制収容所巡礼ツアーにも参加し、2012年の秋に天に召される迄、愛猫ミコと暮らしていた、というドキュメンタリー作品。そこに至るまでの彼の生活の変化や日本人にも知られていない歴史的な事だけでなく、長年閉ざしていた心の扉が徐々に開かれてゆくにつれ、爺ちゃんの性格や表情、画風までが穏やかに変わっていく様が映し出され、人間っていくつになっても、こんなにも変われるのだなと強い感銘を受けたのだった。スタッフロール時の画面では、撮影中に偶然親戚と判明した日系3世詩人ジャニス・ミリキタニさん(先月7/29にご逝去、享年80)と「ミリキタニ・パワー!」と叫びながらピースサイン。この映画を観られるチャンスはなかなか無いのだが、東京でも年に2回ほど開催されるジミー・ミリキタニ絵画展には、以来足を運ぶ事にしている(映画上映もあり)。ビバ、ミリキタニ・パワー✌️‼️
🐈https://www.facebook.com/mirikitani/
🐈https://twitter.com/mirikitanineko?s=21
😸現在、アート千代田3331(銀座線末広町またはJR秋葉原)にて開催されている、ポコラート世界展「偶然と、必然と、」にて、ジミー・ミリキタニの作品8点が観られます。ただし〜9/5(日)まで😸
https://pocorart.3331.jp/world2021/
追記。絵画展等で上映の際は、スピンオフ的な短編「ミリキタニの記憶」も続けて上映されます。前作にも関わっておられたプロデューサーのマサ・ヨシカワ氏が(たまたまNYでリンダ監督に日本人ですか?と声をかけられたのがキッカケだったとか)監督されていて、90年代後半にNYに在住していた日本人の方々(駐在員やアーティスト、カメラマン等)のジミー爺ちゃんにまつわる思い出や、広島の三力谷家に残る家系図(ジミー爺ちゃんの父親は三男だったらしい)、母方の家に残る水墨画など、違った角度からの新たなエピソードが紹介されていて大変興味深いです。何はともあれ、Make Art, Not War‼️