自主防災・避難誘導マニュアル(風水害編)第二章 避難するのに助けが必要な方々への支援について
実際に災害が発生したら、個々の自力だけで対処することは大変に困難で、地域の力をうまく活用して早期に対処し被害をできるだけ少なくとどめたり、たとえ被災したとしても助け合って避難したり復旧させるなど、共に助け合う営みができなければ、災害を乗り越えることがとても困難になってしまいます
地域住民の一人ひとりが、組織的に初期消火や情報伝達、避難誘導、救出・救護、避難所運営等の自主的な防災活動を行うことが重要です
<避難行動要支援者とは>
地震や風水害といった危険がせまったときに、それを察知したり、適切に行動したりといったことに何らかのハンディキャップがあり、周囲の支援が必要になる方たちを一般的に「避難行動要支援者」と言います
● 要介護者、身体・精神障害の方など(市が毎年対象者リストを作成しています)
→要介護認定3以上、第1種障害者手帳をお持ちの方などの他に、それらに準ずる方など
●支援が必要な高齢世帯(自治会が各伍長さん、民生員と連携して把握します)
→75歳以上のひとり暮らし、または高齢者しかいない世帯など避難行動に支障がある方々
<平常時からの取り組み>
西泉田区の避難行動要支援者リストを作成(収集する情報は非公開です)
これらは毎年度更新が必要です
区長は年度当初に市の福祉課から対象の要介護や障害をお持ちの方情報を受領します
上記以外に支援の必要な高齢者等の情報を各伍長さん民生委員に協力いただきリストします
要支援対象者には従前に、区の避難支援が必要か、支援者への情報開示の承諾、防災ラジオ(緊急告知FMラジオ)の希望について確認します。また、毎年度、新たに要支援の対象者が出てきた際には、区長と民生委員が個別に訪問説明し意思確認をおこないます
自治会三役(区長、副区長、会計)で要支援者の所在地を西泉田区の防災地図上にマッピングし全体状況を可視化しておき、発災時の実働の際には進捗確認等ができるようにしておきます
個別避難計画の作成 毎年度6月までを目途とする
要支援者1名につき、近隣住民数名を支援者とする必要があります
自立歩行困難な方は、どのような方法で避難所へ移動できるか、個別具体的な相談ヒヤリングが必要となります
自治会三役(区長、副区長、会計)と各伍長さんを中心に、民生委員と消防団の協力をいただいて個別の計画書を作成します
自主防災訓練の際には、これらの情報伝達及び避難支援に関する訓練を実施します
■消防団と自治会(自主防災組織)の関係
消防団は、市の組織であり自治会とは別組織で、市長、消防本部の指揮命令により活動し、時には市内の最重要地域におもむき活動を展開します
しかし、消防団と自治会(自主防災組織)との連携は必須であり、災害時においては協働していくことが重要で、特に災害初動時には消防団は地元での活動を優先します
■緊急告知FMラジオ(FMゆきぐに)の活用について
区では、自主防災組織や避難行動要支援者等が、高齢者等避難【警戒レベル3】の発令を確実に把握し、速やかな対処行動が発動できるよう、「緊急告知FMラジオ」を順次、必要な方(要支援者及び支援する方、各伍長さんなど)へ配備していく計画を検討しています
南魚沼市は、特に降雪期などの地勢的な理由により、防災行政無線による屋外放送スピーカーの代替としてFMゆきぐに緊急割り込み放送設備を整備しています。自立した避難行動が自己完結できる一般区民の皆さまも、災害時等における情報把握の手段として携帯型ラジオなどの用意を検討おきください
<災害発生時の対応>
1.高齢者等避難【警戒レベル3】が発令されたら
避難行動要支援者とその家族の皆さん
緊急告知FMラジオ等で避難発令を確認したら、必要な身の回り物やお薬などを確認し、速やかに避難準備をしてください
各伍長さん
自治会の緊急連絡系統により高齢者等避難発令の連絡が入ります
あらかじめ取り決めておいた支援者へ避難支援の要請連絡をしてください
要支援者のお宅へ連絡し、避難指示発令を把握しているか確認し、支援者の到着見込みをお知らせください
支援者からの避難完了連絡が入ったら自治会(自主防災組織)へ報告ください
あらかじめ避難支援者として選任されていた方
伍長さんより高齢者等避難が発令との連絡が入ります
避難支援に行けるかどうか回答いただき、到着の見込み時間などもお知らせください
消防団員の場合は所属の班長、団長等へ避難支援に向かう旨の行動報告をしてください
要支援者のお宅へ着いたら、到着連絡を伍長さんへ一報ください
無事に避難所へ到着できたら受付簿を記入し、避難者を民生委員もしくは市の災対職員へ引継ぎをしてください
避難支援の完了報告を伍長さんへ連絡してください
地域の民生委員
自ら避難支援に向かう必要のある方がいる場合は、その旨を要支援者の所在する伍長及び区長等へ連絡ください
上記以外の場合、要支援の高齢者などがたくさん避難所へ参集することになりますので、速やかに避難所へ向かってください
【注意】避難行動要支援者へ支援に行かれる方のご家族様
災害は、どのくらいの時間で【警戒レベル3】から【警戒レベル4・5】へ移行するか分かりません
もしかすると支援に向かった方が家に戻ってくる前に、急に状況が悪くなるかもしれません、もしそうなったら単独自力で避難できますでしょうか?この時点【警戒レベル3】で最初から一緒に避難所へ向かったほうが安心ではないでしょうか?
支援に行くとの連絡が入った時点で必ずご家族で相談して、行動予定を共有してください
2.避難所の受け入れ態勢
要配慮者用スペース(福祉避難スペース)の設定について
傷病者、障がい者、乳幼児、妊婦などの要配慮者に対しては、別にスペースを提供する必要があるとされています
→市の災対職員と自治会、民生委員で相談する
施設内に避難者の受け入れ場所以外で利用可能なスペースがあるか、施設管理者と確認し場所を決定する
施設内に要配慮者用スペースの確保が難しい場合は、避難者の受け入れ場所の一部を間仕切り等で仕切り、スペースを確保する(プライバシーの保護にも十分配慮する)
【注意】要配慮者の中には、特別扱いされることに抵抗を示す人もいるため、居住性の高い部屋(場所)を優先的に提供する際には、本人や家族の意向を必ず確認すること
福祉避難対象者の把握(民生委員、市の災害対策本部)
避難所での長時間滞在に支障があり、特別な配慮を必要とする避難者がいる場合
民生委員は、「要配慮者情報記入カード」の作成に協力するとともに、市の災対本部福祉保健部(保健師等)のスクリーニング調査に協力し、社会福祉協議会と連携して適切な避難施設等への移送なども含めた判断を、適切なタイミングで実施できるよう働きかける
→ 南魚沼市指定避難所運営マニュアル 別紙7要配慮者情報入力カード
3.避難情報解除後の対応
避難行動要支援者が自宅へ戻ることができる状況となった際には、個別に帰宅方法について民生員及び、区の災対で相談し必要に応じた支援をおこなう
区の自主防災組織体制の解除については、災害対応の収束及び避難所の閉所後において、区長が適切な時期に判断して指示する
<本書作成にあたって参考とした資料等>
南魚沼市地域防災計画 風水害対策編(令和4年11月版)
南魚沼市指定避難所運営マニュアル(令和3年4月版)
魚沼市避難行動要支援者の避難支援マニュアル(令和4年1月版)
総務省消防庁自主防災組織の手引き(令和5年3月版)
*市の防災訓練においては総合支援学校の防災備蓄、資材等を確認すること
能登半島地震の際、輪島市の48カ所の指定避難所の内、26カ所に一切の備蓄も資材がなかったため、数日間何も食うものも水もなかったとのこと 朝日新聞より
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