書評「宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。」
経済メディアや、ビジネス書で好まれるのは、わがままだけれど、道を示してくれる、強烈な個性をもったリーダーです。しかし、本当にそんなリーダーと一緒に仕事をすると幸せでしょうか。強烈なリーダーは周りを疲弊させ、リーダーがいなくなった後の組織は焼け野原になっていることも珍しくありません。
そして、多くのリーダー役を任されている人は、そんな強烈なリーダー役を担えるわけではありません。部下や周囲の声に悩み、ストレスを溜め込んでいき、ますます仕事が上手くいかない。そう感じているリーダーの方が多いかもしれません。
ただ、本書「宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。」の冒頭には、こう書かれています。
リーダーとは、生き方や働き方のハンドルを自分で握っている人のこと。
本書「宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。」は、漫画「宇宙兄弟」で描かれている登場人物の言動や行動を例に、自分らしいリーダーシップを発揮するための考え方を紹介しています。
周囲の人に手本を示したり、強烈なメッセージを示すのがリーダーの役割ではない。そんなリーダーの例として、本書が例に挙げているのが、漫画「宇宙兄弟」の主人公、六太(ムッタ)です。
リーダーは、いちばん前で行き先を見てる人
僕が本書を読んで思い出したのは、ほぼ日刊イトイ新聞に掲載されていた「Unusual」という連載です。
この連載で糸井重里さんは、船のようなイラストを示した上で、こう語っています。
働く人たちはみんな、フラットなところにいる。
で、かつてトップにいた人は、
上にいるんじゃなくて、いちばん前にいる。
それは、いくらフラットな組織だといっても、
みんながそれぞれに助け合うように
かみ合っていかないと仕事にならないから。
だから、全体はフラットだけど、
いちばん前で行き先を見てる人が必要なんです。
本書で語られているリーダーとは、「いちばん前で行き先を見ている人」のことだと、僕は読み終えて感じました。
ちなみに、以前ビジャレアルの佐伯さんとお会いした時、「リーダーは船はどの場所に立つべきか」という話をしたことがありました。
佐伯さんによると、ビジャレアルではリーダーは「船の両脇に立つべきだ」という考えなのだそうです。両脇に立つ理由は、船がどこに進むのか、周りにどんな障害があるのか把握した上で、乗組員をサポートするのがリーダーの仕事だ。そんな話を佐伯さんが話してくれました。
リーダーが乗る位置は異なりますが、佐伯さんの話も、糸井さんの話も、本書に書かれている話も同じです。
僕の周りにいるリーダーシップを備えている人
ちなみに僕の周りに本書に書かれているタイプのリーダーはいるかなぁと考えてみたのですが、普段ツイキャスで話している、FC今治の中島さん、Fリーグ名古屋オーシャンズの星翔太選手は、2人とも本書に書かれているようなリーダータイプを備えた人だなぁと思います。僕はいつも2人と話しているのは楽しいし、2人の態度から多くを学ばせてもらってます。
本書を読み終えて、多くの人は「こんなリーダーなら、自分でもできる」と思うはずです。ぜひ読んでみてください。