【映画感想文】 『侍タイムスリッパー』 を見て欲しい!!
先日フィルマークスで、現在公開中の映画をチェックしていると、気になる映画があった。
『侍タイムスリッパー』
評判は高く、noteでもレビューをしている記事がいくつかあった気がする。
もちろん時代劇なぞ見たこともない私は、『侍タイムスリッパー』の予告をチラッとみて、そして、映画のチケットをポチった。
んもう、めっちゃ面白かった。
映画館で、こんなに笑ったのはじめてでは?ってほどに。
周りのお客さんも、笑うところはしっかり笑うから、こっちも遠慮せず笑うことができた。
最後の方は、主人公の侍魂にちょっとうるッときちゃって、終わった後トイレに行ったら、頑張って引いたアイラインが片方だけ消えていた。
まず、冒頭からつかまれる。
ちょんまげ頭をした2人が暗闇に身を潜め、ヒソヒソ話しながら、誰かを待っている。
緊迫した空気感から、この2人はこれから敵を討つんだな、と察する。
敵らしき人が現れ、2人は立ち向かい、そして早速戦いが始まる。
あっという間に1人が倒れ、主人公は敵と一対一で見合う形に…
そして迫力のある戦いが始まったかと思えば、そこに雷がドーーン!!
そして、『侍タイムスリッパー』とかかれたタイトルもドーーン!!!
うわー!っと思ったら、次のシーンでは主人公が倒れ、ここはどこ…?状態。
テンポがいい。
タイムスリップものは、もういろんなドラマや映画やアニメや漫画やらで使い古されたジャンルなのだが、、、
2時間を一瞬たりとも飽きさせないテンポの良さ、役者さんたちの味のある演技、そして、まるで真剣でやりあってるんじゃないかと思うほどの迫力のある殺陣。
これがこの映画が一際輝いている理由であると思う。
(他にもいっぱいあるが…)
もうあなた前世侍でしょ!としかいいようのない、ちょんまげの似合う風貌の主人公・新左衛門役の山口馬木也さん。
風貌だけでなく、演技もいい。
会津の訛りのあるセリフや、侍だ!と思える剣技に、恩を与えてくれる人に対して誠心誠意応じている侍の心。
ヒロイン優子に対してはピュアだが、やはり侍。
だから、会津藩の無惨な最期を知った新左衛門は、いてもたってもいられなくなって、宿敵である風見と監督に真剣で撮影しようと申し出る。
斬られ役として育てあげてくれた師範の教えに背いてまでも。
斬られ役の役者ではなく、侍としての気持ちが大きくなる。
キャラとしても魅力的だし、そこにぴったりな役者さんが入るから、もっと魅力的になる。
観終わった後、パンフレットを見て、映画制作の過程の過酷さに驚いた。
新左衛門役の山口馬木也さんは、自主映画の乏しい予算を気遣って、京都の撮影には新幹線ではなく、自ら車を走らせて行っていたそう。
侍魂ならぬ役者魂というか。
そういうエピソードを聞くと、山口さんのあの熱のこもった熱い演技にも納得できる。
クライマックスの新左衛門と宿敵・風見との殺陣には、息をのんだ。
2人が構えの姿勢に入ってからの "間"。
この"間"が長い長い。
私の胸もドキドキが止まらない。
パンフレットにも、監督はこの長い"間"をいれるで、真剣でやり合っているという迫力と緊張感をだしている。
撮り方、見せ方によって、画面は華やかに魅力的になる。
ちょっとした工夫やアイデアが大切なのだと思い知らされる。
そして、ユーモアのある笑えるシーンもたくさんあるから、飽きることがない。
さりげないボケやツッコミ。
特に、新左衛門が師範と殺陣の練習をしているシーンは、もう映画館は笑いに包まれていた。
かと思えば、ウルッとくるシーンもある。
新左衛門が会津藩の悲惨で無惨な最期を知り、そして斬られ役の役者としてではなく、侍として、風見に立ち向かう。
そして、風見も新左衛門の気持ちを察したのか、真剣で撮影しようと申し込む新左衛門の様子に涙を流す。
この涙は、新左衛門の侍としての覚悟に心を震わされたのか、仲間たちをどうすることもできなかった新左衛門に同情したのか……考えれば、いろんな考察をすることができる。
風見役の冨家ノリマサさんの素晴らしい演技である。
こんな具合に、笑って泣いての2時間なのだから、あっという間だった。
主人公と周りの人たちの熱い関係、王道的な展開もありつつ、ユーモアのある笑いに、迫力のある殺陣。
面白くて良い映画だ。
今年の映画の中でも、トップクラスなのでは?
ハリウッドやディズニーの力が弱まりつつあるなか、このような自主映画はこれからもっと増えてほしいと思う。
ぜひ、映画館で見てほしい!
学生のくせして、一丁前になんか上から目線の評論家のような、である調
の記事を書いてしまった……
ドキドキ。