見えない境界線
素足にひんやりとした浜辺の砂の感覚を
肌は冷たい風に打たれ
潮騒は黒く囁く。
なのに、夜の海は静かだ。
辺りは暗く、海は黒い。
「私は黒いから、この海に吸い込まれてしまいそうで怖いの。」
そう、少女が呟いた。
目線の先には、光などなく
ただ、黒い海と暗い夜空が広がる。
海は深く、空は広い。
その境界は街の灯りか星の輝きにしかなくて
夜は世界がひとつになる。
それを少女は知らない。
ただ、夜の深さと広さのみを知る。
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