2020年3月福島取材㉕/双葉駅のマスコット
「有料」とありますが、基本的に全て無料で読めます。今後の取材、制作活動のために、カンパできる方はよろしくお願いします。
〜〜〜〜〜
<続き>
比較的綺麗な状態を保っていた図書館を後にし、傾いたままの廃墟へ目をやりつつ新山城本城跡へ。グーグルマップで目について、単純に城跡に興味があって行ってみようと思った。
長い石段を登り、小山の上へ。なかなかハードな石段だ。
途中社があるが、なんて名前の神社かはわからない。狛犬2匹のうち、片方は起こされてはいるが、震災で倒れたのか、今も地面の上だ。
お参りしてから竹林の脇の階段を登り、さらに上の城跡へ行くと、大きな広場が広がっていた。
モニタリングポスト。0.219μSv/hと表示されているが、実際、この広場の線量はそれほど高くはなかった。向こうに見える山の中はわからない。
滑り台やブランコ、鉄棒といった遊具があり、モニタリングポスト、そしてなんらかの記念碑があるが、倒れていて見ることは出来ない。震災直後のままだ。
ブランコや雲梯…かつては子供達の遊び場だったのだろうか。ここに子供達の姿が戻る日は来るのだろうか。
忠霊碑。かつて太平洋戦争で戦死した人々の名が刻まれている。放射性物質に晒され、長期に渡って放置され。英霊だ何だのと都合よく政治利用する右派は、この現状を見て何を感じるだろう。これでも原発を推進するか。
一瞬、浪江の丈六公園を思い出したが、冷静に考えると、3年前に避難指示解除したあっちの方が荒れている。線量もここの方が低いのではないか。
…つくづく、いい加減なもんだよ
新山城本城跡は、双葉町を見渡すにはいい場所かもしれない。いいポイントを探すには根気がいりそうだが、また来たいと思った。
駅前に戻ることにする。
山を降り、ゆっくりと再び双葉駅前へ。
駅前のベンチに座り、少し休憩…と朝コンビニで買ったおにぎりを取り出し食べ始めたら、駅前にいたおばさんが寄ってきてスマホを取り出し、写真を撮り始めた。
は? 俺がおにぎり食うのがそんなに珍しい?と戸惑うが、どうやら視線は僕ではない…左後ろを振り返ってみると
そこには1匹の狐がいた。物欲しそうな目でこっちを見てくる。
「ごめんよ、おにぎりはもう食べちゃった」と声をかけると、まるでこちらの言葉を理解したかのように、ゆっくりと僕の脇を通り抜け、去っていった。
後にわかったことだが、この狐は除染作業員か工事関係者に寄って餌付けされ、双葉駅周辺に居着いてしまったらしい。「報道特集」の金平キャスターも、3.11特番の撮影で双葉駅を訪れた際に遭遇したとFacebookに書いていた。
これから除染や解体等、人間の都合でやかましくなるとは思うが、車にはねられることなく、元気でいろよ、と思う。
少し休憩した後、そういえば、と思い双葉北小を検索、場所を確認し、そこへ向かうことにする。
踏切から浪江側を見る。
踏切を渡るとすぐに高台が見えてきた。その上が双葉北小だ。
このフレコンバッグには、解体された家が詰まっている。放射性廃棄物となってしまった大切な財産が詰まっている。
双葉北小の前には、「一時立入」と書かれた軽自動車が1台停まっていた。行政のサービスなのか何なのかわからないが、双葉町民の一時立入をサポートするのだろう。中では運転手がスマホをいじりつつ、利用者が戻ってくるのを待っていた。
坂をあがり、開いていた正門から中へ。校庭はどこかのゼネコンの資材置き場になっていた。そういえば浪江中学もそうだったなと思い出す。
こんな光景を目にするたび、「ゼネコンに荒らされた」と思う僕は捻くれてるのだろうか。
<続く>
ここから先は
¥ 100
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
サポートしていただけると大変ありがたいです。いただいたサポートは今後の取材活動や制作活動等に使わせていただきます。よろしくお願いします!