見出し画像

自律神経系のチューニング 〜自律神経機能が最適化するために必要な神経〜

「身体構造は、安全な状態のときに、タッチと手技を歓迎する」
「機能的には、神経系が安全であると感じると、身体はタッチされることを歓迎し、それによって身体構造が整い、自律神経機能が最適化される」

からだのためのポリヴェーガル理論 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ スタンレー・ローゼンバーグ(著)

正直、1冊目の【ポリヴェーガル理論  入門心身に変革をおこす 「安全」と「絆」】は訳がわからなかった(笑)

だが、なぜか諦めずに手を出し2冊目に読んだ【からだのためのポリヴェーガル理論 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ】は冒頭に書かれている文章からすぐにこの書籍にのめり込んだ記憶がある。
いまだに読み返すことがあり、新たな発見と刺激をくれる自分にとっては類をみない良書の1つ。

そして、当時は上記の記事で書かれているヒトと関わらせてもらう臨床という仕事において、霞がかっていた悩みが読み進めていくにつれて徐々に晴れてくるような内容でした。

受容器が自然の状態で選択的に受容する刺激、ある効果器を興奮させる特定の刺激、特定の感覚器が受容できる適切な刺激
適刺激
adequate stimulus)に対しても腑に落ちる点が多くより臨床においての充実度が深まる。

私にとって食べ物と安全と愛という三つの基本的欲求は、互いに混ざり交わり絡み合っているので、ある一つを他のもの無しで考えることはできない。

アメリカの美食作家M・F・K・フィッシャーの言葉より引用

以前、ふとした際にどこかで見てなんとなく覚えていたフィッシャーさんの言葉が蘇る。

安心、安全、幸福そして社会との繋がりがここまで身体に影響を与えているとは…
そして、学生時代に生理学と並び訳わからん代表の1つである脳神経学がここまでヒトをみていく上で重要になるとは…

迷走神経に2つの機能?〜腹側と背側〜

ポリヴェーガル理論における哺乳類、特に人類の自律神経系の進化を社会行動に結びつきと深い関わりがある迷走神経機能の新しい視点といえば、腹側迷走神経回路は外せない内容の1つ。

ポリヴェーガル理論によると、人が脅かされたり危険ではなく、安全だと感じ、身体が健康でよく機能していれば、のびのびとした社会交流行動に支えられた生理学的状態を楽しむことができます。
社会交流は、神経学的には、迷走神経(第Ⅹ脳神経)の腹側枝と第Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅺ脳神経の五つの脳神経の活動に基づいた状態です。

からだのためのポリヴェーガル理論 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ より引用

『迷走神経の腹側枝』って教科書にあったか?
というか迷走神経も怪しい(笑)
12の脳神経の内の1つだったかな…
何番目かも覚えていない…
確か分岐して違う神経や内臓とかにめちゃめちゃ広く分布したような…

迷走神経と内臓の分布を簡易的に表してくれている図
脊髄副神経は迷走神経の運動枝との説もあり胸鎖乳突筋と僧帽筋が神経支配の領域

迷走神経は舌咽神経、副神経とともに頸静脈孔を出た直後、下神経節をつくり上喉頭神経を分枝する。その後、内頸動脈と内頸静脈、総頸動脈と内頸静脈の間を下行し、右側では鎖骨下動脈を、左側では大動脈弓を下から後ろにまわる反回神経を分枝したのちに胸部腹部内臓に分布する。

頭頸部外科の立場から―迷走神経 反回神経の臨床解剖 より引用

反回神経も学生時代は今になってはめちゃめちゃ面白いから掘り下げていきたいけど脱線しまくるだろうからまたの機会に…

なんとなく覚えていた(笑)
やっぱり現状の一般的な生理学や脳神経学では、迷走神経を腹側枝と背側枝の2つの機能があると表現する書籍や文献はほとんど見られない。

・迷走神経の腹側枝の機能
・迷走神経の背側枝の活動
・脊髄鎖による交感神経系の活動

ポリヴェーガル理論によるとこの3つにより自律神経系を司り機能させているとのこと。

脳神経と筋肉の支配神経が一致するのが後々に臨床が深まる点の1つとして、自分の解釈でかなり重要な観点になる。
わかりやすいのは第Ⅺ脳神経の脊髄副神経と胸鎖乳突筋と僧帽筋の関係

学生時代に筋肉と支配神経を丸暗記のように覚えていたのが懐かしい(笑)

だが、腹側迷走神経経路の支配領域のアブミ骨筋や鼓膜張筋などは全然と言っていいほど講義や授業の内容にはなかったな…

適切なホメオスタシスのための腹側迷走神経回路

刺激が適切なのか?適切でないのか?
自律神経系が適切に働いているのか?働いていないのか?
ホメオスタシスが機能してる?機能していない?

適切なホメオスタシスの機能、適刺激、自律神経系の最適化、自律神経が整う…
結論から言うと、様々な表現がある中での根本部分には『腹側迷走神経回路』の機能が最適化されていることが重要になると考えます。

では腹側迷走神経回路とは?

自律神経系の最初の神経経路は、社会交流神経系です。それは、迷走神経(第Ⅹ脳神経)腹側枝と他の四つの脳神経(Ⅴ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅺ)の活動によって支えられています。この回路の活動は穏やかで自分をなだめる効果があり、休息と回復を促します。迷走神経腹側枝は、喜び、充足、愛といった肯定的な感情に関係します。行動の面では、友人や愛する人との肯定的な社会活動などが良い例になります。社会交流状態は、私たちが他者を支え、他者と分かち合う社会行動を支えます。他者との協力は通常、生き残る可能性を向上させます。私たちは共に話し、共に歌い、共に踊り、食事を分け合い、仕事を完成させるために協力し、子どもたちを教え、養います。

からだのためのポリヴェーガル理論 迷走神経から不安・うつ・トラウマ・自閉症を癒すセルフ・エクササイズ より引用

「喜び、充足、愛といった肯定的な感情」や「社会交流・社会行動」といった繋がりが支えているとあるが…
正直よくわからない…
何を基準にこれが働いている、働いていないのかがわからん…
子どもの頃に感情や表情ないと言われていたのがこの辺りがよくわからない要因の1つなのか(笑)
幼少期の頃は唯一、アンパンマンのテレビをみて笑っていたと親からも言われた記憶が…

迷走神経腹側枝
三叉神経(第Ⅴ脳神経)
顔面神経(第Ⅶ脳神経)
舌咽神経(第Ⅸ脳神経)
脊髄副神経(第Ⅺ脳神経)

まだ、社会交流神経系と呼ばれる迷走神経腹側枝と4つの脳神経の機能評価ができるのが客観的な部分としてはわかりやすいのではないかなと…

脳神経の機能評価は脳神経評価とは違うのか?
懐かしの脳神経評価。
医療学生1年目の際にひたすらやった記憶がある…

簡易的な脳神経と機能の内容①
簡易的な脳神経と機能の内容②
簡易的な脳神経と機能の内容③

・脳神経検査は、頸椎領域における血管病変の可能性を評価する際に有益である場合がある。
・理学療法場面では、まずは主観的評価において脳神経障害を示唆する兆候の有無を確認する。その後、必要に応じて脳神経検査を行っていく。
・脳神経検査は頭頸部領域の症状を訴える患者に対する理学療法を行う際に、患者の症状が筋骨格系に由来するのか、脳神経障害に由来するのかを判断するために重要な役割を果たす可能性がる検査である。

脳神経検査について より引用

基本的に脳神経検査の目的としては、器質的な病態を評価によって鑑別することが主になっている。

当時は神経の可塑性などもそこまで言われていなかったので、脳神経検査によって陽性と評価されての機能障害は器質的な問題から起因するのでしょうがない。
言い換えれば、能力としては改善する見込みや可能性がないので、今ある能力で生活できるようにするために周辺環境を整えましょう。
というのが1つの考え方だった記憶がある…

医療学生時代の実技練習や実習の際、実際に脳神経の評価をしたが疾患として脳血管障害を呈した患者さんに実施したので陽性になる…
脳血管障害を呈していない患者さんや学生に実施したので陰性になる…

実際の教科書に書いてある通りに反応が出るんだなと確認するような感じで、正直言うと評価して意味あるのかなと思っていた…
リスク管理という点では必要になるかもしれないけど、CTやMRIとかで検査するのと何が違うんだろうと…

脳神経の器質的な部分の評価ではなく、脳神経機能の評価をしていくというのはポリヴェーガル理論を知ったからの大きなパラダイムシフトの1つ。

「身体構造は、安全な状態のときに、タッチと手技を歓迎する」
「機能的には、神経系が安全であると感じると、身体はタッチされることを歓迎し、それによって身体構造が整い、自律神経機能が最適化される」

そのためには…

迷走神経腹側枝
三叉神経(第Ⅴ脳神経)
顔面神経(第Ⅶ脳神経)
舌咽神経(第Ⅸ脳神経)
脊髄副神経(第Ⅺ脳神経)

社会交流神経と呼ばれる『腹側迷走神経回路』を評価して最適化させるような状態にする必要がある!
そのためには脳神経の機能評価が必要になる。

脳神経の機能評価とは…




いいなと思ったら応援しよう!