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ダンスの姿勢と歩き方

「姿勢・歩き方」話しも今回で終わりにします。なぜなら、既に全ては実践にかかっているからです。理論は全て書いたと思いますので後は実践で何回も繰り返すことでコツがわかります。このコツが分からないとは練習不足です。

先生が話した意味、表現はたとえ的確に説明されていても人により捉え方、理解の仕方は違います。ダンスだけでなく何でも身体で覚えるものはコツがつかめるまで反復練習が必要です。この単純な反復練習をすることにより綺麗なダンスが実現するのです。
 
社交ダンス、とひと口に言っても、競技ダンス(ダンススポーツ)系なのか中高年から始めた、所謂、社交ダンスなのか、人により目標はそれぞれです。

教室では競技ダンス系のマニュアルで教えますので、この「濃度」がどのくらい濃いのか薄いのかで違いが出てくるはずです。ですけど、実際に私たちがダンスをしていて綺麗な踊りと感じるのは競技ダンス系の踊りです。

【競技ダンスに徹してしまうと誰とでも踊れる社交ダンスから離れてしまいます。特に女性。その他、特定のサークル内でのダンスやデモが目的のダンスなども同じ。パーティではいつものルーチンはないのです。踊る人に寄り違います、順番もフィガーも。全てフォローが出来るか否かに掛かって来ます】。

ダンスの立ち方は私が武道系の本から得た人類共通の綺麗な姿勢・立ち方と同じなのですから驚愕です。イギリスという国で発展したダンス、その基本は日本という遠く離れた国の古くから伝わる柔道・空手・合気道などの道と同じなのです。

この基本を会得することが綺麗なダンス、最終的には健康への近道なのです。
 
 
ここでのダンス記事の内容は、若い人が競技ダンスを目指して上達するための情報というより、中高年が途中からダンスを始めて、如何に短期間にそれなりの「表面的な」見栄えがする社交ダンスを踊れるかに限定しています。ですから細かいことは抜きです。

それに私自身も細かいことは書けません。例えばダンスアカデミーでみっちり座学と実地練習で鍛えられたそういう人ではないのです。私は。だから教えられません。

他のところでも書いていますが、草野球のお兄さんが教えてくれた野球のレベルです。そのお兄さんも独学か一人で経験的に覚えたか、誰か年上の他のお兄さんに教えてもらったか、その程度の知識です。

ただこの10年間横浜市立図書館のダンス本は殆んど読みました。(あまり古くて汚いのは除外)分からないことは「教え魔」のおじさんやおばさん、いろいろな人に訊きました。ダンスの人って凄い親切だなと感じました。いやな顔絶対にしません。

そしてパーティに行けるようになってから色々なレベルの女性と踊りました。10年の内5年間ぐらい(コロナ禍もありましたが)はほぼ週休2日ぐらいでダンスをしていました。(今は疲れちゃったので4日ぐらい、どっかで踊っています)。

そういう正規の経験ではなくメチャクチャの雑種的なごちゃまぜの経験で書いています。ですからたまに間違えちゃうことありますが、気が付いたら訂正しますね。でも純粋に確かな知識と経験を伝えたいという気持ちから書いていることは酌んでください。
 
ここでは4つのチェックポイント。繰り返しますと①カカト②お尻③肩甲骨の裏の背骨④首の後ろ固定を柱か壁を背にして立ちチェックします。
 
更に詳しく
①は付けるだけですから問題ありません。
②は仙骨を立てるのですからそのためには、肛門を締める、「うんこ我慢」の姿勢。お尻のえくぼを作る。この姿勢は骨盤底筋群の強化で尿漏れにも効果あるそうです。
 
この形を作ると腰が反る人がいるので、反るのは腰痛の一因のようなので、ここでは反らない。反らないためには、腹側の筋肉を背中側に寄せる、とダンスの本には書いてあります。これで背骨のS状の屈折が大人しくなります。

ここは理解するのに難しいので更に、背中と壁の間にアルミ缶を挟みつぶすように力を加える、とか練習法があります。この「反る」というポーズは若い時からダンスして自然に出来ているなら問題ないと思いますが、中高年からの人は反らない、止めた方が良いと思います。

教科書通りの「左サイド上方に伸びる」で充分です。この形だって踊っていると崩れて来るのですからこれを徹底させる。それにこの反った形はスウェイと同じようにある程度のダンスのスピードがあっての話だと思う。遠心力を利用するのですから。

スウェイもカーブで歩いている時に左サイドをスウェイして傾ける人はいない、これは走っている時使う。なぜか?を考えてみて下さい。おばさんとかおばあさんが見よう見まねで若い人の真似すると腰を痛めてダンスなんか出来なくなっちゃうかもしれない。ケガは絶対にしないが中高年からの運動の鉄則。
 
適切に形が出来ていると、股関節の辺りに「張り」が出ます。張り、とか股関節から腹筋にかけて「伸び」を感じる。これが感じられるなら正しい。何しろ日本人は屈筋民族なので、歩くときにこの股関節が伸びていない、これが最大のポイントです。
 
歩くときには股関節を伸ばす。そのためには引っ張ってはいけない。押すのです。送るのです。送るのにはどうするか?カカトをなるべく残す、アキレス腱を伸ばす要領(この辺りの表現はフォックストロットのSカウントの取り方に通じます)でつま先まで足裏を使うこと。昔、白人の靴裏の踵の部分は馬の蹄鉄みたいに、擦り減る部分にメタルが打ち込んでありました。それだけ靴を履く民族は踵を使っているのだと思いました。日本人は草履や下駄だから踵はそんなに使わない。

押す、送るから後ろ足(脚)はすぐに前足(脚)に寄って来る。ついでにスパイク靴を履いている様に引き付ける動作があると尚良い。「送る→引き付ける→送る」が彼らの歩き方。
 
ですけど引っ張ると後ろ足(脚)はすぐに寄って来ないで、後ろに残る傾向になる。これはダンスとしてはダメ。送るだけでなく、ステップした足は後ろ脚と腰を引っ張るのです、引き付けるのです。何回も繰り返すと先ほど述べたようにコツがつかめます。
 
ただ、実戦になるとこれが乱れるのです。まだ身についていないからです。組んで踊っても最初は乱れます。シャドーだと出来るのに組むと出来ない、ダンスもスケートみたいにソロがあればいいのに、と嘆きます。でも忘れてはいけないのは社交ダンスは2人でするものなのです。

 「仙骨の締め」から腰の部分の反りが是正されたら、この「うんこ我慢」では猫背ぎみになるので「肩甲骨を開き・落とす」。そして背骨の一番出っ張っている部分を胸側に出す。これは胸鎖関節(鎖骨と鎖骨が胸の中央で繋がっている)の辺りを斜め上方に向けるイメージです。
 
股関節と並びこの肩甲骨は健康への非常に重要なポイントです。老人の歩き方は肩甲骨周辺の筋肉は動かさない。二足歩行になり肩甲骨は四足歩行の時のようにあまり使われなくなってしまったので意識して動かす必要があります。だから私たちは四足歩行の時のように「野生に還る」必要があるのです。或いは、正しい姿勢は、首の後ろの一番下の出っ張っている骨を後方に向けても作れます。これは胸鎖関節を斜め上方に向けると同じ。

個人レッスンの先生から指摘されるのは、自分で思っているよりもっと上みたいで、まるで天井を見ているかのようです。顎を上げるのとは違いますから間違えないように。
 
最後に「首の後ろ固定」です。「顎を引く」とはこの首の後ろ固定のことです。間違って顎を胸の方へ下げて「顎を引く」が出来ていると思っている人が多い。スポーツでは決して頭頂部は前に向きません。首全体を後ろに持っていくこと。
 
これがしっかり出来ると、背中を使っているという感覚がつかめられる、つまり、背骨がしっかりしていないと力を発揮できない。だから先生は「軸が出来ていない」という表現をよくしますが、これがダンスの(運動一般)基本中の基本なのです。なぜか?それは脳からの指令は脊椎の中にある神経を通して行われるからです。多分、簡単に言えば、四足の状態では頭から上体を真っ直ぐな形で維持できるようになっていた、だが二足になり垂直の姿を二本の脚(足)で支えるメチャクチャなことをしてしまった代償なのだと思う。
 
「仙骨の締めと反り」この繰り返しが効率的な運動なのです。一般的には前進は「締め」後退は「反り」です。いつ締めていつ反るかは例え前進する場合でも、その準備過程などを含めても一概に言えません。これが運動神経の問題になってくるのです。
 
上記の姿勢・立ち方・歩き方」の問題でも、まだ初心者の頃だった私は、先輩の表現をまともに捉えて、腹筋はずっと硬くしたまま2分間踊るとか、このフレームは固定されて崩さないとか、実際そうなんですが、でも筋肉の使い方は効率的な運動するには緩急があるということは知っていましたので、普通のスポーツと違ってダンスって大変なスポーツだな、と思ったものです。
 
この「締め」と反り」も同じ原理です。運動動作の過程で「繰り返し」が行なわれているはずです。
 
「外旋」と「内旋」を説明して終わりにします。
フレームを作る場合は肩は左右に拡げるのですが少し前に入ります。肩甲骨を寄せる」という表現をしている場合があるので左右に拡げればいい訳ではありません。ビル・アービンの本にも載っています。上から見ると頭を中心にして左右の腕が弧を描くような写真です。
 
空手の突きでもボクシングのパンチでもそうですが肩が前に出て腰が入っていないと突きやパンチは弱い。立って腕相撲する時も肩を前に入れると絶対に負けない。これは肩を前に出すことで力が固定・安定する。
 
その代わり運動の許容範囲は狭くなる、広くしたいなら後ろ肩にする。両肩を前に出してそのまま腕を上げる、同じように両肩を後ろにして上に上げる。違いが分かると思います。ですからダンスのフレームも「大きな樽を抱える」とダンスの本では教えています。
 
ダンスでは「肩は前に出す」これで安定します。その後肩を下げて、首を長くするために頭が天井に引っ張られるイメージを持つ、と続きます。
 
誤解して欲しくないのは、これも力が入っている時と入っていない時が必ずあるはずです。常に力が入ってはいない。これを会得することが重要。誰も教えてくれません。一人でコツを覚えるだけです。テニスとか野球のバッティングの時は、小指から人差し指をインパクトの瞬間に締める、これをいつも締めていたら肝心のボールが当たる瞬間に力を発揮できないことになります。
 
だからダンスでもホールドや姿勢が出来上がったらリラックスして踊ることが必要です。力は抜く、でも身体のトーンはあるのです。特にタンゴのような音楽だと力強さを感じますのでそれに合わせて筋肉や顔の表現まで力んでしまう、緩めることが出来ればもう上級者です。
 
ですから肩は、前方に出す。その後は上腕(肩から肘までの腕)は外旋です。前腕(肘から手首)は内旋、手首は外旋です。雑巾を絞るように関節関節で絞っていることで力を安定させているんですね。よく言われるように「男性の右手は水をこぼさないように上を向ける」とはこのホールドしている時の外旋の的確な表現です。
 
私は、左手グリップの小指・薬指は折っています。これが正しいかどうか分かりませんが。。。なぜかというと男性の左アームも少し曲がっている必要があるのですが、踊っていると気がついたとき、女性の右アームが真っすぐに突っ張るように伸びていて、私のアームも真っすぐに「リード」されてしまっているんです。
 
最初のころは左アームというのは真っすぐにして踊るんだと思って一緒になって伸ばしていましたが、先生に聞きますとそれは違うと。
 
ですから何回も途中で直すんですが、こっちもフレームが固定していないので相手の力に負けてまた伸びてしまうんです。伸びると力が弱くなる、運動範囲が大きくなるので不安定。これでは男性の重要な「左胸を入れて」PPの形を作るのは絶望的だとわかったのです。
 
特にタンゴはこの「左アームはコンパクトに畳む」踊り方なので男性の大切な左アームを女性から絶対守らなければなりません。守ることにより、女性の正しい位置は男性より後方なので進行方向前方に出てきませんというか、ガッチリと男性の左グリップから肘が固定されて「出て来てはいけない」と止めているので、出ようとしても出て来れない状態にするのです。すると男女の身体は重ならないで頭と頭の空間が広くなり教科書通りの姿になります。
 
ラテンのルンバ・ウォーク。胸が前に出てヒップは反り腰になっていますがあれはどうなのでしょうね?!反り腰というより体形ですね、日本人はヒップがないと言われますが、、、。黒人系の人たちの血が入っているから問題なく踊れるのでしょうか?白人と黒人の腸腰筋を比べると黒人は3倍あるという話です。
 
だから陸上競技系の種目では強いわけです。また、骨盤も大きい方が有利ですね。昔、金田監督が引退してTVの解説者をしている時、言ってましたね。「あのピッチャーは尻がでかいから有望です」と。「Shall We ダンス?」のジェニファー・ロペスのヒップも大きくて圧倒されてしまいましたね。腰痛にならないのは、多分、仙骨の締めと反りの使い方が上手なのだと思います。
 
送り足・引き付け足をしっかりとしてダンスをすると、スピードがつくし大きく踊れる、またエネルギーも節約し、効率よく動けるので(ワルツなら予備歩とカウント1だけで推進すること。タンゴなら1発目だけです。後は惰性です)相手を見てこの人はダンスのレベルや基礎体力がどの程度か推測してから踊って下さい。レッスンの時に先生が相手を見て力をセーブして踊っているように踊る必要があります。
 
これで終わりです。全ては書けないので要点だけを書いたつもりです。そこへ私の経験などもチョコっと入れてみました。機会があったら吉田始史著「いつでも背骨」「仙骨姿勢講座」を読んで見てください。また、小田伸午著「一流選手の動きはなぜ美しいのか」も参考になります。

以上です。
 
 

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