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「そんな言い方しなさんな」

「そんな言い方しなさんな」

祖父が小さい頃の私に言った言葉である。

あれは何歳の時だったか。おそらく小学校に入るよりも前のことだったと思う。いつも弟に対してお姉ちゃんぶってガミガミいう私を、祖父が嗜めたのだった。

祖父に初めて怒られた。それが当時の私には衝撃だった。正確には怒られたというほど強い言い方ではなかったが、幼いながらにいつもとは違う空気を感じた。今でも言われた時の表情や、声のトーンまで、はっきりと思い出せる。

自分のこどもが産まれてから何故か、その祖父の言葉を何度も思い出す。


祖父が亡くなってしばらく経つ。曽孫に会わせることができていたら、どれだけ喜んだだろうか。

祖父は遠くから、今も私を見守り、嗜めているのかもしれない。

これから先こどもが大きくなれば、怒りたくなることも増えるだろう。そんな時はきっと、この言葉をまた思い出すのだと思う。

おじいちゃん、私もお母さんになったんだよ。

多分またお母さんぶって、こどもを叱りつけてしまうかもしれないから、その時はまた思い出させてね。

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ニナ
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