同じ床の上(7)窓割れ理論
トイレがうまく流れないんです。
水を流すと水面が便器から溢れるギリギリまでいってゴボゴボっと音をたてながら、一気に吸い込まれるのです。溢れるか、溢れないかのギリギリギリの汚水に恐怖を感じながらここ数日過ごしておりました。
さて、わたしの実家は、うどん県と呼ばれる小さな県にあります。
実家に住む年老いた母に同居を懇願され実家と、単身で関西に残した夫との間を数ヶ月ごとに行き来する二重生活をしております。
実家の母はとにかく激しい性格です。82歳になりました。元気ハツラツ、頭もしっかりとしております。なので
ここは感謝しなければいけません。
今回は、関西からうどん県の実家に来てすぐのお話。
『トイレの汚水溢れそうでヤバイ案件』など何かと恐怖を感じる生活の中でのさらなるもやもや。
自分の価値観は世界の標準なのだ!
とか
自分がすることはよいのだ!
とか
アタシは間違っちゃいない!
とか
そういうジコチュー的な思い込みやら勘違いをしている母にわたし達周りは、色々と苦労をしております。
わたしは買ってきた食材を冷蔵庫や、乾物3段ボックスにしまうのですが、
母はわたしの「冷蔵庫の食材の入れ方」に激怒いたしました。
「きっちりいれろ!」
と怒られました。
いやーもう笑うしかないですわ。
何故なら、母は
平気の平左で
ハムのパックを半開きでポイ、と冷蔵庫のど真ん中に入れます。
そのためハムは、干からびています。
おまけに賞味期限切れ。
干し肉かと思いました。
かじって歯形のついたままのおにぎりがクッキングペーパーに包まれて冷蔵庫の片隅に忘れ去られています。
鼻をかんだティッシュをいれてんのかと思いました。
友達にもらったという柑橘系のなんか(もはや、原型なしで何かわからん)は、青黒いカビを生やしております。
カビの研究でも、しているのかと思いました。
異様な数の柚が冷凍庫にあります。
これは捨てるなと言われています。
もう、4年くらいは経っています。
いくら冷凍であるからとはいえ、
いいかげんジャマです。
触るとブヨんってなる大根も冷蔵庫の野菜入れにあります。
もはや漬物です。
母は、自分がそんな冷蔵庫管理体制でありながら、
わたしに「入れ方」の文句を言うんですよねぇ。自分がすることは棚より上の屋根まで上げる。自分以外のすることは許せない!そんな考え方です。
昔から母は、冷蔵庫がそんな状態でして、盆正月の帰省の度に、まずわたしは冷蔵庫の掃除をしてました。
認知症は冷蔵庫を見ればわかる、と言われているようですが、うちの母はそうではなく、昔から冷蔵庫管理がなってない。
わたし自身は、料理をする上で冷蔵庫管理をきっちりやりたい派なので夫と住んでいる関西の家の冷蔵庫は、整理整頓され、スッキリ収まっています。
↑
自慢。
そんなわたしが今回、実家の冷蔵庫に少しばかり乱雑に放り込んだのは、ある人間の心理があるんです。
「窓割れ理論」
※本当は
「窓割れ理論」ではありません。
正確にいうと
「割れ窓理論」です。
という言葉をご存知でしょうか。
犯罪というわけではないので、少し違うかもしれませんが、
管理体制の整わないカビの食材が転がる冷蔵庫に、きれいに入れようとする心理が働きませんでした。
綺麗な公衆トイレは、誰もが綺麗に使おうとする心理、その心理はこれに属するでしょうか。
わたしは、実家の溢れそうな恐怖のトイレをまずなんとかしなきゃということに頭が行き、冷蔵庫の掃除を後回しにした結果、母の理不尽な逆鱗にふれてしまいました。
「わたしがいない間の冷蔵庫管理、もう少し、ちゃんとやってください、賞味期限切れなど…」とのわたしの申し出に母は、
「(消費期限など)忘れるんや!わかってくれ。」
で一蹴。
都合のいいときは、忘れっぽい人格になり、時には、「アタシは、なんでも覚えている!」と賢者のごとく豪語します。
そして改善のないまま冷蔵庫問題は幕を閉じます。
もやん、もやん、とする気持ちは、
いつも家族に電話で聞いてもらい、
愚痴ることでスッキリさせます。
冷蔵庫の一件をあーだ、こーだとしゃべりまくり
「窓割れ理論」
って知ってる?子どもたちに話したら、
「えっ?股割り拷問?」
って聞かれました。
こ、こ、怖いです。
怖い 聞き間違い でした。
股割り拷問、想像してみました。
お相撲さんが稽古で行う開脚姿勢。
あれを『股割り』といいます。
開いた足が一直線になるように足を広げ…
怖。
わたしは、身体が硬いので想像しただけでも痛いです。
そういえばわたしがこどもの時、
「電気あんま」といういたずらが流行りました。昭和世代なら、
検索なしでも分かっていただけるかと思います。笑
それに準じる「股割り拷問」想像しました。
ウキには「電気あんま」のことを
「遊び」と書かれてましたがこれは大概にせなあきません。
拷問に近いです。笑
少し怖くて、痛い想像しましたが、
笑えました。
子どもの、とんでもないその聞き間違えにお互い大笑い。笑顔になれました。
まさか、わざと聞き間違えてくれたのかな。
ありがとね…