今日はかき氷🍧の日
水道水で産湯を使い、冷凍庫で育てられた工場育ち、かち割り氷フーテンの夏夫がトランク一つぶら下げて今日も旅から旅へと渡り鳥。一休みしようと入った喫茶店で偶然、ストローちゃんと再会する。
夏夫:あれ、オイラ、目の錯覚?そこにいるのはストローちゃん?悪い噂を聞いたから、心配してたんだよ。
ストロー:ああ、懐かしい、フーテンのなっちゃん!!だけど駄目、私といるとこ見られたら、なっちゃんにどんな災いが降ってくるかもしれない。
夏夫:馬鹿言ってんじゃないよ、オイラを見くびってもらっちゃあ、困っちまうな。困った時こそ、助け合い。なんてね。
ストロー:なっちゃん、相変わらず優しいねぇ、でも私は本当にヤバいんだよ。お尋ねモノだもの。
夏夫:オイラ、詳しい事は分かんねぇけど、お前さんが、後ろ指、さされるようなモンじゃないのは、よっく、知っているよ。だって、3年前までは一緒に旅した仲じゃないか。あんたは、みんなに喜んでもらいたいって、ストローなのに、先っぽ切っちまって、匙のような真似だってしたじゃないか。
ストロー:そんな事を覚えていてくれるなんて、嬉しいよ。今度の一件なんだけどね、その喜ばせたいが仇になっちゃったのさ。私らのお仲間は誰も彼もヤバいけれど、一番、必要ないモノから消されて行くようなんだ。
夏夫:必要ないだって?おまえさんが?おお、そう言えば、病気患いしているモノじゃなければ、ジュース飲むのにあえての、お前さん、必要ないか?
ストロー:夏夫さんまで酷い言いようだ。この世の中、おかしいんだよ。毛皮は動物の毛を剝いだものだから駄目で、どうして動物の皮を剥いだバッグが許されるの?
夏夫:お前さん、凄いね、そんな事、オイラ思いもしなかった。違いもないのにいけにえにされているモノが他にもたくさんいるんだね。
ストロー:そうさ、他にも蚕は残酷だなんて、言い始めているのよ。
夏夫:解雇はお前さんに残酷だな、だけどオイラ、お前さんに何がしてやれるだろう?
ストロー:蚕って、シルクだよ。なっちゃん、もう、いいんだ。この名もなき星に生存している全ての物を右から左に移したって、見てくれ変えたって、それは置き換えているだけで何の変化もありゃしない。
池の水をかき回しているだけじゃないか。モノの寿命が少しばかり長くなったり短くなったりするだけの話さ。そのことで金になるか、気分が良くなるかで右往左往しているだけにしか見えないよ。
モノってのはそれらに翻弄される定め。それにしても、見通しだけは良かったはずなんだけどねぇ。
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