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今日は足袋の日
登場モノ
こはぜ:足袋の留め金の妖精
猫助:猫の妖精
猫岳で祭りが行われると聞いたこはぜはは故郷を離れはるばるやって来たが、あわや、
山道ですりに財布を盗まれそうになった。
そこに猫助が現れ、一難を逃れる。猫助からこの付近に宿がない事を教えられ、こはぜは猫助の家に泊めてもらうこととなった。
こはぜ:助けて頂いて、ありがとうございます。この金が無くなったらあたし、旅を続けられませんでした。
猫助:気にしないでおくんなさい。今は足を洗いましたがねぇ、わたしはネコババ家業を営んでおりやした。
そのバチが当たったんでしょうかね、女房に先立たれました。
わたしが本当なら死ぬところだったのに、悪い家業に足を染めていたわたしが死なないで
恋女房をお天道様に盗られてしまいました。これ以上のバチはありません。
ですからねぇ、こいつは挙動不審だなって奴はすぐに分かるもんで。
同じ穴の狢ってことですかねぇ。でもこうしてモノ助けをしていれば、いつかは神様仏様が、
女房とわたしを再び引き合わせてくれるものと信じての行いですから、お気になさらず。
こはぜ:ああ、それでこのような山奥にお一人で暮らしているのですねぇ。寂しくはありませんか?
猫助:もう、馴れっこです。それにねぇ、峠にはマタタビ亭と言う、居酒屋もありまして、ちょいとばかし、
人恋しくなった時にはそこへ行けば、気のいいマスターが話し相手にもなってくれるんです。
ところで、こはぜさんの方こそ、なぜこんな道をお一人で?
こはぜ:はい、あたしはこちらの方で祭りがあると聞いてきたのですが、道に迷ってしまいまして。
猫助:そうですか、それは大変ですね。祭りも縮小、取り止めと厳しいお商売だ。
こはぜ:ええ、全くその通りで。今こそ唄だ、踊りだ、祭りだの時くらいしかでばはありませんが、
昔は普通に毎日毎日、仕事があったんです。まぁ、和装から洋装になってしまったんで仕方ありません。
猫助:旅って言えば、足袋じゃねぇなんて、道理もへったくれもない世の中ですねぇ、
全く嫌になっちまう。今日は一杯やって憂さでも晴らしましょうよ。
このマタタビ酒でトリップすれば、また旅だ。
こはぜ:抗疲労と言えば、やっぱり足袋で旅ですぜ。
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