【読書記録】マンガ ぼけ日和
おすすめ度 ★★★★☆
ほんわかした絵が可愛くて読んでみた本。矢部太郎さん、大河ドラマで見て癒されていたけど、マンガも本人と同じようにほんわか癒される。
癒されるだけでなく、ちゃんと認知症についての知識も得られるので一挙両得の良本だ。
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私の父は64歳で若年性認知症になって、66歳で亡くなった。
詳しいことは以前↓書いたけど、当時この本を知っていたら、もっと違う接し方ができていたのかもしれない。そう思ってすこし泣きそうになった。
いくつか刺さったエピソードを紹介する。
怒っても大丈夫と思ったら怒らなくなった
私のように遠く離れて住んでいても、イライラはすごかった。何度もかかってくる電話、繰り返される被害妄想、父親に優しくできない自分への自己嫌悪。
「病気だから仕方ない」「怒ると認知症の悪化につながる」とわかっていても、どうしようもないときが何度もあった。
ひどい言葉を投げつけたこともある。
この医師の言葉を受けて、1ヶ月後の診察で娘が言う。
あぁ、そうかもしれない。自分ばっかり我慢してる、自分が頑張らないといけない、そう思うと負担感は倍増する。その言葉ほしかったなぁ。
(周りの人って結構「頑張って支えてあげてね」とかいうんだよね。遠くに住んでたから、何もやってないように見えたんだろうけど…)
「物盗られ妄想」の被害に遭うのは
「財布がなくなった!あんたがとったんやな!」的な物盗られ妄想は有名だと思う。私の父は財布ではなかったが、同時期に癌で入院したので、「家に帰る!鍵がない!子どもに盗られた!」とよく言っていた。
本によるとこれは認知症の「周辺症状」の一つで、お金で苦労した人ほど症状が出やすいと言われている。
なぜか決まって加害者扱いされるのは一番患者さんの面倒を見ている人らしい。
正直、当時そんなこと言われても「嬉しくないわい!」と思ってただろう。
マンガでも、泣き笑いで「そんな勲章、ぜんっぜんうれしくないです…」と言っている。
わかっていても辛い、けど、わからないよりはいい。
最期に見守れるように
他にも、周辺症状を抑える薬を使うことや施設に入れることを肯定的に捉えた話や、患者さんの不安を和らげる声かけなど、今まさに認知症の家族がいる人に全力で勧めたいことがたくさん載っている。
最後は、認知症だけでなく、必ず訪れる最期をどう迎えるかの話もある。
この言葉が本当かどうかは、わからない。
でも、舌癌で何も食べられず、ガリガリに痩せて亡くなった父を思い出した。
痛々しくて、どんなに辛かったか、苦しかったかとずっと思っていたから、この言葉に慰められた。
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私にはまだ母がいるから、今度は後悔したくないと思う。
思っていても、実際にできるかどうかはわからないけど。
この本には、原案となったエッセイもあるらしい。そちらもイラストは矢部太郎さん。
そっちも読もうかな。