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【読書記録】ヒトの壁
おすすめ度 ★★☆☆☆
養老孟司さんの本は数冊読んでるけど、これはイマイチ精彩を欠いてる。
コロナ禍になって、老人はステイホームするしかないから書いた、とご本人も書いている。
基本的に養老さんはどの本でも好き放題書いているんだけど、他の作品と比べて、「これだけは言わせて!」とか「これが言いたいんじゃ!」みたいな想いが薄くて、「まぁ書いてくれと言われたから徒然なるままに書いとるけど」みたいな感じ。これもご本人が書いている。
話題が広がりに広がって、そのまま着地しないで終わることも多い。
そのゆるい良さも随所に見られるが(猫とか猫とか猫の話とか)。
養老さん1冊目として読むなら、ゆるくて優しく、話題も広いので楽しめるのかも。
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でも、やっぱり言葉選びや視点が独特で面白い。こんなゆるく考えて言語化できるのは単純にすごい力だし、こういう自由な老人になりたと思う。以下、引用。
そんなことどうでもいいじゃないか。もう年だから野良として暮らそうが、家猫になろうが、いずれにしても残り人生は長くない。
最近はムダな検査、ムダな治療をやめようと言われることが多いが、この論理はそのままムダな人生はやめように繋がりかねないので、世間的な力はあまり持たないと思う。
さまざまな報道を見て感じるのは、この社会はほとんど反応だけしていると言うことである。(中略)
まことにやむを得ないんですよ、自分のつもりじゃありませんよ、要するに全ては状況のせいである。自分の意思ではない。(中略)
世界のメディアを見ていてなんとなく日本がバカにされていると感じる根本は、日本側に自分の意思がないことであろう。
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あとは、読んでみたいと思った本もメモ。養老さんの本じゃないものもあるけど、読んでみよう。
「養老先生、病院へ行く」
「死を受け入れること」
「そしてみんなバカになった」