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「もしもステッカー」|参加型意見収集ツールの新しいかたち(前編)
田口元香
日建設計 企画開発部門 コモンズグループ パブリックアセット部
日建設計コモンズグループでは、実際の場づくりを検討する中で、利用者のニーズやアイデアをどのように拾いあげ、得られたデータをどのように活用していくかを日々検討・実験しています。
今回は、日建設計が開発した意見収集ツール「もしもステッカー」やその展開事例をご紹介しつつ、空間・モノづくりにおいて第三者からのアイデアや意見を集めるためには、どのようなアプローチをしていくべきか?をテーマに2回に分けて語りたいと思います。
前編は、もしもステッカーの背景と運用の結果と効果、後半は、このツールを応用した事例のご紹介です。
前編
1.「もしもステッカー」とはなにか?
2.「もしもステッカー」運用による結果と効果
後編
3.参加型意見収集ツールとしての応用・展開事例
4.“もしもステッカー方式”のこれから
1.「もしもステッカー」とはなにか?
「もしもステッカー」とは、2021年に日建設計が企画運営を担当したパークレット社会実験「2021 原町田大通り滞留空間創出社会実験~もしも原町田大通り~」(主催:町田市・株式会社町田まちづくり公社)にて、大通りへの将来への期待を集めるために企画した市民意見収集ツールです。2021年11月~12月の1か月間に設置・運用されました。
市民や町田のファンの皆さんに町田の将来的なまちづくりを自分ごとと捉えてもらい、どのような場所になったら嬉しいか?また自分ではどんなことをしたいか?など町へのアイデアや思いを引き出すことを目標としました。
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社会実験の会場であるパークレット内に掲示板のようなボードを設置し、そこに利用者が意見を書いたステッカーを貼っていくことで、やがて意見が集まる様子が可視化され町に開かれていく、というシンプルな仕組みになっています。
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フキダシ型のステッカーには『もしも、原町田大通りが「 」だったらうれしい。』というフレーズが記載され、大通り活用のアイデアを「 」内を埋める形で記入してもらいます。
小さなお子さんから中高生、子育て世代のご家族やお年寄りまで、町田市内外のさまざまな方に興味を持っていただき、アイデアの共有をしてもらいました。結果として348枚ものステッカー(意見)が集まり、住民の皆さんが感じている町田に対する想いの強さを改めて感じることができました。
2.「もしもステッカー」運用による結果と効果
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ステッカーで意見を集めた後は、利用者の「原町田大通りへの期待」の意見として分析を行います。実際の回答の一部をご紹介すると、
① “「ゆっくり歩ける楽しい通り」だったらうれしい。”といった大通り全体の雰囲気やハード面の改善を求める意見
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② “「おもちゃだらけ」だったらうれしい。”といった小さなお子さんが書いたとみられる意見
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③ “「スケボーストリート」だったらうれしい。”といった特定のカルチャーの発展を願う意見
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このようにかなり回答の幅が広く、多様な世代の多様な立場の方から、気軽な気持ちで回答していただけていることが感じ取れます。
最終の集計結果として意見の大まかな分類を述べると、「こんな場所が欲しい」「まちの望ましい状態」「こんなことがしたい」「町田への想い」という町田に求められている場やコンテンツに関する意見を得ることができました。また将来の大通りに求められる視点の抽出も行い、市民の何気ないひとことが地域の未来を決める大切な民意になる可能性も秘めていると感じました。
「もしもステッカー」は匿名回答であることが、人々の自由で素直な意見を許容する場を作っている要素になっていると考えています。そして誰かが書いた意見に触発され自分も書く、といった訪れた人同士の間接的なコミュニケーションを発生させ、幅広い意見を集めることができたのではないかと思いました。
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ちょっと覗いてみたくなる。そして自分も貼りたくなる。
共創パートナー募集中
“もしもステッカー方式”を使ったフィードバック企画を自分のプロジェクトでもやってみたい、活用方法のアイデアを一緒に考えたい、と思った方、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。弊社の東京オフィス3階コレクティブフロアPYNTでは「もしもステッカー」の実物を展示しておりますので、機会がありましたらぜひ足をお運びいただけるととても嬉しいです!
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田口元香
日建設計 企画開発部門 コモンズグループ パブリックアセット部
2022年に日建設計入社、2024年現在コモンズグループ所属。地元秋田のまちづくり活動に参画してきた経験から、地域のポテンシャルを引き出し、利用者の心理や行動原理に着目した空間デザインの検討に取り組む。業務では主にパブリックスペースの設計や空間利活用社会実験の企画運営に携わる。
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