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【記者会見レポ】サイバーエージェント、プロレスリング・ノアを買収 -DDTとは相互補完の関係を目指す-

本日はサイバーエージェントの新本社Abemaタワーでサイバーエージェントによる、プロレスリング・ノア買収に関する記者会見があり、日経プロレス取材班(自称)として参加して来ました。

プロレスリング・ノアとは
故・三沢光晴選手が全日本プロレスから離脱する形で、全日本プロレスの選手を中心に2000年に旗揚げをしたプロレス団体。日テレでの地上波放送などもかつて行われていた。昨年2月にリデット社の傘下に加わるも1年経らずで今回のオーナー会社変更に至った。

経営体制の発表!新社長は大社長が兼任!

冒頭、武田氏より経営体制の刷新が発表されました。リデット体制時に話題になった長州力さんや田村潔司さんは経営陣からは外れる形になりました。

・社長    高木三四郎(たかぎ・さんしろう)
・副社長   丸藤正道(まるふじ・なおみち)
・取締役   山内隆裕(やまうち・たかひろ)
・取締役   小林友美(こばやし・ともみ)
・執行役員  武田有弘(たけだ・なりひろ)

サプライズはDDTの社長でもある高木三四郎氏が社長を兼任したことでしょうか。以前はW-1という別のプロレス団体の社長を兼任していたことや、今もDDTは多くの団体ブランドを同時経営しているとも言えるのでファンとしては納得感のある人事かもしれません。

また取締役の山内隆裕さんは、サイバーエージェントグループのCyberZ社長、サイバーエージェント取締役、そしてDDTの取締役でもあります。サイバーエージェントの映像事業に精通した方と言えます。また小林友美さんはDDTの方ですので、DDTとNOAHの相乗効果を狙っていることが伺えます。

また経営体制は刷新するものの現場(リング)のことは丸藤副社長を中心に今まで通り活動していくという補足もありました。

サイバーエージェントによる買収までの経緯

2019年6月 NOAH前社長の不破氏から武田氏に社長交代。代表権はなし。
2019年11月中旬 NOAHの株式を武田氏が全て取得。代表取締役へ。
2019年11月末 高木社長と会談。
2020年1月初 丸藤選手DDTのリングへ
2020年1月末 買収を発表

高木社長との会談で丸藤選手のDDT参戦や、VODビジネスの可能性などを話し合ったそうです。また当時すでにNOAHの経営状況は厳しい状態でその相談もしたそうです。そこで、高木社長を通じてサイバーエージェントの藤田社長に掛け合い、今回の買収へと繋がりました。

武田氏は、この買収を悲願である日本武道館再進出やさらには東京ドーム再進出に向けた大きなチャンスであると強調。一方で上場企業の元で厳しい数字管理をしていきたいと話していました。

サイバーエージェントの緑色とNOAHの旗揚げ時の緑色に強い親和性を感じるというファンとしてうるっとくる一言も。

リデット社との関係はスポンサーとして継続

昨年2月よりオーナーを務めたリデット社の関係はこれで終わりではなく、スポンサーとして残り続けるそうです。

リデット社の鈴木社長とも今後も関係性は続くとのことでした。長州力さんや田村潔司さんへの言及はありませんでした。

各登壇者の会見コメント

以下は各登壇者の会見コメントを要約でお伝えします。

高木社長「経営に専念。映像事業やバックオフィスからシナジーを」

これからDDTとNOAHは同じグループ会社として共存していくことになります。NOAHの三沢光晴さんや仲田龍さんにはお世話になっていました。DDT旗揚げ時NOAHとは良好な関係がありました。DDTの選手がNOAHのビッグマッチに出ることで当時陽のあたらなかったDDTが有名になり、団体としてワンステップを上がるきっかけの一つにもなったと思います。

武田執行役員から相談を受けたときは、このような過去の経緯もあるので今回の件を引き受けさせて頂くことになりました。

藤田社長からの要望もあり、社長を兼任しますが、リング上にはタッチしないで、経営だけを見たいと思います。リングは丸藤選手や武田さんにお任せしたいと思います。私が経営面をみることで、選手たちが試合に集中できるようにできればと思います。

2年間のサイバーエージェント傘下での経営ノウハウを活かし、NOAHが企業として成長できるように経営を率いていきたいです。同じグループ企業としてバックオフィスや広報などは共有できる部分はしていき強化できると思います。

AbemaTVでも2.16の後楽園ホール大会からも放映しますし、明日の1/30の後楽園ホール大会をDDTユニバースで無料配信もします。映像分野を皮切りに、グループのシナジーをできるように精神誠意尽くしたいです。

丸藤副社長「リングはもっともっと熱くなります」

NOAHとして今年で20年を迎えました。後列にいる杉浦選手・小川選手らと共に旗揚げ当時から大きな波に揉まれ、様々なオーナー、様々なスポンサーのお世話になり、内外問わず多くの選手もリングに上がってきました。

そのような中で、サイバーエージェント社という大きな大きな味方が付くことによって、これまで以上に大きな舞台に出る用意ができたと思っています。そして何より、NOAHの皆が明るい未来が見えるところに来れたと思っています。

自分が引き受けないといけないところを嫌な顔をせずに高木社長が引き受けてくれました。元はNOAHの反対にいた武田社長(武田氏は元新日本プロレスの執行役員)も全力を尽くしてくれました。それに答えるためにも自分たち選手もしっかり頑張っていきたいと思います。

この買収によって選手たちのモチベーションもさらに上がり、リング上の戦いもヒートアップしていくと思います。世界中で配信されるように熱い試合をしていきたいです。それがNOAHの発展に繋がると思います。

サイバーエージェント 藤田社長「高木社長に賭けてみたい


遅い時間にお集まり頂きありがとうございます。NOAHがサイバーエージェントグループに入ってくれることになりました。経緯は武田さん、高木さん両名からあった通りです。買収を決断した理由は3つあります。

1.プロレスと映像の相性の良さ
DDTがグループに入って2年経ちましたが、プロレスがテレビの普及に大きく寄与したようにAbemaTVの成長にも寄与してくれているからです。
2.NOAHとDDTの相乗効果
NOAHを研究していく中で、DDTとNOAHは補完関係にあると思ったからです。お互いの強みを活かして相乗効果を生み出せると思います。
3.高木社長に賭けてみたい
高木社長は現役の選手でありながらきちんと企業経営も行っており、本当に素晴らしい経営者だと思います。そこで、経営者高木社長に賭けてみたいと思いました。

サイバーエージェントグループとしてのプロレス分野の発展を支えていきたいです。私自身は後方支援、バックアップに徹します。これからもDDT/NOAHの両団体のファンに愛される団体に成長していって欲しいと思います。

各選手から一言コメント!

潮崎選手
2020年はNOAHの戦いを進化させ、さらに発展させたいです。GHCヘビーチャンピオンとして世界に戦いを見せていきたいです。NOAHの日本一、世界一の戦いを大きくしていくために選手一同戦いを続けます。

杉浦選手
これからも会社の犬として頑張っていきたいです。

小川選手
NOAHの新しいスタート。とても楽しみです。

中嶋選手
より志たかく、より夢をもってNOAHのリングで戦い続けます。

清宮選手
リングに対する探究心、追求心というものをこれまで以上に持ち続けて、サイバーエージェント社と一緒により広大な景色を皆さんに見せたいです。

質疑応答:今後の交流や統合する可能性について等

今後NOAHとDDTの交流について
高木社長:
みなさんも一番気にしていると思っていますが、現場に任せたいです。例えば丸藤選手がすでにDDTに上がっていたりしています。逆にNOAHがDDTの選手が必要ならば上がることもあると思います。

今後NOAHとDDTの統合は?
高木社長:
今の段階では団体としての統合は考えていません。それぞれの歴史、ファンがいます。ただ共有できる部分は多いと思います。企業を経営するうえで必要なものは共有していきたいです。資産も共有していきたいです。DDTは現状でもいくつかの団体ブランドを運営していますので、そのノウハウと大きく変わらないと思っています。

選手の反応は?
丸藤副社長:
選手にはギリギリの段階で知らせました。色々な噂がある中、不安な時期もあったと思いますが、この話をした時は明るい未来を感じていると思いました。

今後の放送は?
高木社長:
日テレジータス、サムライTVに加えて、AbemaTV、DDTユニバースなどで配信する予定です。またVOD配信も行いたいと思っています。それに向けてDDTユニバースはいま体制を整えています。

藤田さんが考えるNOAHの魅力について
藤田社長:
表現が正しいかわかりませんが、DDTは面白い、NOAHはかっこいい。今日もNOAHの選手を観て、サイバーエージェントの社員もみんなかっこいいと言っていました。そういう意味で補完関係があると思います。

NOAHは日本武道館復帰を掲げていますが、その成長戦略はありますか
藤田社長:
まずはDDTのさいたまスーパーアリーナ大会で頭がいっぱいですが、その次として色々考えたいです。

具体的にNOAHのどういう経営部分を変えていきたいですか

高木社長:
広報に関してはSNSの取り組みも進んでいると思います。ただ資産としての映像の配信がYoutubeのみなのがもったいないかなと思っています。DDTユニバースは海外の方も多く視聴されているので、資産としての動画配信はお手伝いできると考えています。他には企業協賛もまだ開拓できる余地があると思います。DDTと一緒に行えるところは一緒に開拓していきたいです。

高木社長に賭けた理由は?
藤田社長:
一緒に仕事をして経営者として能力が高いと思い、さらに規模を大きくしたらもっと上手くやれると思ったからです。そんな高木社長の可能性に賭けました。

2団体でプロレス業界首位を目指しますか?
高木社長:
目指さないと面白くないので目指します。プロレスは面白くないといけないと思います。ワクワクしないといけないエンターテイメントだと思っているので、そういう仕掛けをしていきたいです。業界トップを目指していきたいです。

所感:5Gは映像の時代。映像の時代はプロレスの時代!?

サイバーエージェントがプロレスリング・ノアを買収したのは、藤田社長のコメントの通り、肝いりのAbemaTVの成長をさらに加速させるためでしょう。そのため、役員にもサイバーエージェント山内氏の名前もあり、映像事業として盛り上げていこうという姿勢が伺えます。

さらに、なぜサイバーエージェントがここまで映像事業に注力するかと言うと、5G時代が目前に迫っているからです。スマホや街中のデジタルサイネージで当たり前のように動画を浴びれる時代がすぐそこまで来ています。そんな、映像の時代とも言える5G時代に備えて画力があり、かつてはテレビの普及にも大貢献したプロレスをサイバーエージェントは欲したわけです。

様々なメディアで5G時代について語られていますが、5Gを語る上でプロレスは欠かせないかもしれません。そんな今最も熱いジャンルとなったプロレスのリングサイドではなくビジネスサイドの戦いを綴った連載も日経電子版にございますのでぜひ併せてよろしくお願い致します。


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