自分に厳しくしすぎてしまう人へ セルフコンパッションのすすめ
あなたは、自分に対して厳しくしすぎてしまうことはありませんか?
仕事でミスをした時や、目標に達成できなかった時、他の人に対して寛容でも、自分自身にはとても厳しい目を向けてしまう。
特に、自分に厳しくすることで、目標を実現してきた人。
そういう人は、「自分に優しくする」という言葉に違和感を持ちがちです。
私も、学生時代は自分に厳しくすることで無理やり努力しようとしていました。
そして、それがたまたまうまくいき、自分の目指す大学などに合格できたという過去もありました。
ただ、自分に鞭打って努力を続けるやり方は、社会人になると全く通用しませんでした。
仕事では、努力したからといって、必ずしも結果が出るとは限りません。
自分の努力ではどうにもならない領域や、成果に影響を及ぼす外的要因も山ほどあり、勉強すれば点数が上がった学生の頃とは訳が違いました。
努力できることは尊いことですが、自分を無理やり努力に向かわせるやり方は、成果が出なくなった途端に頓挫します。
成果が出ないストレスと、自分で自分を追い詰めるストレスで、私の頭はぐちゃぐちゃでした。
自分自身を厳しく律することが、知らないうちに大きなストレスとなり、自己評価を低くする原因になっているかもしれません。
この記事では、そんな「自分に厳しすぎる」人へ向けて、セルフコンパッションという考え方を紹介します。
セルフコンパッションは、自分を責めずに優しく受け入れるための方法であり、心の健康を保つために非常に有効です。
セルフコンパッションとは?
セルフコンパッションは、アメリカの心理学者クリスティン・ネフ博士によって広められた概念です。
簡単に言えば、「自分に優しくすること」。
他人に対して寛容であったり、慰めたりするように、自分自身にも同じような優しさを向けることがセルフコンパッションです。
これには次の3つの要素が含まれます。
自己優しさ:自分のミスや弱さを責めるのではなく、むしろ自分に優しく接しようとすること。
共通の人間性:誰しもが失敗したり困難を経験することを認識し、自分だけが辛い思いをしているのではないと理解すること。
マインドフルネス:ネガティブな感情や思考を押し込めるのではなく、今感じているものをありのままに受け入れること。
これら3つの要素を実践することで、セルフコンパッションは、自己批判的な思考から脱却し、心のバランスを取り戻す手助けをしてくれます。
自分に厳しすぎるとどうなる?
自分に厳しすぎると、知らず知らずのうちに心と体に大きな負担をかけてしまいます。
たとえば、ミスをしたり失敗したときに、自分を強く責め続けると、ストレスが増大し、不安や落ち込みの原因になります。
また、常に完璧を目指して努力しすぎることで、燃え尽き症候群(バーンアウト)にもなりやすくなります。
さらに、自分に厳しい姿勢が続くと、自己肯定感が低くなり、「自分は何をやってもダメだ」という思考に陥りやすくなるのです。
他人に対しては「大丈夫だよ」「誰でも失敗はあるよ」と優しい言葉をかけることができても、自分に向ける言葉はとても厳しい。
これは多くの人が経験することです。
実際、特に日本の文化では、自己批判が「努力」や「向上心」として評価されることが多いため、自分に厳しくすることが正しいと感じることがあります。
しかし、このような過度な自己批判は、心の健康を損なう可能性が高いです。
セルフコンパッションがもたらす効果
セルフコンパッションを実践すると、心理的にも身体的にも多くの効果が期待できます。
ストレスの軽減
自分に優しくすることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられ、心が落ち着きやすくなります。これにより、不安感や過度なプレッシャーを和らげる効果が期待できます。
自己肯定感の向上
セルフコンパッションを持つことで、自己批判的な考え方から脱却し、自分の弱さや失敗を受け入れられるようになります。その結果、自己肯定感が高まり、より前向きな気持ちで日々を過ごせるようになります。
人間関係の改善
自分に優しくすることで、他人にも寛容になりやすくなります。
セルフコンパッションを実践すると、他人の失敗や弱さに対しても共感しやすくなり、より良い人間関係を築けるようになるのです。
燃え尽き症候群の予防
仕事や勉強などで常に自分を追い込む人は、燃え尽き症候群になりやすいです。
しかし、セルフコンパッションを持つことで、自分に適度な休息を与え、エネルギーをリフレッシュすることができるため、バーンアウトのリスクを減らせます。
セルフコンパッションを実践する方法
では、どうすればセルフコンパッションを日常的に取り入れることができるのでしょうか?以下に、具体的な実践方法をいくつか紹介します。
自分に優しい言葉をかける
ミスをしたり失敗したときに、自分を責める言葉を使う代わりに、優しい言葉をかけてみましょう。
「大丈夫、誰でも間違いを犯すことはある」「次に頑張ればいい」といった言葉を、自分にも向けることが大切です。
自分に優しくすることに違和感がある場合は、自分と同じ状況で悩んでいる友人の姿を想像してみてください。そして、自分はその人になんて声をかけるだろうと考えると、少しイメージしやすくなります。
他人に優しくできるように、自分にも同じように優しくする習慣をつけましょう。
失敗は人間の共通の経験だと理解する
失敗や困難は、誰にでも起こるものです。
「自分だけがこんなに苦しい」と思うのではなく、他の人も同じような経験をしていることを理解することで、孤立感や過度な自己批判を和らげることができます。
誰もが同じように苦しさを感じているとわかることで、自分の弱さや失敗をより受け入れやすくなります。
マインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスは、今この瞬間の自分の感情や思考を客観的に観察する練習です。
自分がどのように感じているか、何を考えているかを注意深く観察し、それを評価せずに受け入れることがマインドフルネスの基本です。
これを日常に取り入れることで、ネガティブな感情に過剰に反応せず、冷静に対処できるようになります。
自分が休むことを許す
セルフコンパッションを持つためには、自分自身に休むことを許す勇気も必要です。
無理をしすぎてしまうと、心も体も疲れてしまい、結果としてパフォーマンスが落ちてしまいます。
疲れたときには、しっかりと休息を取ることを自分に許し、心のバランスを保ちましょう。
いかがだったでしょうか。
セルフコンパッションは、自分に対して優しく、そして正直に向き合うための大切なスキルです。
自分に厳しくしすぎてしまうと、心と体の健康に悪影響を及ぼす可能性がありますが、セルフコンパッションを取り入れることで、ストレスを減らし、自己肯定感を高め、より健やかな日常を送ることができます。
自分を責めすぎず、優しく受け入れることで、仕事や人間関係においてもより良い成果を得られるでしょう。
この記事が、少しでも皆さんの役に立てると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございます。