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事業を行うのであればBCP(事業継続計画)の策定を

現在、日本だけでなく世界中で未曾有の電力の調達費用が高騰しています。
影響の根幹はコロナ禍からの経済活動の回復を見せ始めたことにより、世界中からの需要が増えたことによる原油価格の高騰。そこにロシアによるウクライナ侵攻の影響から天然ガスの調達も難しくなった結果、さらに電力の調達費用が高騰することになりました。

その結果、2021年4月には706社あった新電力会社のうち、15%となる104社が電力事業を停止・撤退を余儀なくされています(2022年6月8日時点)

出典)帝国データバンク「新電力会社の事業撤退動向」より

電力は事業だけでなく生活を支えるインフラですが、それを支える事業会社が事業を継続できない事態に陥っており、停止・撤退をする新電力会社と契約を結んでいた事業者は電力に関する不安を抱えながら事業を継続しなければなりません。

これはあくまでも事業を行う上で数あるリスクの一つ。事業を継続するうえでは他にも自然災害をはじめ、人災やテロ攻撃などの緊急事態は常に想定されます。

電力の調達費用が高騰することや国内での燃料不足なども事業を継続する上でのリスクだということが、この1年で明らかになってきましたが、自分たちでは制御できない外部要因によって引き起こされた緊急事態に遭遇した際に、何の対策も打っていなかったとしたら事業を継続するかどうかどころの話ではありません。

事業を行う組織が緊急事態を想定し、被害や損害を最小限にとどめ、中核となる事業の維持・継続、機能不全に陥ったとしても早期復旧を実現するために平常時から手順等を取り決めておく計画のこと。

それが今回ご紹介するBCPです。

BCP(事業継続計画: Business Continuity Planning)とは

BCPとは"Business Continuity Planningの頭文字を取った言葉で、事業継続計画"と訳されます。

事業を行う企業や団体、組織が自然災害やテロなどの生命の危険にさらされるようなものから、システム障害や不祥事などの人災といった危機的状況に置かれたとしても基幹事業を維持継続、早期復旧できるような計画を用意することを指します。

危機的状況は、まさに緊急で発生します。

事前に可能な限りの準備をしておかなければ、大手事業者であろうが中小規模事業者だろうが致命的な状況に陥ってしまいかねません。廃業や撤退、倒産といった事業継続リスクが高まるだけでなく、従業員を解雇しなければならない状況も起こりえてしまいます。

そういった事業存続の危機を緊急事態に遭ってしまったからといって余儀なくされないために、平常時から入念なBCPを策定しておくことが必要です。

また、そういった準備姿勢は顧客や市場関係者からも評価を受けやすくなり、株主にとっても企業価値の維持や向上といった利点を被ることも可能でしょう。

BCPを策定する目的、防災計画との違い

BCPを策定する目的は「緊急事態による企業活動被害を最小限にとどめつつ、可能な限り迅速に事業の再開を目指すこと」です。

似たような計画として防災計画が思いつきます。

防災計画は、災害などが発生した際に生じる被害を可能な限り防ぎ、いち早く復旧を目指すための計画であることに対し、BCPは緊急事態が発生したあとのことを考えて策定されるもの。

つまり、防災計画は災害など緊急事態が起こらないよう未然に防ぐことを目指すものであるのに対し、BCPは災害やテロなどの緊急事態が発生してしまった最悪のケースを想定したうえで迅速な対応するものです。

どちらが重要ということはなく、どちらも事業をおこなう企業や団体などにとっては必要な計画だといえるでしょう。

BCPを作成するうえで必要なこと

BCPを策定する上で必要なことは中小企業庁のページに以下のようなことが挙げられています。

出典)BCP(事業継続計画)とは|中小企業庁

BCPを策定する上では「そもそも何故、これを策定する必要があるのか」「BCPを策定することで何を目指すのか」を社内で共通認識を持って置く必要があります。

各事業者は、それぞれに企業理念や事業方針があるでしょう。それらとBCPの目的がずれていてはいけません。それを前提とし、次のような細かい項目を決めておく必要があります。

  1. 運用方針を決める
    BCPを策定するための理想像から逆算し、行動指針にまで落とし込みますが、そのためには社内で「BCPを策定することによって何を目指すのか」を共通認識として持っておく必要があります。

    有事が起こった際に必要となるのは従業員一人ひとりが理想像を認識した上で判断できること。どのような姿を目指すのか、どういった状態が望ましいのかを組織内で共通認識を持っておくことと、それに沿った方針を決めることこそ、有事の際に活きてきます。

  2. 体制を考える
    方針が決まったら、次に必要なのは社内体制の構築です。

    ・運営を指揮する責任者
    ・各事業部門ごとにBCPの策定に参画するメンバーの選定
    ・策定したものを実行をするためのレポートライン などの実運用に必要な体制図も必要です。

    さらに事業を維持継続すること、また早期復旧を図るためには自社だけではむずかしいでしょうから、取引先や協力事業者などのステークホルダーとの連携が必要です。

    上記の関係者を網羅的に記しつつ、有事の際には即座と確認できるような状況を作り出すことも必要でしょう。

  3. 中核となる事業の選定
    体制が決まったなら、会社や組織の存続が危ぶまれる最も重要な事業部門の洗い出しを行い、それに伴う財政やステークホルダーとの連携部分など、軸に据える事業を選定します。

    また、仮に有事が発生した際に維持・継続が叶わなかったとして、早期復旧するために障害となる要因(ボトルネック要因)を洗い出し明文化し、その解決方法まで決め、復旧までの目標復旧期限を目安として策定しましょう。

    さらに、財政の面を含めて統合的に「事業が止まってしまった場合の存続期間」も考慮する必要がある点には注意が必要です。

  4. BCPの策定
    上記の周辺にある情報を整理した上で発動の前提条件や体制を確定させます。

    特に発動の条件を「設定した中核事業がどのような状態になったらBCPを発動させるのか」を定義するだけでなく、「どのような緊急事態がどう発生したらBCPを発動するのか」まで定義する必要があります。

    この発動条件の定義が曖昧になってしまうと、緊急事態の混乱へさらに混乱を重ねる形になってしまいますので最新の注意を払って定義づけしましょう。

    また、決めるだけでなく防災訓練のように社内で教育や周知を徹底する必要もあります。いざという時、実際に対応をするのは社内の従業員ですから、彼らが有事の際に徹底できる状況を作っておくこともBCP策定には非常に重要となります。

  5. BCPの見直しとBCPの修正
    BCPは一度制定したからと行って安心していいものではありません。

    組織に変化があった場合や取引先や協力事業者に大きな変動があった場合、中核事業が変更した場合など、あらゆる変動に対して柔軟に対応させる必要があります。

    また、起こってほしくはないものの実際に有事が発生した際の振り返りも非常に重要です。

    どこに問題があったのか、何がネックとなったのかなど、うまく行った点とうまく行かなかった点を明確にし、より強固なBCP策定に生かしていくべきです。

新潟でんきでは、電気契約だけでなく消費電力の削減(省エネ)や再生可能エネルギーなどの普及推進によって脱炭素社会の実現にも寄与しています。

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