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読書感想|フワっと「ファン」という言葉を使い続けたくなくて
1.『ファンベースなひとたち』を手に取った理由
今回ご紹介するのは
『ファンベースなひとたち』
という本です。
SNSでは、
個人事業主や中小企業の
集客サポートとして
「ファンづくり」という
フレーズをよく目にします。
私自身も、
サービスも情報も溢れる今
「価値観や人柄が好き!」
「あなただから買いたい!」
そう言ってもらえることが
重要だと思っています。
でも、そもそも「ファンって何?」
自分の商品を買ってくれる人?
リピーターのこと?
でも、安くて好きだから
リピートする人のことは、
私はファンとは思えない…
ファンって何?という問いに
明確に答えられないまま
「ファンづくりは大事!」と
発信し続けるの?
それは読者やクライアントさんに
誤解を与えてしまうかもしれない…。
ビジネスにおける
「ファン」という言葉を
きちんと理解したい。
そんな想いで
『ファンベースなひとたち』を
手に取りました。
2.「ファン」という言葉への理解
本書では
「ファン=買ってくれる人」
ではなく、
自社の商品やコンテンツなどが
大切にしている価値を
指示してくれている人。
だと定義されていました。
なので
「安いから」という理由で
買い続けているお客さんは、
安売りをやめたら、
もっと安いお店が出てきたら、
きっと買わなくなる。
それはファンとは言えない。
一方、
ブランドやサービスが
大切にしているミッションや
想いに惹かれ、
例え原材料値上げによって
少しお値段が
上がったとしても、買い物をする。
それはファンと言える。
また、価値には
機能的価値(安い、便利)
だけでなく、
情緒的価値
社会的価値
もあり、
ファンは後者(情緒、社会)
によって特別な存在になっていく。
これは冒頭の
40ページまでの内容ですが、
ここまでだけでも
ファンという言葉への
理解が深まったなと思います。
3.印象的だった話
本書には色んな
「ファンベース」を
大事にしているブランド、サービスが
その施策の中心人物となった
人物へのインタビューとともに
紹介されています。
その中でも、
印象的だったお話を2つご紹介。
「里山十帖」のエピソード
新潟にある
ライフスタイル型宿泊施設
「里山十帖」は、
雑誌『自遊人』を発行する
株式会社自遊人が運営。
今でこそ稼働率90%超をほぼキープ、
「日本のリゾートランキング」で
3位にランクイン。
(2016年10月15日号『週刊ダイヤモンド』)
ですがオープン当初は
客室稼働率が50%ほどと、
かなり苦しい状態…。
自遊人の創刊者でもあり
里山十帖をスタートされた
岩佐十良さんは、
その苦境を乗り越えるべく、
これまでのお客さまをはじめ
お付き合いのあった方へと、
手書きで里山十帖の魅力、
そして苦境に立たされていることも
隠さず手紙にして送られました。
そうこうするうちに
訪れる人が少しずつ増え始め、
一度来てくれた人が
周りにオススメすることで
稼働率90%を達成するように
なったのだとか。
「“自遊人”が作った宿だから間違いない」
と思ってもらえたのは、
雑誌や他事業で培われた
価値観の発信や共感が
ベースにあり、
ブレずに日々発信を続けることの
大切さを感じました。
「イケウチオーガニック」のエピソード
今治タオルのブランドの一つ
「イケウチオーガニック」の話では、
ファンベースの取り組みが
社員のエンゲージメントを高める、
という点が興味深かったです。
「自分が大好きな、
このタオルを作ってれている人
のことを知りたい!」
というファンの声から生まれた、
社員インタビュー。
同社のファンベース施策の
中心となられた牟田口さんは、
社内の交流が希薄という
課題感も持たれていました。
そこで、
インタビュー内容は
「社員も読みたくなるように」と、
できるだけありのままの言葉を
文字にするように心がけられたそうです。
(インタビュー記事、社員さん一人一人がすごく輝いていて、これは社員さん嬉しいだろうなぁと思いました)
またファンイベントの
一環として行われる工場見学では、
ファン向けの取り組みではあるけど
「ファンです!と言って
もらって嬉しかった」
という社員さんの喜びの声も。
まとめ
モノや情報があふれている時代、
ただ「安いから」「便利だから」
買ってもらうだけでは長続きしない。
会社やブランドを支えてくれるのが
「ファン」なんだなと改めて思いました。
そして上にもあるように、
安さや便利さといった
機能的価値だけじゃなくて、
「企業の姿勢が好き!」
「働いている人の雰囲気が良い!」
と情緒的、社会的価値を
感じてもらう。
そのためには、
情緒的、社会的価値を
発信する必要がある。
なので…
自分の事業の情緒的価値や社会的価値って何だろう?
提供しているサービスはその価値を提供している?
発信内容は、その価値をちゃんと伝えている?
そんなことを
考えさせられました。
また、発信のお手伝いを
させていただいている方にも、
「機能的価値だけじゃなくて、
情緒的・機能的価値も言語化しよう」
「その価値を、サービス利用者や
読者に一緒に届けていこう!」
ただ記事作成を
代行するだけじゃなくて、
「長く、愛される事業を育められる」
発信サポーターになるよう、
精進していきたいと思います!