映画「カラーパープル」_香港へ、蟹食べ行こう一人旅"番外編"
「香港へ、蟹食べ行こう一人旅」にて、往復の飛行機内で旅のお供になった「カラーパープル」の映画鑑賞感想文です!いってみよう!!
「カラーパープル」とは、父親と夫に支配され、最愛の妹と生き別れたセリーが、自由で型破りな女性たちと出会い、輝ける場所を見つけようとする。立ちふさがる運命に、不屈の魂とユーモアで何度でも立ち上がる姿と魂に届く歌声が、困難な時代を生き抜く力をくれる今こそ必見の希望の物語。
スティーブン・スピルバーグ監督の名作がミュージカル映画となった作品。
私は観劇も趣味で、一番好きなのはミュージカル。その為ミュージカル映画も大好き。そんな軽い気持ちで選択したカラーパープルだったが、内容は非常に重く辛い。
まずは映画の導入シーン。気の良さそうなおじ様が、馬に乗り、バンジョーを弾きながら登場。このおじ様が極悪人(主人公セリーの結婚相手であるミスター)で、最初のシーンはなんだったのかと混乱する。
この物語は、3人の女性の生き様を描いている。
主人公のセリーは、幼いころから様々な虐待を受け、生きる気力をなくしている。
自分の主張を貫く強くて明るいソフィア、歌手になる夢を叶えたシュグの3人の女性がセリーとの関わりの中で、それぞれの運命を切り開いてく物語だ。
セリーの虐待されるシーンが、これでもかと描かれて、見ていて辛い。特に悲しかったのが、ミスターの息子ハーポが、妻のソフィアが夫の自分に服従しないことが気に入らず、セリーにどうしたらいいのか相談する。
そのアドバイスが「妻は殴れば支配できる。」
こんなに悲しいアドバイスがあろうか。負は連鎖すると聞くが、セリーからそんな言葉は聞きたくなかった。
ハーポから殴られたソフィアは、ハーポとの間に生まれた赤ちゃんを連れて家を出て行く。男に抗い強く生きてきたソフィアは、コソコソ夜逃げなんてしない。「あなたは私には相応しくない」とハーポに告げて、堂々と出ていく。
だが、ソフィアに悲劇が訪れる。あり得ない理由で、悲劇が重なるソフィアには、もう以前の姿はなかった。その理不尽さが、とても辛いシーンだ。
セリーを救うのは、歌手になる夢を叶えたシュグだ。彼女は自立した魅力的な女性で、立場としては男性と同等、もしくはそれ以上だ。
セリーの純粋さと優しさを知り、シュグはどん底の場所から救い出してくれる。その時、セリーとソフィアは覚醒する。これまで自分たちを虐げてきた哀れな者たちへ、痛烈な決別の言葉を投げつける。
シュグと共に、人としての尊厳が保たれている場所で過ごすセリー。しかし、物語はこれでは終わらない。
セリーは自分の得意分野を生かし、本当の意味で自立していく。
またシュグも、一番自分を認めて欲しかった人に会いに行く。
自立したセリーの元に、贖罪のためにミスターが訪ねてくる。過去の出来事は決して許せないが、それも含めてお互いを人として、今の精いっぱいの言葉をかけるセリーに、もう以前の面影はない。
最後に、
パワフルな歌声やダンスが、理不尽という怒りを表しているようで、心に重く響いた。
家長制度や男尊女卑等々を考えると、この映画のメッセージは、過去の負の遺産に対してだけでは無いのではないか。それと共に、自分の尊厳を守るために、自分がやるべきことがある。そんなことを考えさせられた映画だった。
辛すぎるシーンも多かったが、最後セリーは、自分が大切にし続けてきたものを全て手に入れる。それが唯一の救いだったのかもしれない。