書籍「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」_香港へ、蟹食べ行こう一人旅"番外編"
「香港へ、蟹食べ行こう一人旅」にて、旅のお供になった「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」の読書感想文です!いってみよう!!
「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」は、石井好子 先生著、1950年代のパリで歌手として暮らした著者による、半世紀以上にわたって読み継がれる料理エッセイの名著。
この本との出会いは、京都旅行中に寄った大垣書店にて。有名なエッセイなので、読んでみたいと思い購入に至った。
読み進める内に、これは写真の無いレシピ本だと思った。文章を読みながら、頭の中で料理を作り、その味わいを思い描く。写真が無いから、より頭の中を刺激する。
そして何より驚いたことは、内容が決して古臭くない。美味しい物は食べ継がれ、文化として継承されている、という事なのだろうか。
強いて言えば「バタ」という表記くらい。その「おどろくほどたくさんバタを入れた。」で思い出した事がある。
20代の頃、丸の内に勤めていたお友達に誘われて、東京会館のお料理教室に通っていた。習う料理は、西洋料理。東京会館に伝わるクラシカルな料理だった。その時に、付け合わせとして「バターライス」がよく登場した。これは「おどろくほどたくさんバタを入れ」て、ご飯を炊くのだが、そのバタの量がダイエット的にどうなのかと考えたチームがあり、バタの量を減らしてバターライスを作っていた事が先生に見つかってしまった。その後、バターライスを作る時は、先生の「バターチェック」を受けるように変更された。今となっては、何とも贅沢な思い出だ。
石井先生は、著書の中で「蟹」についても綴られている。様々な国で蟹は食べられているが、一番美味しいのは日本の蟹である、とのこと。
私は、ポルトガルの白ワインのソースと共に味わう蟹や、豪快なアメリカの蟹も食べてみたいけれど。
各国の名物料理の紹介と共に、先生の感想や「もっとこうすれば美味しく食べるのでは?」というアイディアも記されている。そのアイディアも、食いしん坊心をくすぐる。
最終章「わたしのゆくところに料理がある」は、イタリア料理の話しで締められいる。今年の夏休み、ベネチアとフィレンツェを旅した私は、先生の考察と全く同じ思いをいだいた事に感激。
美味しいけれど、日本人からしたら全てがコッテリしていて、一緒に行ったダンナ様は早々に根を上げて、フィレンツェで幻の「吉野家」を見つけていた。
最後に、
私は、石井好子先生になりたい。色々な国を旅して、その国の料理を通して、文化に触れる。それをエッセイとして、届ける。
歌唱力はイマイチなので、歌手にはなれないけれど。
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