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退職後悩んで | #02②食べものに頼ってみた


頼ってばっかりだな、食べものにも頼るってか!と思った貴方は充分強いお方とお見受けします。
自分の存在をちゃんと認めることが出来ている方。所謂"自分軸"をしっかりとお持ちでいらっしゃるってことですね。いいなぁ。

当時の自分は、じゃない方。(今もブレブレですが)
だから食べものにすら頼ってしまい、コーヒーがあるから、チーズがあるから落ち着いていられる…みたいな、完璧な依存症。(勿論現在進行形)

タバコや酒よりチーズに依存をしている方がマシだと思っている点は、身体に致命的害は無さそうだし、タンパク質やカルシウムが豊富だから老化を多少なりとも遅らせられるのではないかってこと。
そんな自分軸のあやうい、依存症人間が書いた実際あった話です。

きっかけは2022年10月。新宿の三角ビル広場で開催された、チーズプロフェッショナル協会主催のチーズフェス。

北海道だけじゃなく、九州や沖縄地方にも数多のチーズ工房があることをこのフェスで知ったのだが、日本最南端の宮古島のチーズを味見したいと思った。チーズ界最南端と寒い場所のものとでどれだけ味が違うのか興味津々だったから。

宮古島で本当にチーズを作っている人がいるのか?と疑問に思い、会場で生産者の方をきょろきょろ探した。
たまたま柱の影に、"宮古島チーズ工房"ロゴ入りエプロンが見えた気がして追いかけて、すかさず話しかけたのが、工房主人の冨田常子さんだった。

ちょっとの立ち話しか出来ず、もっと彼女と話がしたいと思った。そして宮古島産のチーズが食べたくて仕方なくなった。その時は販売されておらず、買って帰ることも出来ないって…ムラムラがつのった。依存症だからね。

偶然スマホでスカイマークエアラインのセールにも出会した。羽田から下地島空港行きの格安チケットがある!渡りに船、いや渡りに飛行機。「行け」と言われてると直感。
「チーズ食べたさで宮古島に行くなんて正気か?」といろんな心配をする家族を置いて私はひとり、その数日後には宮古島にいた。


冨田さんの工房は、下地島空港からバスだと1時間半から2時間はかかる。宮古空港からだと約1時間ほどの東平安名崎の近く。開店日前日入りして、インギャー界隈に宿を取った。



サトウキビ畑を風が通り抜け、シャラシャラとした音しか聞こえない、静かで気持ちいい集落の一画が冨田さんの工房。

チーズを買いながら冨田さんとの会話が楽しいのなんのって。宮古島チーズのこと、冨田さんのことを書かせていただく許可を得たので読んでいただけると幸いだ。

チーズを味わい、話を伺い…チーズの味は作る人に比例するとわかった。

冨田さんは自宅兼工房でひとり黙々と、チーズを作り、店頭販売し、車で島内配達をし、全国への配送作業まで全てをこなす。
月曜日から水曜日までは、ひたすら黙々と一日9時間チーズ作り。手元はチーズにつきっきりになるから、Siriに好きな曲をかけてもらったり、時間を確認したり…冨田さんの片腕がSiri。
とにかく食事を取ることも忘れてチーズと向き合ってしまうほど、チーズ愛が半端ない。
木曜日、金曜日は島内中を車で配達。宮古島の高級ホテルを覗いてみると、ディナーで食べられる可能性大。
そして土曜と日曜は10時から15時まで店を開ける。

そこまでチーズ三昧の毎日に、休みたくならないかを聞いた…が、質問した自分が馬鹿だったとすぐに気づいた。

好きなのだ、冨田さんは。チーズが。
チーズ一色の毎日が。

店に居らした時のお顔の穏やかなこと。溌剌した気に満ちていた。

自分の好きなこと、やりたいことをしていたらこうなれるのかもしれないと思った。

いよいよ話は冨田さんの過去に遡る。つづき③で、恐れおののくことになるのでここら辺で一旦ひとやすみを…

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