「メモ。」/ショートショートストーリー
スーパーで買い物するときはメモ書きを見ながら探す。
最近は、買物するときにはメモ書きが必需品になりつつある。
昔。若いころは記憶力は良かった。
ところが今では何かしら、忘れてしまう。
年のせいにはしたくないけど。
まさかの認知症とかなんて考えたくもない。
それでも。
冷蔵庫を開けて
「ああ。そうだったわ。これ買ってあったんだ。」
と驚くことが何回もあると流石にである。
買物だけでなくて、病院の予約も忘れてしまうのはどうかと思ったりもするの。
そういう時はやっぱり切ないわね。
本当に忘れたいことはしょっちゃう頭の中でぐるぐるしているのに。
子供のときに親から虐待されたこと。
学生時代は友達もいなくてずっと無視されていたこと。
勤めていた時はいつもなぜかパワハラ上司ばっかりだったこと。
記憶って。芋づる式ね。
ひとつ嫌なことを思い出すといくらでも思い出してしまう。
そういう記憶は体に刻まれたのと同じだから忘れられないのかしら。
「おい。なにボッーとしているんだ。早く飯つくれよ。俺が養っているんだんだぞ。」
ああ。このひとのことは一番忘れたいのに。
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