セーヌ川の水質以外のこと
その金メダリストは、フィニッシュの歓喜のあと座り込んでしばらく動けなかった。フィニッシュした選手たちが、彼に敬意を表し声をかけるが立ち上がることができなかった。15位で入ってきた日本人選手が彼を助け起こしやっとその場を離れた。
フィニッシュで倒れ込んだのは、彼だけではない。嘔吐していた選手もいた。
レースの過酷さも伝わってきたけど、なぜかのどかさを感じてしまった。彼らが自由に見えた。精一杯闘い楽しみ精魂尽き果てた末の姿は、生き抜いた人間ののびのびしたものがあった。
最後の選手は、のびやかに観衆とハイタッチを繰り返し楽しんでいた。ゴールしたすべての人が勝者というトライアスロンらしいシーンだった。
オリンピックのトライアスロンは、スイム1.5km・バイク40km・ラン10kmをひとりの選手が連続して行う競技です。
アレクサンドル3世橋の下に設けられた浮桟橋(ポンツーン)からスタートし、セーヌ川を1.5km(1周目910m、2周目590m)泳いだ後、32段の階段を上ってアレクサンドル3世橋の上のトランジションエリアから、バイクスタートとなります。
スイムバトルで川の流れの強さを感じました。川の流れに逆らって泳ぐというのは体力を消耗します。きれいな1列になり、コースとりができていたパック(集団)もありました。
バイクは、凱旋門、グラン・パレ、オルセー美術館等パリの街中を走りますが、1周5.175kmの7周回なのでカーブが多くテクニカルなコースでした。石畳で路面が悪く、雨のあとの女子は転倒がありました。
40kmの間にいくつかのパックが形成され、逃げ、引き、アタック等の駆け引きや、おまえいけよ的な協力体制があり、会話している様子が好き。
32名という大きな先頭集団となり、バイクフィニッシュへ向かいます。
ランの先頭にたったのは東京2020の銀メダリスト、イギリスのアレックス・リー。2周目でニュージーランドのヘイデン・ワイルドがリーを抜かし、そのまま首位をキープしてました。
ワイルドの勝利は目前だと思ってました。
えっ?リーがきた!!すごい!
そのままリーがゴールテープをきりました。
フィニッシュのリー、金メダリストにふさわしい笑顔です。
その後、リーは座り込んで動けませんでした。
このあとも最後の選手のフィニッシュまで映していて、死闘の末なのにアットホームで自由な雰囲気でした。
リーの言葉です。
トライアスロンをamazing sport といいメダルを彼を支えてくれた何百人の人たちに切り分けたいと感謝の気持ちを述べてます。
トライアスロンは、3種目あるから大変なのでなく3種目あるからおもしろい。
ひとつじゃないから
それだけじゃないから