責任のとりかた
禁断の魔術 東野圭吾
文系なので化学・物理は苦手なのだけど、湯川センセイに出会ってから科学は格好良いなぁと思えるようになった。科学というか、湯川が格好良いのかもだけど。
湯川でなくっても格好良い科学者(技術者)がいる。いた。湯川の後輩である小芝伸吾の亡き父親だ。
科学を制する者は世界を制す
オリンピックを例にあげ、ただ身体を鍛えるだけでは勝てない、スポーツ科学、脳科学も必要だと話している。
湯川は科学について
扱う人間の心次第。邪悪な人間の手にかかれば禁断の魔術となる。科学者は常にそのことを忘れてはならない。
と愛弟子である小芝に話している。
科学と対峙することを教えた責任のとりかたが、圧巻だった。
科学技術に限らず、教える、教えたという責任ってこんなに重いものだったんだ。
責任も含めて、教えるってこと考えていかないと。
湯川がここでも人間味があるのだけど、それぞれに正義がありやはり真実はひとつじゃない、って思う。
小芝のお姉さんも、代議士も、彼らの正義と信念と愛があった、と思う。
他者に向ける眼差しがやさしい、東野圭吾さんだな。
湯川の哀しさも感じられ、せつない。