ボロボロのレシピ
ボロボロになったレシピがある。紙が切れてるし、穴もあいている。汚れている。肝心の分量、砂糖がいったい何グラムなのか見えない。
おまけに落書きというか、メモがある。
宮本輝の「錦繍」の一文のメモだ。
そのとき私は、2度目の恋をしていた。その恋人の家で「りんごのクラフィティ」をつくり、オーブンに入れている間にこの1文に会った。
かつて夫婦だったふたりの往復書簡の小説にかつての恋を思い起こし、そこにあったこのレシピにメモをした。
2度目の恋の相手の前で、1度目の恋の痛みを感じていた。
はじめての恋だった。彼とスキーに行き、しんしんと降る雪の気配を感じながら熱い地酒を飲んだ。
なつかしい痛みだ。
久しぶりにこのレシピを引っ張り出してみた。いちじくがあったから。
りんごのクラフティ(いちじくのクラフティ)
りんごでつくることが多い。だけど、いちじくを見つけると、りんごでなくいちじくのクラフィティになる。いちじくは、りんごのように煮なくっていい。そのまま使える。
レシピがボロボロなのでここにきちんと分量を残したい。
材料
パイ生地 Ⓐ 小麦粉120g ・バター80g ・砂糖40g ・卵黄1個分
クリーム 小麦粉30g・バター40g・砂糖20g(これが読めなくなっている)・卵黄2個分・生クリーム100cc・牛乳100cc・りんごは好きなだけ。今回はいちじく。
つくりかた
レシピは牛乳と生クリームだけど、私は生クリーム200cc使う。少しづつ生クリームを加えて、なめらかになるまでよく混ぜる。
このレシピは、アムウェイのものでアムウェイのフライパンでつくるようだ。りんごの場合、アップルパイのように煮たりんごをパイ生地に入れる。
いちじくだと、そのままでいいので簡単だけど、軽くバターでソテーしてもいい。
冷蔵庫で保存して、電子レンジで少し温めてもいいし、冷たいままでも美味しい。
ほろ苦さと甘さ。
なつかしい思い出のレシピだ。