毎日がいちばん偉い
自分から、別れを言ったことはなくなぜかいつも相手から、それを切り出されていて。私にとっては、突然で青天の霹靂だけど、彼はきっと前からずっとそれを考えていて、言い出すタイミングが難しかったんじゃないかな。
今だから、相手のことを考えられるけど当時は、それどころじゃなかった。明日羽(あすわ)のように。
太陽のパスタ、豆のスープ 宮下奈都
明日羽が突然、婚約者から、別れを告げられるところから始まる。暗闇をさまよう明日羽に、叔母のロッカさんは“リスト”を作るように勧める。おぼれる者がつかむワラのごとき、“漂流者のリスト”だという。
前に進みたいけど、なかなか進まない。周りの「がんばっている人」をみて焦ってしまう。
がんばっている人のことは素直に感嘆していよう。自分ががんばれなくっても開き直らず、卑下もせず、いちばん後ろからゆうゆうと歩いていこう
なんだかいとしいほどだ。この程度の私。毎日鍋を使って、豆を探して、必死に水面に顔を出そうとしていた、溺れかけの私。私にとっての豆はなんだったのだろう。きっと毎日に関わることだと思う。でも、まだ、見きわめられないでいる。いろんな心当たりに水をやり、日に当てていれば、いつかは芽を出すだろうか。
毎日に関わること。
浮ついていない、どっしりとした貫禄がある言葉は、食にもつながる。
ル・クルーゼの鍋で作る料理も美味しそう。お兄ちゃんの作るホットケーキもいい。
瑞々しく、若い人を書いているけどとても落ち着いている。温かみがあるきちんとした文章が好き。「毎日」・・・日常を描く物語が好き。
相手のことも少しは考えられるようになるので、失恋も年を重ねるのも悪くはない。