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障害を有する子どもにとっての「個別最適な学び」とは何かを考えよう

特別支援学級に在籍する場合、週の半分以上の時間は特別支援学級で授業を受けなければいけないという通知が出ました。

このことは現場で大きな波紋を呼んでいます。
特別支援学級は1名でも在籍していれば学級として存続され、1名の教員が配置されます。このことを利用して、例えば、障害を有する子どもが2名いたとする。うち1名は知的学級に、もう1名は自閉症・情緒学級にとなると、教員を2名配置することができます。

これは学校にとって大変大きいです。教員は1名でも多い方が仕事を分散することができるのでありがたいのです。
したがって、今回の通知は、実は通常学級でほとんどの生活を送りながら、特別支援学級に在籍させて教員の人数を水増ししていることに対する警鐘を鳴らしているのではないかと思うのです。

自閉症・情緒学級の子どもは情緒が安定しないときにその学級を利用すればいいと考える向きもあり、平常の場合は通常学級に在籍し、落ち着かないときは自閉症・情緒学級で授業を受けるという形をとっている学校も少なからずあります。したがって、落ち着いていればずっと通常学級にいる場合も考えられるのである。
校長の言い分としては、こういう子どもがいても仕方ないだろうというところなのだと思います。

しかし、

そもそもなぜ特別支援学級があるのかを問い直すことから始めないといけないのではないかと思うのです。

障がいがある子にとっても、生き生きと学校生活を送ることができるようにすることが一番の目的です。
通常の学級でみんなと同じ授業を受けることは難しく、それを苦痛に感じているとしたら、特別支援学級に在籍して、この制度を活用することは問題ありません。苦痛を感じる教科については特別支援学級で学習を進め、そうでない教科については通常の学級で学習を進めればよいと考えます。

したがって、特別支援学級に何時間いればよいという問題ではないのです。障がいを有する子どもにとって「個別最適な学び」を考えたときに特別支援学級で何時間学習するかはそれぞれの状況に応じて異なると思うのです。

とはいえ、算数が苦手だから算数だけ特別支援学級に行って学習するというのは特別支援学級の目的外使用と言わざるを得ません。その子が有する障害が原因となって算数ができないのであれば在籍するのも致し方ありませんが、算数ができないという現象のみをとらえて、特別支援学級に在籍させるというのはいかがなものかと思います。

教員の中には、国語や算数ができないからといって、特別支援学級に入れてしまおうと考えている教員がいることも確かです。

校長として、こういう排除的な考えは許してはいけません。


教員の、子どもへの差別は子どもは敏感に感じ取ります。そして、それは子ども同士のいじめにもつながってきます。

障がいのある子どもも幸せに学校生活ができるように、排除するような考えをもつことなく、しっかりと一人一人にあった「個別の指導計画」を立て、それをもとに教育活動を進め、「個別最適な学び」を実現しようとしているのであれば、文部科学省の通知など無視すれば良いのです。

校長として、特別支援教育に確固たる信念をもって、学校経営にあたり、それをきちんと説明することができれば問題ないのです。



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