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読書|朝井リョウ「時をかけるゆとり」
文庫本:272ページ
読了までにかかった時間:90分
圧倒的に無益な読書体験がこの先両手を広げて待っていると思っていただいてよかろう。
文字は追えても、内容が素通りしていく。
この冬は、いわゆる「読書キャンセルモード」全開だった。新聞や雑誌、noteは読めるけど、それ以外の活字がまったく頭に入ってこない。書評や広告を目にする度に気になる本は増えていくのに、なかなか本を読むことができない少しもどかしい日々。
子どもたちが冬休みで1人で過ごす時間が少なかったこととか、今シーズン地上波ドラマが豊作でそっちを追いかけるのに忙しいとか、ゲームも進めなくちゃいけないとか色々それっぽい要因は思い浮かぶんだけれども、どれもきっと違くて、なんとなく本を読めない時期というのが不定期で訪れる。(ちなみに、まったく忙しくない生活をしている。)
バイオリズムか何かでそうなってるんだろうと思い、そういう時期はそういうもんだと割り切って放っておくのだけど、今朝目覚めた時に「そろそろ何か一冊手に取ってもいいんじゃないかな」という神のお告げ?(心の声?)を聞いたような気がしたので、リハビリのために本屋を訪れた。
そして、手に取ったのがこのエッセイ「時をかけるゆとり」。序盤からトイレの話しで、「あぁそうだった、朝井リョウさんお腹弱いんだった」と彼のこれまでの作品を思い出しながら、気がつけばさくっと一冊読み終えていた。
そして今、無事「読書OKモード」に戻ることができ、次読みたい本を探している。
テーマとか意味とか役に立つとか考えさせられるとかどうでも良くて、ただまとまった活字を読んで満足したいだけの時にも優しく出迎えてくれる朝井リョウさんのエッセイ。ビジネス本啓発本ハウツー本がひしめく中で、その存在はひときわ温かみを感じる。
「ゆとり3部作」の1作目。私はなぜか2作目、3作目を先に読んでいたのですが、どれも面白くて読みやすいので、久しぶりに本を読みたいという方や普段本なんて読まないけどという方にもおすすめです。
朝井リョウ「時をかけるゆとり」
文藝春秋 2014年12月4日発売
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