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miyamoto_2020
読書|小砂川チト「猿の戴冠式」
単行本:144ページ
読了までにかかった時間:90分
われわれは/この器用な前肢で/みずから/言葉を発見し/てずから/かんむりを戴き/そうして/その、すこぶる丈夫な後ろ肢で。森の外/もっと遠くへ/それでこそ/それでこそ/それでこそ。
ボノボと人間、肉体と言葉、主観と客観が入り乱れ、読みながら混乱する。何が妄想でどこまでが現実なのか。
時系列を確認したくなり、ページを戻っては進みを繰り返すうちに、いつの間にか人間「しふみ」にすっかり感情移入し物語に没入していた。
あまりの曖昧さに、読み終えた直後から再度読み直したくなる作品。(何度読んでもよく分からないかもしれないけれど)
ラストは、思わず自分もスニーカーに履き替えて走り出したくなるほどの疾走感。一度手に取ってみたら、きっと物語の世界にどっぷり浸れるはず。
歩くのだ/歩けばいい/ひとりでも/ただ、気高く。それでこそ/それでこそ
小砂川チト「猿の戴冠式」
講談社 2024年1月19日発売
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