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夏目ジウ 掌編・短編小説集

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これまでnoteに掲載した小説をまとめてみました。
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#ボクシング

夕焼けの拳【掌編小説】

夕焼けの拳【掌編小説】

※本文は3,044字数です。

 地方の小さなボクシングジムには、煌々とした夕陽がよく似合う。そこは、男達の酸い汗の匂いと熱い吐息で充溢している。大田拳士はプロボクサーを目指すイケメンの19歳だ。
 「おい拳士、パンチ打ってみろ」
 「はいっ!」
 ジムの会長である山本は、そうやって拳士のパンチを全力で受け止める。空気を切り裂くような美しい左ジャブは渇いた音を立てると、ボクシングミットに吸い込まれ

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追憶【ショートストーリー】

追憶【ショートストーリー】

 拳の記憶よりも、愛の追憶は遥か深い。
 ボクシング世界タイトルマッチで僅か1R59秒で惨敗を喫した松下タツヤは絶望の淵にいた。
 古びた病院の個室にはユリがずっと付き添っている。両親のいない彼はユリ無しでは生きられない。この試合に勝てばプロポーズをするつもりだったのだ。そんな絵に描いたような幸せを目前にしたまさかの出来事・・・一命は取り留めたが、医師からは引退勧告を受けざるを得なかった。
 「タ

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幻の陰影【掌編小説】

幻の陰影【掌編小説】

※本編3,494字。

 「元 日本バンタム級一位がボクシングを教えます!」
 こんな触れ込みのチラシを見て、広志は父に懇願した。一位の人にボクシングを習いたい、と。
 父の章司は正直なところ、殴る蹴るのスポーツでは無く、野球やサッカーといった球技をして欲しいと思っていた。だが、最後は息子のしつこさに根負けした。入会するかどうかを約束はしなかったが、一日体験会に参加することにした。

 二年前に父

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