駅伝当日に坊主にして現れた、あの大田くんが好きすぎる話
そう、あの大田くんが好きすぎる。
不良?ではなく、ヤンキー?でもなく、普通?ってなんだ、
そしてまじめにもなりきれないあの大田くん。
小学生で勉強をあきらめ、タバコに万引きにけんかに、
いろんな悪いこともして
金髪頭でふらふらと毎日を過ごしていた、
『あと少し、もう少し』で駅伝2区を走った大田くん。
襷をつないでみんなで走る駅伝大会に、
陸上部でもなく部活に入るでもなく、学校をさぼったり、
来たかと思えばテニスコートでタバコを吸っていた大田くん。
『君が夏を走らせる』では、
1歳10か月の鈴香ちゃんのお世話に奔走する大田くん。
内心の葛藤を隠しながらも、何でもできるさわやかな桝井部長も、
ただひたすらに目の前のことに懸命になり走る設楽くんも、
ムードメーカーで頼まれたことを断らずに楽しんじゃうジローも、
中学生らしさと大人の間をもがきながらも正しく物事を見る渡部くんも、
桝井部長みたいにって優しくも強い俊二くんも、
みんなそれぞれ魅力的。
とっても魅力的なのに、どうしても大田くんが好きだった。
大田くんの先輩が、鈴香ちゃんを大田くんに預けたくなるのは
確かにそうだよな、と思った。
大田くんは、どうしたって人のせいにはしないからだ。
納得していない今の自分のこと、思い通りにいかないこと、
それらすべて人のせいにして楽に生きたっていいのに、
「勉強をちゃんと教えてくれなかった先生のせい」にしないし
「悪いことを止めてくれなかった親のせい」にもしない
いつに戻ったらまともな人間になれるのかと自責しながら
満足できない今を生きている。
だから信頼できる。任せられる。
駅伝だって、大事な子供の世話だって。
金髪の見た目して、
おままごとでもゾウをフライパンで焼かせないし、
妹が生まれる日はいつもの公園じゃなくて神社にお参りに行く。
ちゃんとしてないようで人一倍ちゃんとしていて
目の前の人をちゃんと見ることができる大田くんが、
「自分なんて」て思うことがこれから先あまり多くありませんように。
誰かの言葉がずっと心の中で輝いて、
お守りみたいになることがあるように、
自信をなくしがちな大田くんの心が
少しでも守られますように、
そしてまたどこかで大田くんに会えますように。
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