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詩│ブルー
ブルー
それは私が愛した色
まぶたの裏、白昼夢
スカイブルー
それは透きとおる空
行く先さだめぬ、少女の旅
マリンブルー
それは広大な海
両腕に抱く、潮の風
コバルトブルー
それは穏やかな波
耳をかすめる、さざ波の音
セルリアンブルー
それは雨の日の水族館
ガラスの向こう、泡沫の夢
サファイヤブルー
それはキラキラの好奇心
いたずら好きな、猫の瞳
ネイビーブルー
それは父の日の包み紙
照れくさそうな、あの笑顔
ブルー
それは青色のプロマイド
あたたかく、優しい思い出
私が愛した色
****
あとがき
ゴッホは黄色を愛したという。
私は何色が好きなんだろうとぼんやり考えて
ふと、狭いワンルームを見渡した。
青色のものが多いことに気が付いた。
深い青色のカーテン
淡い水色のブックカバー
青のグラデーションが描かれたキャンバス。
無彩色な部屋に散りばめられた青。
私は青色が好きなのだろうか。
いや、きっと違う。
目を閉じると、いつも瞼の裏に見える景色。
それは静かに輝く海とか、透き通った空
猫の美しい瞳、ネモフィラの花畑
静かな水族館、父の日の花束。
大切な思い出は、全て青色。
好きな景色も、優しい記憶も、全て青色。
だから私は、無意識に青色を愛していた。
きっと青色が好きだった。
そんなことを思って書いた詩。
詩なのか、言葉の羅列なのか、
ただ青色について書いただけなのか。
正直なんでもいい。
ただ、美しい青色を
できるだけ美しい言葉で表現したかった。
ゴッホが自分の愛した黄色を
美しく表現したように。