あなたはどっち派? 「赤信号をわたれ」おじさんと、「赤だよっ!」おじさん
こんにちは。
赤信号でも横断歩道を渡ることがある、アサです。
あなたは、信号が赤なら、必ず止まりますか?
止まらないとダメですよ!
だって、赤なんですからね(笑)
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若い頃、仕事で終電を超えてしまったとき、ときどきタクシーを使っていたことがあった。
深夜2時くらいだったろうか。
その日も、アパート近くの大通りの前で、支払いを終えタクシーを降りた。
渡りたい横断歩道は、赤信号になったばかり。
青になるまで、まだまだ時間がかかりそうな点滅具合である。
そこそこの大通りだが、深夜のせいか、車は一台も走っていなかった。
いつもなら、絶対、渡っている。
しかし、今日に限っては、
渡りたくても渡れない……
なぜなら、横断歩道の向こう側には警察署があり、入り口のすぐ横に、警察官のおじさんが警棒を持って、仁王立ちしているからであった。
いつもはいないのに、今日に限ってどうしたの……
私の信号無視を阻止するために、深夜まで働いていらっしゃるのか?
ちぇっ……仕方ない、待ってやるか(笑)
「あぁ……疲れたなぁ」とぼんやり赤信号を待っていると、その警察官が、向こう側から、なにやらこちらに合図を送ってきた。
「おいで、おいで」の手招きである。
「一台も車が来ていないから、渡っちゃいなさい」というわけである。
私はそれに気づいて、赤信号の横断歩道をササッと渡らせてもらった。
警察官のおじさんにペコリと頭を下げて、一人暮らしのアパートへと帰っていった。
交通ルールを守らせねばならない職業の人が、「赤信号を渡ってしまえ」というんだから、愉快な気分であった。
融通の利く警察官がいたものよ
もしも、いつか私が、なにかの事件や事故に巻き込まれたら、こういう人に担当して欲しいわぁ……。
そんなことを考えながら、とてもすがすがしい気持ちでアパートへと帰ったのだった。
***
しばらくして別の街に引っ越すと、「なぜ、ここに横断歩道を作った?」と思える道に、いくつも出くわした。
2~3メートルの横断歩道で、車がほとんど通らない。
でもちょっとは車が通る。だから、横断歩道を作ったんですね……へぇ……あぁそうですか……
そんな道だから、赤信号を無視して渡る人もチラホラみかけるが、やはり立ち止まる人の方が多い。
その日も、車が一台も通らない赤信号の前で、10人くらいが立ち止まっていた。
そうして私が、かまわず渡ろうと歩き出したら、向こう側に立っていた人に、とつぜん怒鳴られた。
「赤だよっ!!」
今度は警察官ではない、一般市民のおじさんである。
短い横断歩道だったので、「赤だよ!」と言われたときには、すでにほぼ渡り終えてしまっていたため、そのまま直進し、家へと帰った。
「赤だよおじさん」は、赤信号を無視をする人を見つけるたびに、いつも「赤だよっ!」と注意して回っているのだろうか。
パトロール、ごくろうさまである。
赤だよおじさん、人のルール違反を大声で指摘して、気分は晴れたかい?
それなら、よかったよ。
***
人間と言うのは、二種類に分かれますね。
車の来ない赤信号で立ち止まる人と、無視して渡っていく人とに。
……って、そんな大げさな話じゃないか(笑)
私は基本的に、子供がいないと判断した場合には、さっさと渡らせてもらうことにしているが、
もしも、自分にちいさな子供がいたら、
「お母さんは大人なので、赤でも渡るときがあるけれど、あなたはちびっこなので、絶対にマネしちゃいけないよ」ときつく言い渡すだろう。
子供が分別がつく年頃になったら、
自分で判断して、赤でも渡りなさい。
そして青だからと言って、安全だと思うな、おかしな車が突進してくることがあるぞ
そのように言い聞かせるだろう。
止まる必要のない赤信号に、反射的に立ち止まっている大人たちは、たいていスマホを眺めていて、意識が上の空である。
だから誰かが歩き出すと、何も考えずに、つられて歩き出したりする。
これもまたカラダの無意識の反射だろう。
おいおい、つられるな。万が一なにかあったら、どうするのさ。渡るか渡らないかは、自分で決めてくれ。
なーんて、ぶつくさ書きながらも、私も別に急いでいるわけでもないし、赤信号のひとつやふたつ、ゆっくり待てばいいんだよね(笑)
しかし、機械的に点滅を繰り返すだけの赤信号という「禁止ルール」を目の前に提示されたとき、わたしのカラダの奥底から、
「いや、危ないかどうかは、自分で決めるから」
というような、不遜な気持ちがむくむく沸き起こるのは確かだ。
学生時代に、学校であまりにもバカバカしいルールを押し付けられ続けたおかげで、私の「ルールを破りたい熱」はおそらく一生、沸騰し続けるような気がする。
まじめな私ならではの、小さな反逆である。