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「円空展@東京 三井記念美術館」はすごかった!まだ行っていない方はぜひお急ぎを!

2025年2月1日から3月30日まで東京三井記念美術館で円空展が開催されています。

円空の仏像といえば上の記事タイトル画像にもあるような、独特な味わいのあるお顔が特徴です。

そして円空は1632年生まれの僧侶・彫刻家です。1632年といえばあのフェルメールと同い年になります。

円空(1632-1695)Wikipediaより

フェルメールは私も大好きな画家でしたので円空が1632年生まれということを知り、嬉しい驚きがありました。

当noteでも以前「仏像など仏教美術のおすすめ本一覧!~入門書からお寺巡りに役立つ本まで幅広くご紹介!」の記事の中で円空についてのおすすめ本『円空 微笑みの謎』を紹介しました。

Amazon商品紹介ページより
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「こんな仏像が日本にあったのか!」まさにこの一言に尽きます。

私はこの本を読んで度肝を抜かれることになりました。

とは言え私がなぜこんなにも円空の仏像に驚いたのかと言いますと、実は最近日本の仏教美術を学ぶ中で、私は特に運慶の仏像に心が惹かれていたのでありました。

興福寺HPのスクリーンショット

信仰心の表れと写実性の極みと言える運慶の作品に私は強く惹かれるものがあったのですが、今回円空の作品を見てハッとさせられるものがありました。「写実性だけが仏像なのではない」ということを円空仏から教わったように思えます。

写実性からほど遠い円空の仏像ですが、そこから感じられる宗教性、精神性は驚くべきものがあります。もはや言葉では表せない何かがそこにあります。写真を見ただけでこうなのですから実物を見たらどうなるのでしょうか。私はそんな思いでいっぱいになりました。

そんな折にちょうど目にしたのが三井記念美術館で開かれている円空展の広告だったのでした。これは行くしかありません。しかもありがたいことに、ちょうどこの日程中に私は東京に行く予定があったのです。私は勇んでこの円空展に向かうことにしたのでした。

三井記念美術館は東京メトロ銀座線三越前駅直結です。(詳しくは三井記念美術館ホームページをご参照ください)

都心ど真ん中でアクセスも容易です。私も羽田空港からモノレールと地下鉄で向かいました。

さあやって来ました三井記念美術館。円空展のパネルがお出迎えしてくれます。

美術館内部は写真撮影禁止なのでもちろんこの先はカメラ撮影はできません。私もその心づもりでやってきました。

展示室は全部で7つあり、順路に沿って見学していくことになります。

では、早速円空展を味わっていくことにしましょう。

入場してまず目に入るのは展示室にいくつも置かれた大きな展示用ガラスケース。ここに円空仏がおられます。想像していたよりも数がたくさんあり、まずはその数の多さに驚かされることになります。

そしてこれは私の個人的な楽しみ方なのですが、こうした美術館においては私は最初からひとつずつをじっくり見ていくのではなく、まずはざらっと一気に通り過ぎて全体像を把握するようにしています。つまり、展示室1から展示室7まで一気に歩き、そこから最初に戻ってじっくり見始めるという流れです。

そういうわけで、展示室1、2を通り過ぎて展示室3の前へとたどり着いた私ですがここで驚きました。

人間の体よりさらに大きな円空の護法神像が並んでいたのです。

しかもさらに驚いたことに、なんとこの像、写真撮影が可能なのです!下に「この像のみ写真撮影ができます」という旨の案内が置いてありました。これには驚きでした。まさか館内で写真を撮れるとは思っていませんでしたのでこれは嬉しい誤算でした。

下から見上げると何とも言えない迫力があります。一本の木から荒々しく削る円空。ですが単に荒々しいだけではない何かがあるのも事実。見れば見るほど不思議です。

そして次の展示室4にこの円空展のハイライトが鎮座しておられます。

ポスターにも出ていたあの両面宿儺坐りょうめんすくな像です。なんと、この仏像も写真撮影可能でした。これは非常に貴重です。仏様の写真を撮ってよいものなのかと私もここに来て迷い始めたのですが、写真を機にこの円空仏とのご縁が広がるのであればよいのかもしれないと思い私もカメラを構えました。

いやあ、それにしても何と味わい深い仏様でしょう。

この岩石が組み上げられたかのような台座の存在感、そして異様な圧力を発するお顔・・・。写真で見るとどうしても平面になってしまいますが、実物を見てみるとこちら側に迫ってくるようなものすごい圧があるのです。これぞ立体物たる彫刻作品の持つ凄みでしょう。

そして私の中で特に印象に残ったのがこの左手です。斧を抑えるこの左手の存在感に私はすっかり参ってしまいました。ここだけ妙に写実的なオーラを放っているのです。私はこの左手から目を離すことができませんでした。それほどの引力がこの手にはあります。

この手は生きています。そこに力感が間違いなくあります。円空はどうやってこんな手を彫り出したのでしょう。細かく細かく繊細に彫るような作風ではないはずです。だとしたら、何の迷いもなく一気に刃を入れた結果がこういうことなのか・・・。信じられません。手に神が宿るというのはこういうことなのでしょうか。いずれにせよ、私の目の前にあるのは奇跡の業なのは間違いないことでしょう。

そしてこの両面宿儺坐像の隣に展示されている如意輪観音菩薩坐像もまたいいんです!写真をお見せできないのが残念でならないのですが、このいかつい両面宿儺坐像の隣で信じられないくらい柔和な笑顔をしておられます。

彫り方もごつごつしたものではなく、まさに優美そのもの。本当に同じ円空の作品なのかと思うほど柔らかで丸みのある優しい雰囲気です。この剛と柔のコントラストは実に素晴らしいです!三井記念美術館の素晴らしい演出です。円空展に行かれる方はぜひお隣の如意輪観音菩薩坐像にも注目してみてください。

そして同じ展示室4の奥には観音菩薩像がずらりと並んでいて、こちらも圧巻です。

ここにこうして写真があるということは、そうです。こちらも写真撮影可となっています。今回の円空展では以上の3つが撮影可となっていました。

そしてこの先にある展示室7にも私のおすすめ仏像がおられます。

それが龍頭観音菩薩立像と千手観音菩薩立像及び聖観音菩薩立像・龍頭観音菩薩立像になります。

こちらも写真でお伝え出来ませんが、一言だけ申し上げておきましょう。

「何たる天才!なぜこんな構図を思いつけるのだろう!」

これに尽きます。

背の高い一本の木から作られたその縦長の空間に想像もできないお姿が現じています。その天才的な構図に私はすっかり撃ち抜かれました。いや~ぜひとも皆さんにお見せしたい!何とももどかしい限りです。ぜひ皆さん、この展覧会に足を運んで自分の目で確かめてきてください。

いやあ円空仏にはすっかり驚きました。何たる充実感!大満足です。

それにしても不思議な仏像たちでした。上でも述べましたが「写実性だけが仏像なのではない」ということをこんなにもストレートに迫ってくる存在があろうとは想像すらしていませんでした。

今回の記事で紹介したのは円空展の中でも極一部です。多種多様な彫刻がこれでもかと展示されていますので、行けば驚くこと間違いなしです。

ぜひ皆さん三井記念美術館の円空展に足を運んでみてください。3月30日までです。これを見逃すのは本当に惜しいです!私は中学生の頃から奈良や京都の仏像が大好きでしたが、その私も今回ですっかり円空ファンになってしまいました。それほど魅力のある仏像たちです。ぜひこの味わい深い仏像たちに癒されに行ってはいかがでしょうか。

以上、「「円空展2025@三井記念美術館」はすごかった!まだ行っていない方はぜひお急ぎを!」でした。

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