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10月の読書記録+布教

好きなところに飛んでください。


今月の良かった本3選

◯感情教育 中山可穂

・読了日時→10月8日
・評価→5/5

 ボロボロに泣かされた。
 初めての経験だ。
 特に、万人の人間がボロボロと泣くような話でもなければ、感動ポルノみたいな展開もなかった。
 なのに、普段テンション上げ下げだけで管理しているはずの情緒が、ボロボロに破壊されて、涙はないのに泣きたくしょうがなくなった。
 そもそも、読んでいる途中も泣いてた。
 悲しいとか、嬉しいとか、寂しいとか、切ないとかじゃないのに、心と理性の許容量を超えて、感情が溢れ出てきてほんとだめだった。
 理由はわからない。どこがどう刺さってこうなったのかを一切言語化できないけど、小説から溢れ出す感情が大きすぎて、私が受け取り過ぎてしまったのかもしれない。
 最近は、目も肥えてきて、並大抵の小説じゃ泣くほどは、感情移入できなかったけど、この小説は、えげつないほどに感情移入にしてしまった。
 そのことがなんか無性に嬉しい。
 ずっと中山可穂氏という小説家は気になってはいた。
 でも、読むのが怖かった。
 理由は知らない。
 でも読んでわかった。気持ちが入りすぎてしまって苦しくなるからだ。
 ああ、でも、読んで良かった。
 すごい好き。
 一番好きな恋愛小説かもしれない。
 辛くて苦しいけど、この小説に込められている膨大な感情が、私の心を満たしてくれる。
 今、すごくいい気分。           
                       2024年10月9日12時3分付

 上の文章は、読了直後に書いた感想メモです。
 ホントは、しっかりと論理的にこの小説の良さを書こうと思ったですけど、書き始めるとなんか違うなと思って、読了後の感傷が保存されている上記の文章を採用してみました。
 一般文芸の恋愛小説としては、過去最高を更新したぐらい、よかった小説なので是非読んで見てください。 

◯斜陽 太宰治

・読了日時→10月10日
・評価→4/5

 私は、「斜陽」は革命というか、人はどう生きていくのかを、作中に出てくるかず子、お母さん、直治、上原二郎を通して書いている小説だと思っている。まあ、四人がどういう生き様で人生を歩んで行ったかは、実際に読んで確かめてほしい。
 この小説のおすすめポイントは構成に尽きる。
 「斜陽」は貴族という存在が没落して滅んでいくAパートと、一人の女性が革命を起こす疾走感あふれるBパートに分かれている。このAからBパートの切り替えがほんとうにスタイリッシュでカッコいい。

戦闘、開始。

太宰治、『斜陽』、新潮文庫、p.153

  私は、この一文以上に、端点でカッコいい書き出しを知らない。

 それに、後半に込められている、太宰が世の中に対するメッセージもまたいい。戦後、共産主義やら民主主義やらに囚われている世間に対して、そんな小さなことでは、真に革命なんか起こせるわけがない。利益を得る人の顔が変わるだけで、本質的には何も変わらない。だから、もっと根本的に、世に蔓延っている常識とか道徳とかを変えなければ、真に美しい革命なんか起きるわけがない。という魂の叫びがまたすごく魅力的でおすすめな小説だ。

◯週に一度クラスメイトを買う話1~5 羽田宇佐

・読了日時→10月21日
・評価→平均,4.5/5

 先に言っておきます。百合です。
 共依存、ケンカップル、じれあま、この辺のキーワードにピンとくる方は買ったら幸せになれます。保証します。
 あらすじ自体は、クラス内カーストトップの仙台さんの放課後を、二軍ギリギリにいる地味な宮城が五千円で買って、常識の範囲内の命令を仙台さんに命ずるという話。
 面倒くさい女の子好きな人達は、是非買ってみてください。金欠なら、カクヨムで書籍四巻(118話)までの内容までとりあえず読んでみてください。

10月の読了リスト

◯小説

・坂の上の雲4 司馬遼太郎
・すべてがFになる 森博嗣 
・冷たい密室と博士たち 森博嗣
・ミモザの告白2 八目迷 
・感情教育 中山可穂
・儚い羊たちの祝宴 米澤穂信
・斜陽 太宰治
・獄門撫子此処二在リ1~3 伏見七尾
・週に一度クラスメイトを買う話1~5 羽田宇佐
・九マイルは遠すぎる ハリイ・ケメルマン
・俺ガイル1~7+6.5 渡航
・幽霊列車とこんぺい糖 木ノ歌詠

◯小説以外

・シュレディンガー詩集 シュレディンガー
・弱いつながり 東浩紀
・ぼくはスクワター 篠原一
・All about Saul Leiter ソール・ライター
・14歳からの哲学 池田晶子

計30冊。10月はラノベを結構読んだから、冊数がかさむ。


◯ps
 百合ラノベの布教むずい。主に一般層と百合漫画が好きな層にアプローチをかけたいけど、この2つの層の琴線がどこにあるかイマイチわからない。
 一般層は一般層で、百合を勧めてもいいのかなという迷いがあるし、普段、漫画しか読まない人に、小説を進めるもすごい難しい。じゃあ、コミカライズでいいじゃんと言われたらそれまでだけど、私はラノベが好きだから、なるべくラノベが売れてほしい。そうしないと、新作が出なくなっちゃうから。
 でも、最近富士見ファンタジアが百合に関するプロジェクトやっているから、期待。