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2024年の新作映画ベスト10【邦画編】

年明けになってしまったが、2024年の邦画のベスト10を綴っていきたい。


前書き:2024年の邦画を振り返る


多くの映画ファンが既に指摘しているかと思うが、2024年は「邦高洋低」の年だった。2024年の映画の興行収入ランキング(暫定版)を見ると、トップ10に洋画の実写タイトルは一本もなく、コロナ禍やストライキの影響著しいハリウッド作品が興行収入においてあまり存在感を放てなかった形となる。

一方で、邦画に関しては、アニメ映画の大ヒットや自主製作映画『侍タイムスリッパー』の単館上映からのヒットなど、ジャンルや内容、流行り方と様々な観点から盛り上がりを感じた一年で、2023年に公開された邦画と比較しても、全体的に見応えのある作品が多かったと思う。

個人的に注目したいのが若手の監督たちの躍進で、劇場で鑑賞出来たものはいずれも鮮烈な印象を受ける作品ばかり。『侍タイムスリッパー』にしてもそうだが、作り手の熱量が込められた作品は鑑賞するこちらも熱くなれて、非常に楽しい一年だった。


2024年新作邦画のベスト10


2024年に観た新作邦画は96作品。内訳は以下の通り。

  • 劇場鑑賞 80作品(うちアニメ17本)

  • 配信のみ鑑賞 16作品(うちアニメ0本)

洋画と合計すると201作品(劇場161、配信40)鑑賞した。「200」を一つの目標にしていたので、ギリギリ達成できて安堵したが、他県への映画遠征を24回も実施していたため、2025年はほんのちょっとだけセーブしてみたい。


第1位 圧倒的な衝撃と映像体験 『悪は存在しない』

【記録】
鑑賞日:2024年5月5日 シアター・シエマ(佐賀県)
2回目:2024年5月11日 KBCシネマ(福岡県)
3回目・4回目:2024年12月30日 Blu-ray購入・鑑賞

【選考理由】
「・・・今、いったい何が起こった? 私は今、何を観た???」

観終わった後、しばし呆然としたのが本作。冒頭から映像美に引き込まれ、意図的に操作された映像と音楽と間の不自然さに惑わされ、ラストは崖から突き落とされたかのような衝撃で終わる。「映像体験」という観点で今年の邦画を振り返ってみたとき、本作が他の何よりも圧倒的だった。

「最後の衝撃」が忘れられずそればかりを考えてしまうが、本作はそもそも撮影・編集・劇伴のクオリティが一般的な邦画の水準を大きく超えていると思う。どんな発想と計算を駆使すれば、こんな映画が撮れるんだろう。

この映画の「毒」とも言うべき魅力にすっかり侵されてしまい、二週連続で県外への映画館遠征を敢行したし、Blu-rayも先日購入した。5月に映画館で観てからしばらく間が開いたが、Blu-rayを再生してオープニングショットを再見した瞬間、「2024年邦画のベストはこれ以外あり得ない」と確信した。

2025年もこれくらい圧倒的な体験が出来る映画に出逢えたらいいな。

【余談】
完全に余談にはなるが、この映画の影響でレコードプレイヤーを購入した。

購入したのはオーディオテクニカ AT-LP60XBT。2万円程度。

本作の特装パンフレットにサントラ収録の7インチレコードが付属していたため、プレーヤーも勢いで買ってしまったのである。今ではすっかり休日の朝のお供になってしまった。主に流すのはクラシック曲だが、たまに本作のサントラを流してあの世界観と余韻にどっぷり浸かるのも楽しい。


第2位 温かい眼差し、魅力的な距離感 『夜明けのすべて』

【記録】
鑑賞日:2024年2月11日 ユナイテッドシネマ キャナルシティ13(福岡県)
2回目:2024年12月28日 配信視聴(U-NEXT)

【選考理由】
16mmフィルムで撮られたという柔らかい映像と、人の動作や場所の反復を効果的に利用したさりげない映画話法。温かい眼差しで描出される世界観が心地よく、人と人との距離感を宇宙の星に準える脚本も冴えわたっていた。

また、障がいを抱える人々をお涙頂戴として消費せず、社会問題を大袈裟に訴えることもせず、安易に恋愛関係に発展させないのも凄く良い。恋愛とも友情とも違う、「共生」くらいの程よい関係性がとても魅力的だった。

Relationships do not need to be romantic, or dramatic, even particularly long-lasting to be life-changing.
人生を変えるほどの人間関係はロマンチックであったりドラマチックである必要はないし、特に長く続く必要もない。

'All the Long Nights' Review: A Lovely,Tender Story of Connection

アメリカのVariety誌が本作をこのように評していたが、まさにその通りだと思う。僅かな期間のさりげない交わりだからこそ、鑑賞後の余韻も格別だ。

「プラネタリウム」の件が原作小説に存在しない(原作者絶賛)というのも驚きだった。原作のテーマを損なわずに映像作品として補強する脚色力や、男女関係の扱い方、障がい等の重い題材の扱い方など、本作が残した爪痕は大きいと思っている。今後の邦画のスタンダートになってほしいものだ。


第3位 敢えてドラマ性を追究しない魅力 『きみの色』

【記録】
鑑賞日:令和6年8月30日 TOHOシネマズ長崎(長崎県)
2回目:令和6年9月8日  イオンシネマ福岡(福岡県)※IMAX版

【選考理由】
「山田尚子監督が長崎を舞台にしたオリジナルアニメーション映画を作る」という情報を聞きつけ、2023年時点から非常に楽しみにしていた作品。

「山田尚子」というアニメーション作家の作品に抱く印象として、

〇話の辻褄合わせや脚本の都合で人物を動かすということを絶対にしない(これは岡田麿里などと対比するときに常々思う)
〇キャラクターを第三者的に捉え、覗き見るような描写・演出にこだわる(モノローグを極力使用しない、カメラやレンズを意識した演出など)

この2点があるが、本作に関しては、ドラマやストーリーの拘束からも解き放たれた状態で画だけで自由に表現したいという監督の強い意志を感じた。「キャラクターに寄り添って覗き見る」感覚のアニメーション作家が表現を突き詰めていくと、ドラマの掘り下げというものがもはや不要になるのだ。

ただ、ドラマ性が希薄でも画面に惹きつける魔力はあって、終盤トツ子が『ジゼル』を踊りきるシーンと、きみが防波堤で感情を爆発させるラストで涙腺が崩壊した。IMAXで観ることができて本当に良かったと思う。

その作風ゆえか残念ながら国内で大ヒットはしなかったが、海外での上映は今なお続いているし、次回作も監督の思い通りの画を描いてほしい。


第4位 誰にも答えはわからない 『どうすればよかったか?』

【記録】
鑑賞日:令和6年12月28日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
12月に公開されるや否や全国各地の映画館で常に満員と騒がれていた作品。九州には12月27日に初上陸し、28日には監督舞台挨拶付き上映が催されると発表されたので観に行ってきた。昨年の映画館納めとなった作品である。

結論から言うと、「なんちゅうもんを観てしまったんだ」と少し後悔した。一昨年の映画館納めはヴィム・ヴェンダースの『PERFECT DAYS』で、とても晴れやかな気分で映画館を後にしたが、今回はその真反対と言ってもいい。

今なお各地で満員続出のようなので内容についてはあまり触れられないが、本作は姉が統合失調症を発症した原因を探るものではないし、それがどんな病気かを説明するものでもない。姉を長年放置し、治療させなかった両親を糾弾する目的で作った暴露もの・告発ものの類でもない。

また、「精神病を患った娘を両親が軟禁するドキュメンタリー」と聞けば、インモラルな家族の話と誤解されるかもしれないが、ここに描かれる家族は特殊な一例とは決して言えない。誰にとっても他人事ではない作品なのだ。

本作を観終えたとき、『どうすればよかったか?』というタイトルがかなり重くのしかかる。このタイトルは観客への問いかけとなるが、監督が自戒の念を込めて自身へ問いかける題でもある。多くの人が本作を観て「考える」べきだと思うので、興味の湧いた方はぜひ劇場へ足を運んでもらいたい。


第5位 愛と記憶の不在にもがく父子の姿 『大いなる不在』

【記録】
鑑賞日:令和6年7月15日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
映画をいろいろ観ていると、役者の佇まいが作品に説得力をもたらす瞬間や作品の格をグッと上げる瞬間に出くわすことがしばしばあると思う。昨年の邦画で言えば、『侍タイムスリッパー』で主人公を演じた山口馬木也などがその典型例だったが、本作で父親役を演じた藤竜也もまた、作品の完成度に大きく寄与した稀有な存在だった。

時系列が複雑に入り乱れたり、劇中劇が入って入れ子構造になっていたりと脚本がかなりトリッキーで、一歩間違うと技巧に酔った独り善がりな作品になりかねない危うさを孕んでいたが、藤竜也の存在感と、その演技を受ける森山未來の巧さで一級品の映画になっていたと思う。

監督が舞台挨拶で「この映画は配信には流さない」と断言していたのも印象深い。35mmフィルムで撮られた映像、劇中劇や鏡の使い方など、再見して確認したい箇所が幾つもあるので、ソフト化されるのを待つしかない。

ニューヨークでの映画祭で本作が上映された時の藤竜也のスピーチがとても感慨深かったので載せておく。もっともっと評価されるべき俳優だと思う。


第6位 真実は藪の中。衝撃のドキュメント 『正義の行方』

【記録】
鑑賞日:令和6年4月27日 KBCシネマ(福岡県)
2回目:令和6年5月11日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
袴田巖元死刑囚の釈放から無罪確定までの様子を追う『拳と祈りー袴田巌の生涯ー』や、和歌山毒物カレー事件を多角的に検証した『マミー』(未見)など、2024年は日本の司法の在り方を考えるドキュメンタリー作品が話題になっていたが、抜群の見応えがあったのが本作『正義の行方』だった。

1992年の飯塚事件(死刑執行済み)について、元捜査一課の刑事や弁護士、新聞記者らがそれぞれの主張を展開していくわけだが、次第に死刑執行した根拠がいかに脆弱なものであったかが炙り出されていく。「アイツが犯人で間違いないんや」と何食わぬ顔で語る刑事らが次第に恐ろしく見えてくる。

さらに本作は、「普通のドキュメンタリーならここで終了」という所から、もう一歩先まで踏み込んでみせる。そこからの内容が凄まじく、他の凡百のドキュメンタリーとは一線を画する力作になっていた。事件のあった福岡県での視聴時は、2回とも劇場が満員で追加の椅子が並べられていたほどだ。

観る機会が無かった方には書籍版があるのでそちらをオススメする。内容に触れたうえで事件の最新の状況を調べてみると、さらに驚愕するはずだ。


第7位 日本の初等教育の功罪『小学校~それは小さな社会~』

【記録】
鑑賞日:令和6年12月21日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
2024年の邦画は豊作と言いながら、ベスト10のうち3作がドキュメンタリー作品になってしまった。だが、いずれの作品も衝撃的な内容だったのだから仕方ない。特に本作は、より多くの人に観てほしいと強く思った。

『The Making of Japanese』の題で海外向けに公開された本作は、世田谷の小学校を舞台に1年生と6年生に密着したドキュメンタリーとなっている。

撮影、録音などのクオリティが高く、児童らの何気ない青春の一瞬が的確に捉えられており、集団生活の中で確かな成長と笑顔を見せる子供たちの姿に涙腺をボロボロにされてしまった。こんなん泣くなというほうが無理だ。

同時に本作は、日本の初等教育に対する力強い問題提起を投げかけている。

集団での配膳・掃除の光景、「集合時間に遅れたので団結が損なわれた」と叱責する体育教師、「ハイ」と手を挙げるときの角度の指導、下手箱の靴の並べ方を一人ずつ採点する様子など、小学校で見られる一場面をありのまま映し出すが、それが如何に特異な光景であるかが浮き彫りになっていく。

「和を乱してはならない」と叩き込まれる集団教育が現代社会でどのような影響を及ぼしているか。「日本の強い集団主義と協調性はもろ刃の剣だ」と指摘する大学教授や、「自由と制限のバランスの上を綱渡りする毎日だ」と本音を漏らす女性教諭なども登場し、多くのことを考えさせられた。

何気なくYouTubeを観ていたら、ニューヨークタイムズの公式アカウントが本編の終盤部分が編集されたものを丸々アップしていた。約20分ほどの動画だが、この作品の肝がここに詰まっているので、興味のある方はぜひ。


第8位 黒沢清イヤーを象徴する一編 『Cloud クラウド』

【記録】
鑑賞日:令和6年9月28日 109シネマズ佐賀(佐賀県)
2回目:令和6年12月28日 配信視聴(Amazonプライム)

【選考理由】
2024年は『蛇の道』『Chime』そして『Cloud クラウド』と、黒沢清監督の新作が3本も公開された年だった。黒沢監督の映画は『CURE』や『叫』など恥ずかしながら数作しか視聴したことがないが、それでもセルフリメイク、中編ホラー、ノワールとそれぞれの魅力を味わうことが出来たと思う。

特にこの『Cloud クラウド』は、雲のような実体のなさ=Cloudと、悪意を持って集まる群衆=Crowdを掛け合わせた遊び心満載の空虚なノワールで、完全無欠でなくても面白いという映画ならではの楽しみ方を堪能できた。

窪田正孝、岡山天音、荒川良々、吉岡睦雄と個性派の面々が各々の持ち味をスクリーンの中で目一杯発揮していて、話の内容は恐ろしいのだが観ていてニヤニヤが止まらない、とても眼福な作品だったと思う。

この奇妙奇天烈なノワールは、米アカデミー賞の国際長編映画賞日本代表に選ばれたことでも話題になった。先日発表された最終候補作品からは選外となったが(そりゃそうだw)、いわゆる賞レース向きな作品ではなく、この映画が選ばれたところに、邦画界の懐の深さを感じ入るばかりだった(単に黒沢清監督への忖度だっただけかもしれないが・・・)。


第9位 愛の残滓を求め彷徨う 『SUPER HAPPAY FOREVER』

【記録】
鑑賞日:令和6年11月2日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
伊豆の海辺を舞台に、男が愛と記憶の残滓を求めて彷徨う話。残念ながら、この映画についてはあまり感想を深く語るべきではなく、「予告編で興味が湧いたらぜひ観てください」としか言えない。そういう類の映画なのだ。

シンプルかつどこまでも雄弁な語り口で、海の青と波の音が忘れ難い余韻を残す作品だった。2023年のベストの一つ『aftersun/アフターサン』と共通する要素が多々あったのも印象深い。年ベスに入れている人も多いはず。


第10位 若手の才気が迸る近未来青春映画 『HAPPYEND』

【記録】
鑑賞日:令和6年10月12日 KBCシネマ(福岡県)

【選考理由】
空音央監督の長編デビュー作。監督は米国生まれ・米国育ちの帰国子女で、父親はあの坂本龍一。左翼的政治主張をテクノ劇伴で包み込んだ青春映画で父親の影響を多大に感じさせるのだが、それ以上に、邦画では味わいにくい多国籍感気恥ずかしいほど真正面からぶつけてくる政治主張が目新しく、この監督が今後どのような映画を創るのか興味が尽きない内容だった。

物語展開や演出にチグハグさを感じる瞬間もあったが、その初々しい感じが逆に高評価に繋がった気がする。主役の男子高校生を演じる二人がどちらもオーディションで選ばれ本作でデビューした新人俳優というのも魅力的で、才能に溢れた原石が集結した作品と言っていいのではなかろうか。

2024年の若手監督映画と言えば、筆頭は山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』で間違いないとは思うのだが、あちらは男の私には付いていけない部分も正直多かったため、こちらを10作目に入れてベスト10完結としたい。


次点に入れたい10本(寸評付き)


惜しくもベスト10に入らなかった10本がこちら。寸評も添えてみる。

①『ラストマイル』
今後のテレビドラマの在り方、邦画の在り方を変えるエポックメイキングな作品で、ドラマ未見の私でも非常に楽しめた。欲を言えば、ほんのちょっとでも劇場向きのルックに仕上げてほしかった。

②『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
ろう者の両親を描く特殊な題材ながら、観ていて不意に自分の母親のことを思い返してしまう普遍的な作品だった。『キングダム』の吉沢亮は良い役者になると思う。「オヴェワァ、フジェヴェノフジェモドダァー!」と苛つくほど聞き取りにくい台詞をYouTube広告でかましてくる某大根俳優には見習ってほしい。

③『Chime』
鑑賞中に劇場から逃げ出したくなるほど怖かった。「それだけ怖かったならベストに入れるべきでは?」と思われるだろうが、正直観返したくないし、思い返したくもないので、ベストには入れづらかった。ごめんなさい。

④『ナミビアの砂漠』
鮮烈なシーンが多く、上に書いた通り2024年を代表する映画だったと思う。ただ同時に、男性の私には理解が及ばないところ(=理解した気になってはいけないところ)や、劇中の男たちの痛々しさが刺さって直視しづらかったところなどもあり、迂闊に名作だったとは言いにくいのが難点。

⑤『アイミタガイ』
こぢんまりとした感じの小品なれど、今年の邦画では『きみの色』に次いでワンワン泣いた。テーマ曲やサントラもとても良かった。

⑥『Ryuichi Sakamoto | Opus』
名パフォーマーの最期を彩るラストショーというのはそれだけで感慨深い。ミスタッチも含めて終始聞き入った。

⑦『ぼくのお日さま』
「映像は素晴らしかったのに、なぜああいう物語になったの?」と嘆く映画ファンは存外多いのではなかろうか。私もその一人である。

⑧『ブルーピリオド』
原作未読のまま映画を鑑賞し非常に楽しめたのだが、その後原作にも触れてみたところ、映画の抱える問題点がわかったのでベストからは外した。ただ映画版も決して嫌いにはなれないし、良作だと思う。

⑨『ルックバック』
1回目の劇場鑑賞時はとても感銘を受けたのだが、2回目に劇場に行ったときBGMの音量の大きさ、主張の強さがやけに気になった。アマプラの配信視聴だとそれがさらに目立ってしまっている気がする。

⑩『侍タイムスリッパー』
2024年邦画を代表する一本なのは疑いようもない。面白い映画を作るんだ、俺たちで時代劇をやるんだ、という制作陣の熱量に満ち溢れており、終盤の殺陣は見応え抜群だった。監督の書き下ろしパンフレットも読み応え抜群で購入したパンフの中では洋画も含めてナンバーワンの内容だったと思う。


2024年新作邦画のワーストたち


ベストを挙げたのだからワーストも挙げてみる。ただ、10本も挙げれるほど駄作ばかり観ているわけではないので、特に気になったものを5本だけ。

①『室井慎次 敗れざる者』
②『室井慎次 生き続ける者』
生理的嫌悪感すら覚える偏見的な描写と浅薄な脚本。これを創った制作陣は山田尚子監督が『情熱大陸』で語った「キャラクターに失礼のないように」「自分が神にならないように」の言葉を何百回も唱えてもらいたい。

③『スオミの話をしよう』
色気漂う長澤まさみに着せ替え七変化させて最後はミニスカートを履かせて大仰な芝居をさせたい三谷幸喜の気色の悪い欲望が滲み出た作品。ラストの「ヘルシンキ、ヘルシンキ~♪」は酷すぎて観ていて乾いた笑いが零れた。こんなの最初から舞台でやるべきでわざわざ映画でやるなよ、と思う。

④『あの人が消えた』
『シックス・センス』と『ユージュアル・サスぺクツ』の内容をそのまんまパクってきて本格オリジナル・ミステリーを気取っているところに呆れた。ただ、お笑いコント的な楽しみ方をする層は少なからずいると思う。

⑤『碁盤斬り』
五十両の金をめぐる落語の二編『柳田格之進』『文七元結』を足したうえ、ワケあり浪人の復讐劇に魔改造した脚本が致命的。草薙くんが演じる浪人の人格やら行動原理やらが無茶苦茶になっており、敵役の斎藤工が艶めかしい存在感を無駄に発揮して脚本の歪さに拍車がかかる悪循環に陥ってるのだがどうやら世間ではこの脚本が高く評価されているらしい。噓でしょ???


終わりに…


ベスト10を決めるために12月31日未明まで映画鑑賞をし続けた結果、年越しまでに発表が間に合わないという醜態を新年早々から晒してしまった。

ここまで長文を読み進めてくださかった方々に今後も読んでもらえるような感想を書いていきたいし、2025年も変わらず映画館通いを続けていきたい。

さぁ、ここまで書き終えたらお次は【洋画編】だ!がんばるぞ!!

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