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最初は何もなかった

ドラマ「ブラッシュアップ・ライフ」を見たら、みんな考えたよね。そうだよね。
人生やり直せるなら?と考えたときに、とくに自分の人生自体に大きな後悔とかはないんだけど、あえて言うなら今のこのアパートに引っ越してきた前後からやり直してみたいかなとは思う。

わが家は築20年の公営アパートに住んでいて、当時は建て替えたばかりで新築だった。安普請で請負業者が入居時には軒並み消滅している(入札のために作った会社とかなんでしょうね)というトンデモ物件で、新築なのに壁にヒビ入ってるし、シンク下の収納の扉は傷物で塗り直してあるし、換気扇の上の配管を隠すカバーは他のお宅もつけ忘れられていたという体たらく。引っ越した年は長梅雨で、家中にカビが生えた。

当時、結婚したばかりでツツジは息子を妊娠中。夫婦ともに実家暮らしだったから、家具や日用品も1から揃えた。
そのころは今みたいにネット通販も発展していなくて、もっぱら実店舗とカタログ通販。夫婦揃って、貧乏性でこだわりもない。
収納力重視の夫が実家で使っていたバカみたいにデカくて重い黒のスチールラックだけは断固拒否したけど、「お金ないしカラーボックスとかでいいっしょ」という感じだった。

しかし、カラボは半年後にすべてカビの餌食となる。その後、カビには数年間悩まされた。仕事のあと渋谷から担いで帰ったお気に入りの渋い籠もカビた。わが家からカラボは消滅し、ナチュラルインテリアに憧れた時期もあったけど、籠は掃除しづらいのでズボラな自分には扱いきれないときっぱり諦めた。

自分はあまり後悔というものをしないのだけど、せっかくの新築、しかも初めての自分たちの城。もう少しちゃんとこだわりを持って選んだり、手入れしたりできなかったものかと思う。逆に言えば新米奥さんで新米ママ、今ほどの家事スキルもない。だからこそ、ブラッシュアップ・ライフのように今の考え方や家事スキルでやり直したい。そんな話を娘にしたら、「へぇ」と冷たく流された。

今の自分だったら、まず持ちものを減らす
結婚前に減らしたとはいえ、まだ趣味のものをたくさん持っていた。申し訳ないけど、子どもを産んだら当時の趣味に費やす余裕はなくなる。せいぜいネットを見るとかマンガを読むくらいならできたけど、まず情熱を維持する気力体力が失われた。厳選して持ってきた本やCDはほとんど開くことなく二束三文で売り飛ばした。時間もできた今となっては、なくてもぜんぜん平気。最近なんて、最大の推しは自分の子どもたちと思うようにしている。推しだと思えば、お金かけてなんぼ。

食器なんかは実家にあった亡き祖父母のものや、フリマ好きの義母の物置コレクションをいただいたけど、祖父母の食器は厳選したお気に入りだから残ってるものの、義母の食器は趣味じゃないから処分した。義姉の結婚式の引出物も、申し訳ないけど処分した。義姉自身、たいそうお気に入りのセレクトだったらしく、義実家の引越しの際に「うちの割れちゃったんだよねー」と義実家の分を持ち帰っているのを見て、ちょっと罪悪感が湧いた。趣味が違うんだから仕方ないよね。てゆーか、自分好みの食器を引出物にするとか、義姉は自分のセンスに自信があるってことだよね。義姉のことは好きだし、尊敬してる。

家具類は必要に迫られてから購入したけど、とくにお気に入りとかでもなかったから、必要な時期が過ぎれば粗大ゴミ。ツツジは自分の身長より高い家具でも、どんどんバラしてどんどん捨てる。今思うと、安物でこだわりもなかったからどんどん捨てられたのかも。ただでさえ狭いのに、使わないものを置いとくスペースとかないから。
とはいえ家族が増えるごとに物も収納も増え、子どもたちが赤ちゃんで行動範囲が狭かったころには、1部屋が物置と化していた。はたして、物置部屋にあったものは本当に必要なものだったのか。自分のものはほとんど処分してしまって、今残っているのは夫のゲームくらい。夫が独身時代に録画していたビデオテープは、カビが生えたと言って処分した(嘘ではない。確認はしてないだけ)。

結婚当初を振り返ると、以後使わないものをわざわざ運び込んで、そのために収納を買って、その荷物のせいでろくに掃除もできなくてカビだらけになって、けっきょくそれも震災後の余震が怖くて中身を捨てて収納ごと処分して、もし今の考え方だったらもう少しお金も貯まってたんじゃないかしらと思ってしまう。お金ない、時間ない、余裕ないと言いながら一家4人、当時は大きな不自由なく暮らしてこれたんだから、自分けっこうスキル高いんじゃないの?やればできる子だったんしゃない?と思うのだ。

幸いなのは、子どもたちがまだ大きくならないうちに片づけや断捨離の存在を知り、自己流ながら徐々に物を減らして今の暮らしを維持してこれたこと。振り返れば、熱しにくく冷めにくい、好きになったことは、ひとりひっそりとゆるく長くハマるタイプ。
子どもたちが小学生のころには、2DKなのに20人くらい遊びに来る家となり、一軒家にお住まいのお子さんに「広い。。。」と呟いていただいたこともあった。
家自体は広くはない。ママの心が広いだけ。

でもね、安物家具はだいぶ減らしたけど、貧乏性だから家電は厳選したおかげなのか、冷蔵庫もエアコンもオーブンレンジも20年物。奮発して選んだテーブルとテレビ台もまだ現役。ちゃんと考えて選んだものは、壊れて買い替えたものもあるけどやっぱり残るもの。だからこそ、人生やり直すなら新生活からやり直してみたいなぁと妄想する今日このごろ。ネットも今くらい進化してくれていたら、なおいい。

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