Nantes Food Forumとは - 3.プログラム全体概要
それではプログラムを見ていきましょう。
今回改めてプログラムを紐解くと、後からあれも行きたかった、これも行きたかったと後悔の念強し。実はサイトのプログラムが私には非常にわかりずらかった。カテゴリー別や会場別、目的別などでの検索が全くできず、ずらずらと並べて書いているのを全て見るしかない。アナログな私は紙面で見ることでやっとわかる様になりました。来年はもっと早くから紙面を手に入れて読み込んで行こうと思います。
期間は10月3日〜7日、10時ー19時の間に様々な展示、アトリエ、会議、トークショーなどが行われ、20時半からは毎日テーマの違う夕食会が行われました。
会場は1ヶ所のみではなく、ナント島上にある国立建築学院ENSA、美術学院、ナント大学医学部、ワイン醸造バーBras de Fer、そして春から夏にかけてオープンする地産地消低価格レストランLa Cantine du voyage。またENSA校舎前の歩行者天国の歩道で昼食が振る舞われたり、河岸で日曜日に地元生産者によるマルシェが開催されたりします。
こうして一か所のみではなく、様々な場所で開催されることで市が一体となった、オープンな取り組みの印象を与え、一般来客も気軽に立ち寄れる雰囲気が作られていた気がしました。
それでは全体のプログラムを以下の通り分類してご紹介します。
オープニングおよび基調講演@La Cantine du voyage
「なぜナントで食に関するフォーラムを実施するのか?」をテーマに、ナント市長Johanna Rolland氏がオープニングスピーチを行いました。
蛇足ですが地元紹介ネタで。ロラン氏は1979年生まれ、34歳の時にナント市長に選出された地元出身の社会党政治家です。23年間ナント市長を務めた後にオランド政権下で首相を務めたエロー氏の後に選出されました。人口10万人以上のフランス都市の女性市長数は6人、そのうち都市共同体会長も務める女性は彼女だけです。彼女のスピーチを何度か生で聞いたことがありますが、オーラーがあって、将来の有望さを感じさせてくれます。
その後「ナントは未来の欧州食都市となり得るのか?」をテーマに、市の関係者、公益・社団法人代表、研究者等を交えてのラウンドテーブルが行われました。
基調講演は「2050年の地球の食料事情」について。ミッテラン政権下で農業大臣を務めたHenri Nallet氏が登壇しました。
ラウンドテーブル・講演会
3箇所の会場に別れて色々な講演会・ラウンドテーブルが行われました。テーマを勝手に大分類すると、1)「地球の食の未来」 2)「都市と農村」 3)「健康と食育」4)「新たな取り組みへの挑戦」 に分けることが出来ます。
それ以外にはナント都市圏の現状(政策、調査結果、産業等)についての紹介が行われた他、毎朝、ジャーナリスト数人と特別ゲストによる公開討論会が行われ、地元ラジオで生放送されていました。
1)「地球の食資源の未来」
世界各地をテーマにしながら食の未来を考える5回シリーズ 「La Géopolitique dans nos assiettes (お皿から見える地理的政治学)」中心に扱っていました。
世界の食料の75%は都市人口によって消費される中、2050年には都市人口は倍増すると言われている中、未来の食糧をどう考えるか?というテーマの後に、アジア、アフリカ、欧州(Brexy)と各地域圏をテーマにした講演の後に、南北関係を示す食糧であるカカオをテーマとした討論会を行なっていました。
また、メインゲストのお一人キャロリン・スティール氏の参加する「明日には、都市人口は50億人になる」では、上記地理的政治学シリーズでも扱っている都市人口と食糧の関係を更に掘り下げ、ロンドン、北京、UNESCOからの参加者を得てこの深刻な問題についての討論が繰り広げられました。中国からのゲストはその後「中国の食糧確保」についての討論会へ。昨年は「アフリカの食糧確保」ですが、さて、来年は?
その他、「持続的漁業の可能性」、「女性の農業への参加(アフリカでの取り組みを紹介)」等をテーマとしたラウンドテーブルが実施されました。
2)「都市と農村」
都市と農村の関係をテーマの5回シリーズ「Le Carrefour des Territoires(都市・農村領域の交差点)」で扱っていました。
地元視線で、よって登壇者もナント周辺プロジェクトに関わる人たちを中心に集められたラウンドテーブルシリーズが、5回に分けて行われました。都市型農園の役割、新規就農による農村への人口流入、都市型農園と新規就農の関係などが検討されました。
3)「食育・健康」
メインゲストのお一人であるアリス・ウォーター氏を迎た討論会「食べながら学ぶ」は、食・農業について教育を通して子供達に伝える重要性についてのディスカッション。その他、食と仕事の関係、現代における肥満の問題;「第2の頭脳」腸の感情へ与える影響について、栄養についての嘘本当、適正な値段で体に良い食事、競技スポーツと食事、などが扱われました。
4)「新たな取り組みへの挑戦」
各地から食の未来についての取り組みを行なっている研究者、生産者、団体を招き、その内容を紹介。
メインゲストとの対話
ジャーナリストが観客の前でメインゲスト一人一人と対話する、オープンインタビュー会。同時通訳つきながら、会場は建築大学のオープンスペースの一角に設置され、観客も質問をしたりとリラックスした雰囲気で行われていました。
展示・販売
「消費者としての食べる人」をテーマとした写真展、食の消費、食事、環境に関連した本の展示と販売。
「NFFパートナーヴィレッジ」では、野外にコンテナが設置され、協賛企業団体の展示が行われました:卸売場の役割(国営ナント卸売市場MIN)、フランスの漁業(フランス水揚魚ラベル「Pavillon France」、何とその後魚が無料で配られました!)、栄養コーナー(食肉加工品会社Fleurly Michon)。
有料アトリエ・ビジット
基本有料のNFFですが、いくつか有料のものもあります。
「スローフードアトリエ」は5回シリーズ、毎回生産による講演と試食のセットになります。
ナント市発見ビジット関係。国営ナント中央卸売市場のビジット、市内の食関係の小売店ビジットガイドとナント市内を再発見するタイプ。
古代ブドウ品種についての講演とワインのデギュスタシオン、
最近欧州で話題の食料品表示について「食品ラベルを理解して化学調味料・添加物と自然の材料の違いがわかるようになる」の著者によるアトリエ。
そして週末には子供・家族を対象とした料理の参加アトリエやデモ型アトリエが複数開催されました。
有料と言っても5ユーロから10ユーロと、参加しやすい価格設定でした。
食事
NFF主催・会場で提供するランチおよびディナー。
NFFディナー
ディナーは毎晩計5回、有料でフィックスメニュー、飲み物込みで一人50ユーロ、250名の着席式です。毎回一つのテーマがあり、有名シェフ2−3人がコラボをしながらてテーマに即した料理を振舞います。
私はお米をテーマとした回に参加させて頂きました。オリビエ・ロランジェ氏がアニメーターを務めながら料理にも参加、フランスで活躍されているベトナム人シェフのセリーヌ・ファム氏、イタリアのシェフ・フルヴィオ・ピエランジェリ氏が料理の共演。日本では頂けない色々な表情のお米に出会うことができました。更に飲み物には広島のお酒が提供され、実際酒蔵の方がいらっしゃりました。これに詩人の関口涼子さんのコメント付きと実に豪華!
ランチ
また、それ以外にナント市学校給食と一部レストランが「ミニボール・チャレンジ」に参加、有機地産地消のコンセプトに基づいたボール状の食べ物3種類(ファラフェル、ケフタ、アクラ)を提供しました。
これ以外に週末にはストリートフード的に、移民女性の自立を支えることを目的としたNPOがシリアの家庭料理を提供しました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?