店主のやる気がなくなる前に。
上七軒の界隈の中、もう少し詳しくいうならば、北野天満宮の目の前の交差点から南東の方へ斜めに伸びる道を下り、しばらくした後、東西にまっすぐの道と交わった点の鋭角にあたる場所に誠養軒はある。中華そばの誠養軒を知ったのはつい最近のことだけれど、近くの古本屋へ立ち寄ったついでにふらっと寄ってみようかということで、誠養軒の暖簾を潜り、お店の扉を開けたのである。
店に入る。テーブル席はたった2つ。カウンターはいくらか散らかっており、多少片付けねば座れそうもない。ラジオからはしゃがれた声