「オレが外履きになる」
ランニングを始めることにした。
外に出ない日がザラにある、30歳リモートワーカーの一大決心だ。
きっかけは年始にがっつり風邪を引いてしまったこと。当時はnoteを書くことはおろか、部屋を片付けることすらできなくなってしまった。いつも通りの暮らしを続けていくためにも、体力づくりが必要だと感じた。
•••
さて、ランニングは靴さえあれば始められる手軽な習慣と聞く。そのくせ、始めの靴選びは重要とも聞く。
良い靴を買えば、走るのが快適で長続きするかもしれない。安い靴を買えば、辛くて辞めてしまうかもしれない。
僕は悩む余地があると、悩んでいるフリをして、スタート時期を先延ばしにしてしまうクセがある。この状況は結構まずい。
「さーて、どんな靴を買おうかねえ〜」と悩んでるフリを始めると、突然頭によぎったのは上履きの存在だ。
棚には、友達と体育館で遊ぶために買った上履きが眠っていた。もう何年前に買ったものかも覚えていない。出番としても数年に1度レベルのレアアイテム。まさか、今、思い出してしまうとは。
そういえば、過去の自分は、いずれ外履きとして使えるようにこの靴を買っていた。それはもちろん、僕が将来ランニングを始めるべきタイミングで、靴選びで遅延することを予期していたからだ。
「俺が外履きになる」
体育館の床を後にして、ゴツゴツのアスファルトを選んだ上履き。よく見るとソールは白黒マーブルのアウトドアルックで、すでにオーラが漂っている。
•••
かくしてランニングの準備は0日で整ってしまった。「初期費用もゼロ」ってことでいいのかな。いつやめても損はしないと思うと、不思議と足取りが軽い。これはよく走れそうだ。